玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*名画シアター

2010年11月15日 | 捨て猫の独り言

 市民文化会館の「ルネこだいら」に2日間通って4本の映画を観た。年に一回だけの「名画シアター」という催しで毎年招待券が届いてそれが私に横流しされている。自転車で25分で行ける距離でお天気もよく今年はせっせと通った。当日券は800円とあるが有料で入場する人は少ないのだろう。この国立近代美術館フィリムセンターによる「優秀映画鑑賞推進事業」は平成元年から実施されているという。映画4本をセットしたプログラムが20数プログラムが用意される。それが全国各地のかなりの数の公共施設に一セットづつ貸し出される。

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 今回のプログラムDは今井正監督(1912~91)作品だった。初日は「青い山脈(1949)」と「また逢う日まで(1950)」である。2日目は「真昼の暗黒(1956)」と「純愛物語(1957)」である。今井監督は戦時中は戦意高揚映画を製作し、戦後は一転して戦後民主主義啓蒙映画を手掛け、左翼ヒューマニズムを代表する名匠と評価されている。私は4本とも初めて見る映画だった。上映には午後1時から午後6時までかかる。初日に比べて2日目の観客数は明らかに減少した。

 「青い山脈」は石坂洋二郎原作で戦後民主主義の理念であった自由恋愛や、女性の自立・解放といった命題が明朗で快活なユーモアのうちに描かれていた。映画は主題歌とともに大ヒットした。理想に燃える女教師に原節子が扮している。女子生徒の杉葉子が海岸でみせるのびやかな肢体、俗物を気取る青年校医の竜崎一郎の明快な物言いなど現在でも輝きを失っていない。旧制高校学生の池部良は貧相な胸板をさらしていた。「また逢う日まで」は戦争と青春を描いた悲劇である。近くの席の年輩の女性達が岡田英次と久我美子のガラス窓越しのキスシーンについてしきりに懐かしがり楽しみにしていた。原作がロマン・ロランのせいか脚本は詩的言語の多用で私には違和感が残った。

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 びっしり小さい活字で埋まったパンフの上映会場一覧を見た。成瀬巳喜男(1905~69)監督の「めし」「おかあさん」「浮雲」「乱れ雲」のプログラムCはどこで見られるか捜した。いくつかある中で私が観覧可能な会場が近くにあった。それは世田谷文学館で上映期間は来年の2月3日~7日とある。不思議なことに本年度のプログラムには黒澤明監督作品が一つもない。そこでフィリムセンターのホームページを見て分かった。センターでは黒澤明生誕百年と題して11月9日~12月26日まで黒澤作品を入れ替え制で一日に3本づつ上映している。またトークイベントとして「スタッフが語る黒澤明」「スターが語る黒澤明」がそれぞれ11月と12月に企画されていた。フィリムセンターは東京駅八重洲南口より徒歩10分である。(写真は玉川上水の羽村第1第2取水口)

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