タイトルは「お幾つになられました?」と私が尋ねた際、ご本人が娘さんに問いかけたセリフである。初対面の方なのに思わず手を伸ばして触ってしまったお顔。しみ一つない柔肌はプクンと弾んだ。「あらあら~」とはにかんで美しいしわがそのお顔に刻まれた。白髪は銀色に輝きふんわりと波打っている。ザブトンやお茶を私達に何度も勧めうれしいわ~と連発された。
義父亡きあと久しぶりに義母が長女に伴われ我家を訪れた。80代半ばの義母の女学校時代の恩師が一つ隣りの駅に在住で上京の度に訪れていた。教え子がその年代だから恩師は更に年長になる。今迄は母一人で行っていたが車で同行したのだった。その方は今年99才と伺っていたが100才の記念品が菅首相からも届けられたという。
炬燵に向き合った私達(義母、長女、嫁)との会話が弾む。こちらが教え子で、長女さんで、お嫁さんで・・とその度に指差す相手が違い笑いが絶えない。デイケア先で書いたという習字や絵手紙はいづれも立派であった。英語の先生で習字は勿論俳句なども上手で、この先生がいらしたからその学校を選んだという義母の言い分に頷けるものがあった。小一時間後帰ろうとすると、「もう帰っちゃうの~」と別れを惜しみ夜だというのに道路まで歩いてのお見送りを受けた。美しく愛らしく老いるとはこういう姿なのかと、ウットリとつくづく眺め入り感じ入った方であった。