アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ソバの花 - 9月

2019-05-03 18:06:38 | みんなの花図鑑

マユミの花の雌雄を話題にしたときに、長花柱花/短花柱花 という言い方が出てきたので、ここで ソバを例にとって 説明しておきますね。(ご存じの方は スルー下さい)
ソバの花には 2つのタイプがあり、長花柱花/短花柱花 といいます。(「信濃一号」とかの品種名とは違います)

画像は 長花柱花です。つまり 雄しべ(赤い葯がついています)より めしべ(の花柱)のほうが 背が高いのです。




これも 長花柱花です。
ちょうどアリさんが 蜜を吸いに来ていますが、アリさんは小さいので、この花の蜜を吸うとき、体につくのは おしべの花粉 なのです。



そして・・・
さっきのアリさんが、こんどは(同じ畑の)別の株の蜜を吸いに来ました。

この株は こんどは 短花柱花の株で、めしべが アリさんと同じくらいの背のところにあります。ここでアリさんが蜜を吸おうと体をもそもそ動かすと、さっき体についた(長花柱花の)花粉が この株のめしべにつくというわけなんです。





もっと体の大きい蝶やハチが蜜を吸いに来たときは、雄しべの高い(めしべ短花柱花の)花粉をつけて めしべの背が高い長花柱花の株に行って そこで受粉が成立する、というわけなんです。
ね、うまいこと考えてるでしょ \(^o^)/





ひとが 筆もって 人工授粉してやればいいってわけじゃないんです。同じタイプの受粉をしても うまく実が実らないといいます。いろんな大きさの媒介者が必要なんです。
そばの株ごとに タイプは決まってます。
そして ひとつの畑で 短花柱花と長花柱花の割合は 1:1 と言われてます。





マユミの雄花と雌花 - 安城市JJ

2019-05-03 17:24:49 | みんなの花図鑑

皆さんは マユミの花をご存じでしょうか?
これから マユミの花について しばらく 観察してみます。
画像は 本邦初公開(?)につき、全部で 16枚あります (^^ゞ
同じような画像がつづきますが、どこかに なぞ解明のヒントが隠されているかもしれないので、皆さんと一緒に 同じものを見ていきたいと思います。





「なぞ」と言いましたが、マユミは雌雄異株か 雌雄同株か それも定まっていないのです。
それで、よく知っているマユミの木のところに行き、花を観察しようというわけです。
この木は 安城市のとある圃場(植木のストック場)で、2本の マユミがあります。

2本とも 果実を実らせます。(↓)
マユミの花 -安城市JJ 圃場

なので、雌雄異株説をとるばあい、この株は <雌株>ということになります。




ところが、(一枚目の写真もそうですが)観察して見ると、4つの雄しべをもった花が まず 目につくのです。おしべの頭が赤いのは 花粉を入れた葯の表面が 赤いのだと思います。






花の中央に 緑の突起があります。雌しべですが、横からみて分かるように、雄しべより背が低いです。
雄しべは緑色の花盤の上に立っています。





おしべが勝っているように見えるので、これは<雄花>のように見えます。
雌雄異株説をとれば、実がなる株なので この株は雌株なんですが、そうしたばあい、そこに<雄花>が咲くということは 説明しにくいです。





ただ、あとで述べるように、<雄花>の数は 一本の株の中で 少ないです。
ざっとみたところ、20分の1 くらい(5%くらい)でしょうか。
でも 4つの葯はきれいで、大多数の<雌花>とは 明らかに違う存在感をもってます。





雄花の めしべのほうは背が低いので (ソバの花などでよく使う)短花柱花 という言い方をされているサイトもあります。ただ ソバのばあいの短花柱花/長花柱花 とは 意味合いがちがうように思いますので、ここでは そのような呼び方はしないことにします。(ソバのばあいは雌雄同株で 両性花ですが、両性花に 2つのタイプがあるということです)
とりあえず、この果実が生る株には 花の数は少数ですが、<雄花>が存在します。





雄花があるのだから、この株は 雌雄異株の雌株ではないですね。ひとつの株に 雄花も雌花もあれば、雌雄異株ではないです。漠然とですが、マユミは 雌雄異花で、同じ株に雌雄の花がつくということになります。





この雄花は 中央のめしべがほとんど隆起していないようにみえます。退化と呼ぶにふさわしいように見えます。




ここから、多数派の <雌花>

これが 多数派の <雌花>です。
中央のめしべのほうが 勢いがよく、周囲の4つの雄しべの葯の部分は黒ずんでいて 元気がありません。





そして、先ほども言ったように、数の上では こちらが圧倒的に 多数なのです。





でも 変ですよね? プラタナスやフウなどでもわかるように、雌雄同株の木の花は 雄花のほうが 雌花より 圧倒的に多いのです。雄花が少なくて 秋にはたくさんの実を実らすためには、どこか近くに <雄株>があり、そこから花粉をもらっているのでしょうか?





そう思って見渡したところ、この圃場内には<雄株>らしき株はありません。もちろん、実のならないマユミは、その存在に気がつきにくいので、私が知らないところに ちゃんとあるのかもしれません。
雌雄異株説をとれば、そういうことに(近くに雄株がある)なりますが・・・





雌雄異株説をとるのは wiki 「(マユミは)雌雄異株。」
「マユミ(ニシキギ科)は雌雄異株で、雄花(退化的な雌しべがある)のみをつける雄個体と雌花(退化的な雄しべがある)のみをつける雌個体に分かれる 」(福原のページ






雌雄異株説 つづき
マユミは「雌雄異株で雄花(花柱が短く貧相)、雌花(花柱が長い)各別株につく。」(里山コスモブログ)
「果実が美しいので公園や庭木に雌株ばかり植栽され、雄株は殆ど見かけない。雄株を見かけないのに雌株だけで見事に果実を生らせるので、雌株の花は両性花かも知れない。果実を生らせる個体の鉢植を2鉢用意し、花期にひとつのビニール袋で密閉する。すると雄株の花粉を受粉することはない。それで結実すれば貧相な雄花は生殖能力があり、両性花ということになる。写真の短花柱ばかりつけている個体は結実しない。この個体は雄株であり、花は雌蕊が退化した雄花である。従ってマユミは少なくとも雌雄同株ではない。」(同上、続き)
最後の推論は強力ですが、実際と異なるように見えます。雄花ばかりで雄株と思っていた個体が 数年して結実したという話もあります。
盆栽のサイトなどの記事では「雌雄異株だから雄木が必要とされている」と述べてあります。




雌雄同株説
「マユミは、雌雄異株とする情報もありますが、雌しべが短い花をつける個体があり、結実しにくい傾向があるだけなので、雌雄同株とするのが妥当です。」(みんなの趣味の園芸『マユミとは』)
具体的な説明がないのですけど wiki には
「市販のマユミは雌木しか出回っていないが、雌木1本で果実がなる。」
などとあります。
「なお、不完全雌雄異株説というのもある。雌雄同株から性分化した雄株であるが完全には独立しておらず、稀に実をつけることがあり、マユミがその例であると。」(里山コスモブログ)
。。。
どうやら、結論は出ないようです。

次回、(寄り道して)マユミよりはるかに分かりやすい ソバの花 の例を見ておきます。



マツバウンラン - 彦左公園(幸田町)

2019-05-03 10:44:19 | みんなの花図鑑

どこにでもある野草(帰化植物)。
シソ目のゴマノハグサ科の所属と思っていたが、wiki などでは オオバコ科に入れてある。




学名も
ゴマノハグサ科なら マツバウンランの学名は Linaria canadensis 。
オオバコ科だと マツバウンランの学名は Nuttallanthus canadensis 、
どの科に属させるかによって、学名も変わるのだ。





素人の私が どうこう言っても仕方がないが、 「花がウンラン (Linaria japonica) に似ていることからこの名がついた」(wiki) のだから、リナリア が入っているゴマノハグサ科のほうが、適当じゃないかぃ。逆に、オオバコというのは 荒々しいイメージがあるから、あまり仲間にはしたくないですけどぉ(◞‸◟)
学名って 見かけで分類するのではないから、しかたがないんだけど。。




もひとつ、ぶつぶつ。。
掲示板に尋ねると、「マツバウンランのように見えますが、オオマツバウンランの可能性も」と答える人がいます。どうちがうか?尋ねると、自分で調べろ!みたいな返事。調べると、「オオマツバウンランのほうが花が大きい」みたいな区別点が載っている。けど、目の前に 2種類を置いて比較しているわけではないのだから、大きいか小さいかでは区別できません (T△T)

「マツバウンランの変種で茎が太く、花の大きさが2倍ほどあり」

などというのは 両方を比較してみたときのことです。目の前にどちらか1種類だけのときは 判別材料になりません。




マツバウンランは 下唇の中央に 白くなってますが、聞くところによると、オオマツバウンランは 下唇全体が白っぽいとか。
あと、距の長さが マツバウンランは 2~6mmで、オオマツバウンランは 6~9mmあり、後ろから出てくるっと前に突き出ていることもあるそうです。マツバウンランと混生していることもあるそうです。
混生で思い出したけど、道の畦のマツバウンランが リナリア に漸移していることって ほんとうにありますよ (´∀`)