「いわゆる一人別枠方式に係る選挙区割りの基準及びこれによる選挙区割りは、いずれも投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたが、合理的期間内に是正されなかったとはいえず、それらについて定める法律の規定は憲法に違反するものということはできないとした」
この文面を一読して、直ちに意味のわかる方は、どのくらいいらっしゃるだろうか。
反語という言葉遣いの技があって、ふた通りの使い道がある。
ひとつは、言いたいことをわざと疑問文で述べ、そうだと思ってもらう。
もうひとつは、断定を強調する効果である。
そのぐらいなら日常見たり聞いたりする機会が多いからすぐにわかるが、それを二転三転されると、回転の様相だけが目立って、何回まわったのかわからなくなる。
体操やスケートの回転技で何回転かを見分けるのが難しいのに似ている。
言葉を回転させてしまうと、何回まわったかどころではなく、どちらを向いて止まったかさえわからなくなる。
目玉が突き出ているかに見えて、それは足なのかも知れない。
そんな見極めを求められても、面倒だからそのまま答えないでおこうという人は多い。
それが国民審査という名の制度、どこかおかしい。そして怪しい。