しんにょうに乗る部位には呼び名がないと5月26日に書きましたが、国語研究会の識者の説明によれば、しんにょうの上側にあっても、これは乗っているのではなく、しんにょうと組み合わさって一つの漢字を形成している部位と考えるものなのだそうです。
大統領が他国を訪問する際、飛行機に乗っていると考えると、乗るのは1機だから予備のもう1機はむだではないかと考えてしまいますが、飛行機に乗るのではなく、移動する手段として万全な状態で飛行機を使うということであれば、重要な任務のための移動に、予備機が付随するのは当然と考えることができます。
土がしんにょうと組み合わさると、徒の異体字になります。
徒は、陸地を一歩一歩あゆむ意味で、それならば土としんにょうもうなずけると思ったら、徒という字の土の部分は、トの音符としての役割を持っているのだと聞いては、歩いて行く道のどこかを外されたような、妙な気分になってしまいます。
徒の字をじっと眺めていると、しんにょうのもとの字と土が撚り合わさったように見えてきます。
徒然という言葉は、徒撚から手をもぎとられたようにも見え、なんでもカタカナにしてしまうのは、文字の面白さをわざわざ避けて通る残念行ではないかとも思っているところです。