汚のつくりに似ているけれども、上が二の字で間がつながっていない「う」という字があって、それがしんにょうに乗ってもやはり「う」であるという、なにか息苦しそうな漢字があります。
これは、干の下端をはねた、やはり「う」という字がしんにょうに乗った「う」の異体字であると、書いているうちに頭がおかしくなってきそうな文字たちです。
この「う」は、回りくどい、目的にまっすぐ向かわずに回り道をするという意味で、迂遠、迂回、迂闊の「う」です。
MS-IMEでは「う」で登録されていますが、常用漢字には入っていません。
常用漢字には、音で「う」と読む字は、右折の右、宇宙の宇、有無の有、羽毛の羽、雨量の雨、この5文字しかありません。
迂闊の迂は、正字はしんにょうの点が二つであるのに、IMEでは点一つで間に合わせています。
辿る、辻、遥か、などもこの仲間です。
常用漢字を決めたときに、点の数を減らして合理的だと思っていたら、あとになって実用上の不合理が出てきた事例のように思います。
自動車は屋外で走るものだから性能測定は屋外でなければならないと法で定めてしまい、測定のばらつきの制御に困惑するという、あまり賢くないやり方が、違反をやり玉にあげて手柄顔をする醜い人間をつくりだしているのも、お粗末な合理性追求から生まれた珍現象でしょうか。
とかく「決めごと」は「もめごと」のたねになるようです。