箱根畑宿の寄木細工は、石川仁兵衛(1790-1850)が静岡から持ち帰った寄木細工の技術を取り入れて作り出したものとされています。
静岡の寄木細工は、浅間神社造営にあたって全国から集められた宮大工たちの共同創作による工芸技術なのだそうです。
畑宿で誕生という説には、あの山の中で暮らすひとりの知恵者だけが編み出したとは考えにくいと思っていましたが、その不思議は解消しました。
あってないような規則性をもったあの美しい木材工芸品は、模様づくり、材料集め、何段階もの加工と、それぞれの感性と技能の集積がなければ、生み出すことはできなかったでしょう。