(picture/original unknown)
夏の夜に不思議な草がありました。
その草の紫色の花の汁が眠っている人の目に触れると、その人は目を覚まして最初に見たものなら何でも好きになるのです。
ティターニアが目を覚して最初に見たのが、ロバの頭を被った男でした。
ロバ男に現を抜かしている彼女を周りの人たちが見て笑っているのをかわいそうに思ったオーベロンは、間違った目を治す草を探してきてその汁をティターニアの目に塗り付けました。
すると、目の前にいるのはロバの首の付いた男でしたから、彼女はすっかりしょげてしまいました。
そうして短い夏の夜はいつしかあけてゆきました。
紫色の花、ロバの頭、治す草、それらが今も存在を変えて誰にでもある夏の夜の夢として出てくるのです。
真夏の夜の夢 - 松任谷由実(フル)