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航空力学では説明しえない飛び方をするものたちがいる。
空気力発生メカニズムを自ら生み出して飛ぶ者たちがおる。
-例えば、マルハナバチのパラドックス。これは、マルハナバチは実際に空気中で飛行しているにも関わらず、「翅の形状・運動を正確に再現したとしても、航空機の理論上は、マルハナバチは自重を支えるだけの空気力を発生することができない」というものです。
このパラドックスは、“前縁渦”が発見されたことで、ほぼ解決されました。それまで航空力学の分野の常識であった、流線型の翼の周りのスムーズな流れとは大きく異なり、昆虫の翅の上では、翅の前側で流れがはく離して形成される前縁渦と、それに伴う大きな負圧によって、翅が吸い上げられ、大きな力を発生することが可能になります。その発見以来、この前縁渦は、生物の飛翔において非常に普遍的であることがわかってきました。
昆虫などの生物は、過酷な自然界において、自らの姿勢などの情報を絶えず集め、それに応じて翅の運動を制御し、姿勢を安定化・調整することで、巧みな飛行を実現しています。昆虫の翅や筋骨格が柔軟であるということも、人工物と大きく異なる点としてあげられます。彼らが、情報をいかに得て、それをどのように統合し、また、それをどのように利用しているか、また、柔軟性をどのように活かしているかということが解明できれば・・・。 -
切抜/「なぜ昆虫は飛べるのか?」より
普通、飛べるのだから飛んでいるのだと思いがちであるが、飛べるようにしているから飛べるのだ。という知見の拡がりはこの上なく心強い。
Stacey Kent - What A Wonderful World