気になるキーワードや製品のコレクション(IT編)

メルマガ、新聞、雑誌などに登場する(増田悦夫の)気になるキーワード、製品を取り上げ、ITの進展をフォローします。

"物流テック関連の米新興企業"とは

2022-07-30 23:21:31 | 物流・ロジスティクス・関連企業

ECの急拡大を背景に「物流テック(※)」関連のサービスに投資を行う新興企業が米国において注目されているようです。

※ 「物流」と「テクノロジー」を組み合わせた言葉で、物流×ITの分野で活躍する新興企業や物流プラットフォーム運営企業などから生まれた新しい物流サービスを意味しています。

以下のような企業です。

■「Shipium」(注:2019年ワシントン州シアトルで操業、https://www.shipium.com/)

・ネット販売業者向けに”フルフィルメントSaaS(即ち、フルフィルメントマネジメントプラットフォーム)”を提供。EC業者側は、このプラットフォームの利用により、ネット通販の一連業務の管理とともにアマゾン並みの商品配送が可能になるとのことです。

・資金は「Insight Partners(注:ニューヨーク市に拠点をおくVC)」などから調達

■「STORD」(注:2015年ジョージア州アトランタで創業、https://www.stord.com/)

・顧客企業向けの”オンデマンド倉庫(即ち、バーチャルな物流センター機能)”を提供。倉庫業者や配送業者と提携することで倉庫を所有していない顧客に仮想的な物流センター機能を提供しているようです。

・資金は「Kleiner Perkins(注:カリフォルニア州メンローパークに本部を置くVC)」などから調達

■「Flock Freight」(注:2015年にカリフォルニア州サンディエゴで操業、https://www.flockfreight.com/)

・AI活用の”トラック荷台シェアリング”のプラットフォームを開発し配送を最適化。トラックの積み荷スペース(荷台)をシェアするための独自アルゴリズムを使用することで、積載率向上、輸送コストやCO2排出量の削減が可能とのことです。

・資金は「Softbank Vision Fund(注:SBグループの超巨大ファンド)」「GV(注:Googleが単独出資するVC)」などから調達

■「Idelic」(注:2016年にペンシルベニア州ピッツバーグで創業、https://idelic.com/)

・AI活用の”ドライバー管理SaaS(即ち、機械学習を使ってドライバーの車両走行ログを分析・スコア化するプラットフォーム)”を提供。このプラットフォームを使用することにより、ドライバーの安全性の向上、離職率や保険費用の削減が可能とのことです。

・資金は「Highland Capital Partners(注:ボストン、シリコン バレー、サンフランシスコにオフィスを持つグローバルVC)」などから調達

我が国でも、2010年代に入って、モバイル端末やIoT等のIT・ICTの進歩(シーズ)や人手不足への対応やシェアリングによる配送効率・保管スペース効率向上の必要性(ニーズ)を背景に、物流サービスに関する需給マッチングシステムを手掛ける新興企業が登場し積極的な取り組みを展開しています。参考記事として以下のようなものがあります。

”物流における需給マッチング支援システムの進展の状況と今後”、物流問題研究,No.69,pp.99-109, 2020年11月、https://cir.nii.ac.jp/crid/1050292706282681600


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"メタバース向けメガネ型デバイス"とは

2022-07-28 23:54:08 | サイバー空間技術・プラットフォーム・サービス

最近のバズワードになっている「メタバース(※)」という仮想空間に参加する際に利用者が装着するデバイスです。

※ バーチャルな3D空間で利用者はアバターを介してその空間に参加できます。以下の関連ブログ("メタバース"とは、2021.12.10)を参照。https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/52853f11c29b64764f177061e41ab44c

SNSが2000年代半ばに登場しその後スマートフォンのiPhoneが登場しWeb2.0のけん引役デバイスになりましたが、NFTなどWeb3.0時代に有効に機能し得るメタバースを活用するためのメガネ型デバイスは、Web2.0時代のiPhoneに匹敵するような位置づけと考えられているようです。

スマートフォンの6インチ前後の画面は視野角で10°程度でありそこからの情報量が限られているのに対し、メタバース向けメガネ型デバイス装着時の視野角は100~120°にもなりそこからの情報量は圧倒的に多くなります。

メガネ型デバイスがWeb2.0時代のiPhoneと同じような役割を果たすためには、メタバースへの理想の没入感が得られるようにそのデバイスを8時間装着しても違和感がなく疲れないようなものにする必要があるとの指摘(注:米「アドビ」の副社長”ステファノ・コラッツァ”氏)があります。

最近、この種のデバイスも登場しつつあるようですが、本格的なものの登場には、5~10年はかかるとの見方がある(注:米「セカンドライフ」の創業者”フィリップ・ローズデール”氏)ようです。


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"Conata Demand Planner(フライウィール)"とは

2022-07-26 23:11:15 | ビッグデータ・AI・利活用・サービス

新興企業の「フライウィール※」(2018.2.9設立、東京都千代田区、https://www.flywheel.jp/about/)が、2022年6月21日に提供を開始した、企業の在庫適正化などを支援する需要管理サービスです。なお、「Conata(コナタ)」とは、エンゲージメント、オファー、アナリシスの3つのエンジンから構成されたデジタルビジネスプラットフォームのことで、TM(商標)マークが付けられています。

※ データ及びAI(人工知能)を活用したサービスソリューションの提供が事業内容となっています。正社員約60名の6割程度がエンジニア、その4割はグーグルやマイクロソフトなどの出身とのことです。

「データ・AIから最適な品揃えと適正在庫を両立させる」「需要予測による発注と個店の品揃え最適化を同時にサポート」「TSUTAYA が先行導入し、書籍の返品率低減に成功 」などの説明が付けられています。

サプライチェーン上の製造業、卸売業、流通・小売業向けのサービスで、需要予測や自動発注の機能を具備し、在庫管理の効率化や利益率改善を支援するとのことです。

2021年には「TSUTAYA」を運営しているCCC(カルチャ・コンビニエンス・クラブ)と組んで書店事業向けのAI発注システムを共同開発し書籍返品率削減(注:一般的には30%以上のところ13%を達成)の実績を挙げているようです。これを受け、今回の提供に至ったようです。

このサービスでは、商品データ、ID-POSデータ、在庫データ、顧客のネット閲覧履歴、さらには利益率のデータなどを活用することで、ほぼリアルタイムに適正在庫を割り出し、最適な品揃えを提案するとのことです。

このサービスは出版業界に限らず様々な業界を対象にしているとのことです。

ニュースリリース(2022.6.21)のサイトは、https://www.flywheel.jp/newsrelease/20220621/です。


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“RGV、AGV、AMR”とは

2022-07-24 23:31:50 | 自動化・自動運転・自動走行など

いずれも、工場や物流倉庫など閉じた空間で荷物の搬送などのために利用される、人間の操作なしに自動走行できる車あるいはロボットです。

RGV、AGV、AMRのフルネームは、それぞれ、”Rail Guided Vehicle”、”Automated Guided Vehicle”、”Autonomous Mobile Robot”であり、日本語では、それぞれ、”有軌道無人搬送台車”、”無人搬送車”、”自律走行ロボット”などと呼ばれています。

それぞれの概要は以下のとおりです。表も参照。

RGV:レールなどの設備を設置しその軌道上を走ります。

AGV:床の磁気テープ、床や天井のQRコードなど、壁や柱の反射板などの誘導体を利用し設定された経路を走ります。特定の人や車両に追従して走るものもあるようです。

AMR:誘導体を利用せず、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)と呼ばれる技術を利用し周囲の地図と自分の位置とから走る経路を算出し自律的に走行します。

実際の導入に当たっては、搬送する荷物の特徴、作業環境や内容、導入コストなどを考慮した上で適切なものが選択されるものと思われますが、最近登場し利用されつつあるAMRが今後どのように広がっていくか注目されます。


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"JWO(アマゾン)"とは

2022-07-21 23:24:47 | キャッシュレス決済・省力/省人化

アマゾンが開発した、実店舗での買い物をレジなしで行える技術、即ちレジなし決済システムです。”Just Walk Out(ただ歩いて出ていくだけ)”を略したものです。実現には、カメラやセンサー、AI(人工知能)などが利用されています。

来店客の入店時、出店時に本人認証され、商品の購入額はシステムで自動的に集計され、(レジでの支払い処理なしに)出口ゲートから出るだけ(just walk out)で代金が本人の口座に自動的に請求される仕組みです。

入口ゲートでは、アプリのスマホ画面のQRコードをかざすか、手のひらをかざす(※)か、クレジットカードを挿入するかで認証を行います。出口ゲートでも同様です。

※ Amazon Oneと呼ばれる技術を利用。関連ブログ(“Amazon One(アマゾン・ドット・コム)”とは、2021.8.17)は、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/bcdeaea3d3bea7758e1bcbffd8169793です。

従って、店員や機械とも非接触で、レジ待ちのストレスを感じることなく買い物を楽しめることになります。

JWOは、最初の導入で注目された直営のコンビニ「アマゾンGO」(2018年1月~)の他、大型店である直営の食品スーパー「アマゾン・フレッシュ」(2021年6月~)や傘下の自然食品スーパー大手の「ホールフーズ・マーケット」(2022年2月~)の一部の店舗などに設置されてきていて、今後さらに導入拡大される可能性があります。

なお、参考までに、レジの省力化・効率化に関連する以下のような記事があります。

"店舗におけるレジの省力化・効率化策の動向と今後の展望"、流通経済大学流通情報学部紀要、23 (2), 25-43, 2019-03-10、https://rku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=7064&file_id=18&file_no=1


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"ロボマート(米ロボマート)"とは

2022-07-11 23:38:41 | 電子商取引・小売り・リテイリング

米ロボマート(Robomart、2017年設立、本社はカリフォルニア州サンタモニカ)が米国で提供している、ある種の”超速宅配サービス(※)”です。このサービスのコンセプトはCES2018(1月9日~12日)で発表されたようです。日本へのサービス導入は未定のようです。

※ 注文から15分以内に届ける宅配サービスをこのように呼んでいるようです。関連ブログ(“超速宅配サービス”とは、2022.7.6)は、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/590fd48b08af6a8d98936f2507232b77です。

宅配サービスとは言え、ユーザーから「注文され荷造りされた商品を配送する」という従来のネット通販で見られるような形態ではなく、ユーザーからスマホ経由で行われた購入依頼に応じて「無人店舗(スーパー)をユーザーの許へ走らせる」というものです。

モノを売るかサービスを売るかの違いはありますが、乗客が外出先からスマホ経由でタクシーを呼ぶ配車サービス(例.ウーバータクシー)に似ている点があります。ウーバータクシーなどの配車サービスは「ライド・ヘイリング(ride-hailing)」と呼ばれるようですが、ロボマートは「ストア・ヘイリング(store-hailing)」などとも呼ばれるようです。

ユーザーはお店を呼ぶと到着後に商品を選んで購入するだけなので個々の商品を選んで注文する手間が省け、提供業者側も荷造り(梱包)業務が不要で効率的に商品を届けることが可能です。ユーザーの注文から到着まで最短で2分、平均で9分とのことです。また、生鮮品などは実店舗と同じようにモノを見て商品を選べる点がよいと思われます。

なお、到着した店舗においてユーザーが取り出した商品の認識は商品のタグと車内に設置のセンサーで行い、決済は事前登録のクレジットカードへ請求するようです。

運営上の課題として走らせるクルマの台数や売れた商品を補充する拠点の数をコストとの関連でどうするかなどが考えられます。現在、走る店舗には運転手が乗車しているようですが、ユーザーの買い物に対応することはないようです。将来的には運転手なしで店舗(スーパー)を走らせることを考えているようです。

現在、ロボマートの店舗のタイプとしては、”薬局ロボマート”と”スナックロボマート”の2つが運営されているようです。

ロボマートのローンチの動画(2021.6.8公開)のサイトは、例えば、https://www.youtube.com/watch?v=rCID82zLcQQです。

CESでの発表に関連する内容のサイト(注:ブログ記事、2018.1.8)は、http://blog.livedoor.jp/usretail/archives/52044517.htmlです。


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“超速宅配サービス”とは

2022-07-06 23:52:39 | 宅配便・輸配送(管理)サービス

(きちんと定義されているのか分かりませんが、特に食料品の)注文から配達までにかかる時間が15分以内の宅配サービスがこのように呼ばれているようです。

新型コロナの影響で食料品宅配の需要が拡大しました。企業間競争における差別化・効率化のためなどで配達までの時間の短縮化競争が繰り広げられているようですが、その結果として登場してきたサービスと言えます。

”超速宅配サービス”以前では、配達までの時間の短縮要求への対応として”即日宅配サービス”が知られています。超速宅配も即日宅配の範疇ではありますが、ウォルマートやアマゾン・ドットコム、インスタカートなどの大手が行っている即日宅配では注文から1~2時間が限界であったようです。

米国では最近になって超速宅配サービスが注目されているようです。以下のようなサービスが知られています。

■「ロボマート(Robomart、米、2017年創業)」

 =>最短2分(平均9分)。”走る無人スーパー”といって店舗を呼びつけるタイプ(注:”store-hailing”とも呼ばれる)

■「バイク(Buyk、露発、2021年~)」

 =>15分以内。”ダークストア(※)”と呼ばれる在庫拠点の設置で対応

※ 関連ブログ("ダークストア"とは、2021.12.30)を参照:https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/927fe31af55bc7be4df36be6cc53bcd2

■「ゴリラズ(Gorillas、独発、2020.6~)」 

 =>10分以内(生鮮品)。

■「フリッジ・ノー・モア(Fridge No More、米、2020.10~)」

 =>15分以内(食品)。「冷蔵庫のない未来」を掲げているようです。

今後、どのような展開となっていくか注目されるところです。

関連サイトは、例えば、https://forbesjapan.com/articles/detail/45065です。


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“日野デュトロ Z EV(日野自動車)”とは

2022-07-01 23:38:34 | 乗り物/同サービスイノベーション

日野自動車が2022年6月28日に発売開始した小型EVトラックです。EV(即ち、電気自動車)の日野自動車からの発売は今回が初めてのようです。

『物流現場での使い勝手を追求した超低床・ウォークスルーの小型EVトラック』や『「物流のラストワンマイル」の現場での使い勝手を追求』などのフレーズが付けられています。

以下のような点が特徴となっているようです。

1)販売の形態は売り切り型でなく「車両保守を含めた5年間リース契約」の形態のみ。これは、EV導入に対する顧客の不安の緩和を考慮した結果のようです。

2)荷室の高さを一般の小型トラックの半分(即ち、地上から40cm)と低くした。これは、積み下ろしといった荷役の負担の軽減を考慮した結果のようです。

3)トラックの電動化で協業している他社(独トレイトン社、中国BYD)との共同開発でなく、独自開発とした。

なお、今回の小型トラックは、積載量が1トン、一度の充電での航続距離は150kmなどとなっており、配送センターと届け先との間のラストワンマイル配送需要への対応が想定されているようです。

小型EVトラックは2017年に三菱ふそうトラック・バスから「eキャンター」と呼ばれるものが販売され、ベンチャー企業のフォロフライからも2022年8月頃から小型EVトラックが販売開始となりそう(※)です。また、2022年度後半にはいすゞ自動車もEVを投入する予定のようです。

※ 関連ブログ("小型EVトラック(フォロフライ)"とは、2022.6.28)の以下のWebページを参照。ttps://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/1d7e9ac3ebd49d2cec41ed8c75000f16です。

トラック業界においてはCO2排出量削減等の観点からEVへの期待が大きく、それへの対応として小型トラックあるいはリース契約型といった無難なところからの販売開始が始まりつつあります。

プレスリリース(2022.6.28)のWebページは、https://www.hino.co.jp/corp/news/2022/20220628-003275.htmlです。

また、過去の関連プレスリリースのWebページは以下です。

・実証実験開始の公表:https://www.hino.co.jp/corp/news/2021/20211122-003102.html(2021.11.22)

・小型EVトラック開発の公表:https://www.hino.co.jp/corp/news/2021/20210415-002872.html(2021.4.15)


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