気になるキーワードや製品のコレクション(IT編)

メルマガ、新聞、雑誌などに登場する(増田悦夫の)気になるキーワード、製品を取り上げ、ITの進展をフォローします。

“インプレゾンビ”とは

2024-11-09 23:39:25 | ソフトウェア技術・サービス・SNS

XなどSNSによる投稿のインプレッション数を稼ぐ("インプレ稼ぎ"の)目的で、バズった投稿(ポスト)や多くの人にフォローされているニュースアカウントなどに便乗する形で、その投稿をコピーして盗用したり、返信として意味のない不適切な内容や偽情報の投稿を繰り返したりするような人(アカウントやbot群)のことを指しているようです。

例えば、2024年1月の能登半島地震の際、Xにおける首相官邸やニュースなどのサイトでなされた「地割れで〇〇号線が通行止めになっています」などのポストに対し、(海外からも含めて)「元気ですか」「日本は美しい!」「Hmmmm」などの無意味な内容の投稿がなされたようです。これにより有益な情報の拡散が阻害され問題となったようです。

"インプレゾンビ"は、"インプレ"(略さないと”インプレッション”)と"ゾンビ"との合成語であり、前者(インプレ)は画面上に”表示されること”、即ち、ネット広告やX(旧ツイッター)の投稿などが閲覧中のユーザーの目に留まることを指しており、後者(ゾンビ)は、魂の入っていない無気力な人のことなどを指しています。

インプレゾンビは、日本において使われている言葉であり、「ツイッター」から「X」に名称変更された2023年7月24日直後の2023年8月(注:米国などでは7月)に、インプレッション数に応じて収益を配分する仕組み、即ち「クリエイター広告収益配分プログラム(※1)」が導入されたことを受け、それを悪用する形で登場した現象のようです。

なお、インプレゾンビのような投稿のその後の広がりを受け、Xでは、2024年11月8日より、収益配分の仕組みを変更したようです(※2)。即ち、収益配分の原資を有料会員から得られた会費収入の最大25%とし、インプレッション数ではなく有料会員のエンゲージメント(即ち、有料会員からの返信や「いいね」、ブックマーク、視聴時間など)に応じて配分する仕組みに変更したようです。インプレッション数稼ぎの問題投稿には罰則も科すようです。

※1 サブスクリプション「Xプレミアム」に加入しているユーザーで、最近3か月間のインプレッション数が500万件以上、フォロワーが500人以上の場合に、広告収益を配分する仕組み。

※2 以下のサイトを参照:https://help.x.com/ja/using-x/creator-revenue-sharing


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"総合知"とは

2024-11-04 23:42:49 | 学術・サイエンス・概念など

専門家が持っている「専門知」やSNS上の意見を集約したような「ネット集合知」など様々な「知」が、単なる寄せ集めでなく有機的な形にまとめ上げられた「知」のことを指しているようです。別な言い方をすると、様々は要因の絡み合った複雑な問題や課題への対応策(即ち、とるべきアクション)の拠り所となる「知」のことのようです。ここで「知」は、知識、知性、知恵、知能といったものの総称と言えます。

総合知の普遍的な定義は現状存在しないと思われます。ですが、政府は、「第6期科学技術・イノベーション基本計画(※)」を踏まえた当該会議有識者懇談会による検討の中間とりまとめの内容を2024年3月に公開しています(注:下記参考文献2を参照)が、その中で「総合知」を以下のように表現しています:

「多様な『知』が集い、新たな価値を創出する『知の活力』を生むこと」

※ 関連ブログ("第6期科学技術・イノベーション基本計画(政府/文科省)"とは、2024.11.3、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/b8e1569f3c84335c5742a330c391ca4e)を参照

総合知が求められる背景として、東日本大震災や新型コロナのような社会問題や課題への対応には、専門家が持つ「専門知」や「ネット集合知」だけの利用では限界があるとの見方があり、それらの問題や課題の解決のために関連する多様な「知」を持ち寄り、それらを融合させることにより最適な解を導きだすことが重要といった考え方があるようです。総合知は別名「現実対処知」などとも呼ばれたりするようです(注:下記参考文献1を参照)。

総合知の活用に向けた取り組みが今後活発化し、色々な事例が出てくることが期待されていますし、期待したいです。

<参考文献>

1.危機を乗り切る「知の形」とは?、読売クオータリー2022冬号、2022/1/31、https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/cksocialsports/20220127-OYT8T50041/

2.「総合知」の基本的考え方及び戦略的に推進する方策 中間とりまとめ、内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局、2022.3.17、https://www8.cao.go.jp/cstp/sogochi/honbun_print.pdf


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"第6期科学技術・イノベーション基本計画(政府/文科省)"とは

2024-11-03 23:31:29 | 国や地方の政策・行政手続き

2021年度~2025年度の科学技術・イノベーション政策の方針をまとめたものです。2021年1月16日に基本計画の素案がまとめられ、同3月26日に閣議決定されています。

この基本計画は、2020年6月に成立した、「科学技術基本法」(1995年制定)の改正版「科学技術・イノベーション基本法」を踏まえて策定されたものです。ちなみに、第1期~第5期は「科学技術基本計画」という名称で、第1期が1996~2000年度、第2期が2001~2005年度、第3期が2006~2010年度、第4期が2011~2015年度、第5期が2016~2020年度をそれぞれ対象とした計画でした。

この基本計画の大目標として、「持続可能で強靭な社会への変革」や「一人ひとりの多様な幸せ」の実現が挙げられていますが、その下で、(1)社会変革(即ち、第5期の継続で、DX、脱炭素、スタートアップ育成など)、(2)研究力強化(即ち、博士課程学生・若手研究者の支援、大学ファンドの創設など)、(3)教育・人材育成(即ち、初等中等段階からの教育、社会人の学び直しなど)の3点を柱にまとめられています。5年間の研究開発投資の目標は総額で過去最大の30兆円(官民合わせた総額が120兆円)となっています(注:第5期の目標は26兆円)。

2020年6月に改正された上記「科学技術・イノベーション基本法」では、「従来、対象としていなかった人文・社会科学のみに係るものも法の対象とされ、加えてあらゆる分野の知見を総合的に活用して社会課題に対応していく」という方針が示されており、本基本計画では、これを受けた形で、科学技術・イノベーション政策が、人文・社会科学と自然科学を含むあらゆる「知」の融合による「総合知」の活用により、人間や社会の総合的理解と課題解決に取り組むことが示されています。

科学技術・イノベーション基本法のWebページは、https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC1000000130です。

本基本計画の関連資料をとりまとめた、政府のWebページは、https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/index6.html(内閣府)です。


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"交通事故ゼロ社会実現に向けたトヨタ・NTT連携"とは

2024-11-01 23:44:49 | 企業戦略・企業ブランド・ビジネスモデル

安全と自由が調和した豊かなモビリティ社会の実現に向けた第一歩としての「交通事故ゼロ社会の実現」に向けた、AI・通信の取り組みに関するトヨタ自動車とNTTとの連携です。2024年10月31日の両者共同の記者会見で発表されました(※1)。

連携の内容は、交通事故ゼロ社会の実現に向けた取り組み(三位一体型インフラ協調、高度運転支援/将来的な自動運転システムの開発、AIエージェントの開発など、注:下方リンクの報道発表資料を参照)に資する「モビリティAI基盤」の共同構築です。この基盤は、以下のような3つの要素から構成され、実現された暁には、共感する産官学パートナーによる活用も想定されているようです。

①分散型計算基盤(データセンター):NTTのIOWN(アイオン)を活用し、計算リソース(データセンター)を分散設置。高い電力効率を実現。

②インテリジェント通信基盤:ヒト、モビリティ、インフラを切れ目のない通信により協調させる。

③AI基盤:上記①、②をベースに、ヒト、モビリテイ、インフラからの多様なデータを学習し、推論する。

モビリティAI基盤の開発を2025年以降にスタートさせ、2028年頃から様々なパートナーとの三位一体でのインフラ協調による社会実装を開始し、2030年以降の普及拡大を目指しているとのことです。2030年までの5年間で両社合わせて5,000憶円規模の投資を見込んでいるようです。

なお、両社は、2020年にも、「スマートシティプラットフォーム」の構築・運営を共同で行う資本業務提携も結んでいます(※2)。

ニュースルームのサイト(トヨタ自動車、2024.10.31)は、https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/41746612.htmlです。

ニュースリリース(NTT、2024.10.31)のサイトは、https://group.ntt/jp/newsrelease/2024/10/31/241031b.htmlです。

※1  共同記者会見の動画サイト(トヨタ自動車、2024.10.31)は、https://www.youtube.com/watch?v=Tzu2onb2yYk&t=1779sです。

※2 以下のニュースルームのサイト(トヨタ自動車、2020.3.24)を参照願います。https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/32057066.html


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