気になるキーワードや製品のコレクション(IT編)

メルマガ、新聞、雑誌などに登場する(増田悦夫の)気になるキーワード、製品を取り上げ、ITの進展をフォローします。

“リアルタイムIoT”とは

2022-11-15 23:41:42 | IoT・デバイス・プラットフォーム・変革

物理世界に設置されたセンサーからインターネット経由で集められた「リアルタイム」のデータを分析し、「リアルタイム(即座)」にアクションを起こせるような応用(あるいはソリューション)をこのように呼んでいるようです(※1)。

※1 「リアルタイムIoTに挑む」、日経ビッグデータ、2014年8月号、pp. 6-11

収集されたセンサーデータを蓄積し、それを分析し、結果を将来的な計画や戦略に活かすような応用に対比する概念として使われているようです。用語として、定着はしていないようです。

IoT(あるいはCPS:Cyber-Physical System、あるいはデジタルツイン)の普及や検討が進む中、リアルタイムIoTの応用が広がりつつあると思われますが、上記※1の文献では、当時の事例として、以下のようなものが紹介されています。

(1)災害等有事の際の周辺状況のは握:有事発生の際に多様なリアルタイムデータ(交通・気象・地形や建物倒壊リスクなど)を収集しかつ組み合わせ、危険の回避に役立てるような応用。東北大学の桑原雅夫教授が取りまとめをしている産学協同の”DOMINGOプロジェクト(※2)”が紹介されています。クルマのプローブデータに他のデータを組み合わせるなど。

※2 多様なデータ融合による災害時のモビリティ支援、http://www.plan.civil.tohoku.ac.jp/kuwahara/research/2017DOMINGO.pdfを参照

(2)店舗内の顧客や場所のは握:iOS7から標準搭載されている「iBeacon機能」(※3)を利用し、スマホを携帯する顧客と現在位置を認識し、マッチした販促情報等をスマホへ提供するような応用。

※3 BLE(Bluetooth省電力版)を用いた情報提供サービス。関連ブログ(“iBeacon(アップル)”とは、2014.1.2)は、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/f570c86c2eaf9301a2e7a77cab4ad717です。

(3)インフラのダメージのは握:東京湾の「東京ゲートブリッジ」の様々な場所に光ファイバー応用のセンサーを設置、大地震等の発生時にセンサーデータからトラック等が橋を通行可能かどうかをリアルタイムに判定するような応用。

(4)リサイクル品回収タイミングの把握:複数のスーパーに設置された古新聞・雑誌の回収箱に重量センサーを設置、重量をリアルタイムに監視し、満杯に至る前、適切なタイミングに巡回回収できるようにする応用。

(5)生活パタンの把握:機械学習機能付きサーモスタット(自動温度調節装置)を利用しているユーザの生活パタンを把握、その人の身の回りの機器を自動でコントロールできるようにする応用。

上記の応用は、ほんの一部と思われ、今後、IoTとしての特性を活かした応用、例えば、物流サービスにおける需給間のマッチングや移動サービスなど、分野間、業界間を跨るリアルタイムIoTの応用が広がりを見せていくものと思われます。


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”運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)”とは

2022-08-03 23:11:42 | IoT・デバイス・プラットフォーム・変革

デジタル技術で(旅客、貨物の)運輸業界を変革することを狙いに、2016年8月9日、(ウイングアーク1st株式会社の小島薫氏らにより)設立され、2018年6月8日に一般社団法人化された協議会です(※1)。TDBCは”Transportation Digital Business Conference”の略です。事務局は東京都港区(ウイングアーク1st株式会社内)です。

※1 現在の代表理事小島薫氏の『TDBC Forum 2022』での挨拶の動画を参照。サイトは、https://www.youtube.com/watch?v=78uGxUA_vxEです。

運輸業界だけに閉じず様々な分野のサポート企業とも連携した上で、毎年度、テーマ毎に複数のWG(Working Group)を設定し活動を進めているようです。即ち、課題を持っている企業の他、解決策や関連技術に関連する企業も参加し、単に課題とそれに関する議論の結果の共有や共感で終わりということではなく、課題解決策の設定、社会実装に向けた実証実験の実施、さらにその検証を通してサービスinにつなげるまでを行うようにしているようです。

活動の実効性を高めるため、1年をサイクルとして、7月にForum(成果発表・活動方針)を開催、その後、10月、12月、3月に当該年度の全体会合を開催することにしているようです(※2)。2022年7月7日のForum2022においては、事務局長の鈴木正秀氏から『2022 TDBC最新報告とご案内』と題して最近の状況が報告されています。その動画のサイトはhttps://www.youtube.com/watch?v=rXQ0lptgOxkです。

※2 Forum(7月)→全体会合:ゴール発表(10月)→全体会合:活動共有(12月)→全体会合:活動共有(3月)→Forum(7月)→・・・といったスケジュール

ちなみに、2022年度に設定されているWGは以下の9つのようです。特に、WG05の動態管理プラットフォームについては、2022年1月に「株式会社traevo(トラエボ)」(https://traevo.jp/)が設立され、2022年4月13日よりトライアル運用を実施中であり、2022年9月1日からサービス提供予定で進められているようです。

WG01 事故撲滅と実現のための乗務員教育
WG02 健康経営の推進と健康課題解決
WG03 MaaSへの取り組み
WG04 運輸業界の人材、働き方改革
WG05 動態管理プラットフォームの社会実装と活用
WG06 運輸業界共通プラットフォームへのはじめの一歩からその先へ
WG07 遠隔操作・自動化で実現する安全・安心な作業現場と迅速な災害対応
WG08 無人AI点呼実現への挑戦
WG09 SDGsおよび環境、エコドライブ

なお、本協議会の2022年7月31日現在における会員数は166社(すなわち、事業者会員70社(業界団体9、事業者61)、サポート会員96社)となっており、さらに関連会社が1社(注:株式会社traevo)となっています。

広い分野からの多くの会員が参加し、年間スケジュールに基づいて実効的に運営されている本協議会の今後の成果が注目されます。


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“イベントベースビジョンセンサー”とは

2022-05-26 23:32:13 | IoT・デバイス・プラットフォーム・変革

ビジョンセンサー(※1)の先端的な技術(※2)で、対象物の動きや周囲の環境に対して変化分(即ち、イベント部分)のみを捉えて出力するセンサーです。このため、⾼速かつ低遅延での出⼒が実現できるといった特徴があります。EVS(Event-based Vision Sensor)と略称されたりします。

※1)カメラによって撮像し(注:ハードウェアにて)、データとして認識し、対象物の状態(輝度など)や位置ずれなど人間が理解できる形の結果にして(注:ソフトウェアにて)、出力する機器で、人間が目で見て対象物の状態などを認識するようなメカニズムに似た役割を果たす機器のようです。色々な用途に利用できるようですが、例えば製造業で部品や位置ずれの検査などに利用されているようです。https://jss1.jp/column/column_204/#1などのサイトを参照。

※2)例えば、ソニーのニュースリリース(2020.2.19)のサイトを参照:https://www.sony.com/ja/SonyInfo/News/Press/202002/20-0219/

半導体商社のレスターホールディングス(HD)は、EVSを街路灯や施設の照明に組み込み、人や車の移動データを、当該HDが提供しているAIプラットフォーム(注:子会社のレスターエレクトロニクスが、ディジタルメディアプロフェッショナル、仏プロフェシーとの協業で提供している)上に収集し、災害時の避難ルート作成や商業施設の開発計画などに役立てスマートシティづくりを支援していきたいとのことです。自治体や企業などの需要を喚起したいようです。

ニュースリリース(2022.4.25)のサイトは、https://www.restargp.com/news/3987/です。


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“プッシュログ(アスコ)”とは

2021-04-02 23:49:46 | IoT・デバイス・プラットフォーム・変革

コンサルティングサービスを手掛けるアスコ(USCO)社(2003.7~、大阪市)が開発した、産業用のIoT向け通信端末です。PUSHLOGと綴ります。2020年2月にGW-400シリーズを発売しています。

「簡単に、接続できる・設置できる、FA仕様 小型ゲートウェイ」といったフレーズがつけられています。

PLC(Programmable Logic Controller)と呼ばれる制御装置(注:機械の自動化システムの頭脳部分)に接続するだけで、機械の稼働データを自動的に収集しクラウドサーバー上へアップロードできるようです。

「PLCとプログラムレスで接続するための各種プロトコルを搭載」といった説明がされているように、稼働データを収集しクラウドへアップする部分のプログラムを特に作製することなく、IoTシステムを構築することが可能とのことです。

これまで、機能アップが何度か図られてきているようですが、最新の機器では、10秒に1回の頻度で最大148種類までのデータを取得できるようです。従来では、1分に1回だけ、20個のデータの取得に制限されていたようです。

製品紹介サイトは、http://www.uip.usco.jp/about/pushlogです。

プッシュログのセッティング(10分以内で遠隔監視開始)を説明する動画は、https://www.youtube.com/watch?v=vq2i7yzbfAg&t=215sです。


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“プレイズム(いすゞ自動車)”とは

2019-05-08 23:38:00 | IoT・デバイス・プラットフォーム・変革

いすゞ自動車が、2015年より開始した、販売するトラックについて無料で提供するコネクテッドサービスです。PREISMと綴ります。

このサービスでは、運行中の車両から800項目におよぶデータがネットワーク経由で取得され、機械学習により故障が予知されます。保守サービスとも連携していて、故障予知情報は専用サイト経由で顧客へ知らされるとともに車両の位置に近い工場が手配されるため、その工場では交換部品等が準備され、立ち寄るとすぐに対応が可能となるようです。

このサービスに対応する車両は、2015年には新型の大型車両のみでしたが、2018年秋からは全サイズの車両が対象となっているようです。2020年までには販売台数を25万台にする計画になっているようです。この種のサービスの導入により人手不足に悩む物流業界の需要を取り込みたい狙いがあるようです。

いすゞ以外にも、三菱ふそうトラック・バスや日野自動車など他社トラックにおいて、ネットとつないで収集した情報を活用する類似のサービス(注:前者は故障予知、後者は車両位置管理)が提供されているようです。

関連サイトは、例えば、以下です。

https://response.jp/article/2015/10/29/263109.html

https://response.jp/article/2019/04/02/320841.html

 

 

 


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“VisIoT(OKI)”とは

2018-12-15 23:01:52 | IoT・デバイス・プラットフォーム・変革

OKIが開発し、2017年11月15日に提供開始した、IoTの画像センシング技術とAI・アナリティクス技術(即ち、各種情報を用いて高度な分析を行い活用する技術)を活用した店舗業務改善支援ソリューションです。“ビショット”と読みます。

このソリューションは、「集める」「見える」「改善する」をコンセプトとして、店舗内のヒト・モノ・コトのデータをIoTにより収集・見える化し、さらにAI・アナリティクス技術を用いたデータの分析・活用によりさまざまな課題を解決して店舗の業務改善を支援することを狙ったもののようですが、第1弾として、「レジ適正台数見える化」および「レジ混雑予測」の2サービスの提供を2017年11月に開始したようです。

特に、「レジ混雑予測」システムでは、カメラが買い物客(年齢、性別)の入店を監視し、15分後や30分後にレジに並ぶ客数をAIが予測するようです。OKIには、以前の実証実験により、客の年齢や性別と店舗内での滞在時間の関係のデータが蓄積されているようです。予測結果に基づき、店長らが持つスマホに稼働させるべきレジ台数を知らせるようになっています。人手不足時代の店舗の効率的運用を支援してくれるようです。

なお、このシステムは、北関東最大手のスーパー「ベイシア」に導入されているようです。 

プレスリリース(2017.11.15)のサイトは、https://www.oki.com/jp/press/2017/11/z17061.htmlです。


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“スマート宅配ポスト(LIXIL)”とは

2018-10-22 23:57:13 | IoT・デバイス・プラットフォーム・変革

LIXILが2018年10月1日に販売を始めた、IoTを活用した戸建て向け宅配ボックスです。

「複数個の荷物受け取りや集荷依頼も可能とする、シンプル&スマートなデザインの業界初 IoT宅配ポスト」といったフレーズが付けられています。

自宅の無線LANを利用して外出先から荷物の到着を確認でき(スマホに知らされ)たり、宅配ボックスに内蔵されたカメラを通して宅配業者と話しながらボックスを開けて荷物を入れてもらったり、投函や荷物取り出しの様子の映像をスマホによりリアルタイムに確認できたり、できるようです。

価格は、カメラ付きボックス+インターホン内蔵のタイプで、26万6000円(税抜き)とのことです。

ニュースリリース(2018.9.26)のサイトは、https://newsrelease.lixil.co.jp/news/2018/040_exterior_0926_01.htmlです。


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“NB-IoT”とは

2018-03-25 23:08:08 | IoT・デバイス・プラットフォーム・変革

フルネームは、Narrow Band-IoT(Internet of Things)です。

3.9世代携帯電話向けの通信規格としてLTE(Long Term Evolution)が知られていますが、NB-IoTは、LTE規格をIoT向けに変えたもので、狭帯域(従って低通信速度)で低消費電力、広域をカバーできる点が特徴です。

LTEで使用する帯域幅が5M~20MHzであるのに対して、NB-IoTでは180kHz分と狭く、通信速度は、NTTドコモの場合で上り最大63kbps、下り最大29kbpsとなっています。帯域を狭くすることで、基地局と同時に接続できるデバイス数も増やせるようです。10MHzの帯域幅を使用するLTEのNB-IoTの場合で、LTEの場合の50倍になるとのことです。

また、消費電力を減らすために情報やりとり上の工夫も盛り込まれています。通信は、上り下りを同時には行わない半二重にしたり、定期的な通信(ページング)の間隔を延ばしたり、状態変化がない場合、その状態を維持してページングを停止(省電力モードに)したり、などです。

なお、低電力(Bluetooth LEやZigbee相当)で、かつ携帯電話回線並みの広いエリア(約100m~10km超)をカバーする、IoT向け無線通信技術は、総称で「LPWA」(Low Power Wide Area)と呼ばれており、NBーIoTはLPWAの1種です。LPWAに属する規格として、他にLoRaWAN、Sigfoxなどが知られています。


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“SORACOM Air(ソラコム)”とは

2018-02-26 23:01:28 | IoT・デバイス・プラットフォーム・変革

株式会社ソラコム(SORACOM, INC、2014年11月設立、東京都世田谷区)が2015年9月に開始した、IoT(Internet of Things)に特化した通信サービスです。

IoTでは色々なモノが色々なインターフェースでインターネットにつながりますが、モノ(デバイス)をインターネットに(特に無線で)接続する部分をサービスとして提供するものです。

通信に必要な機能はクラウド上に構築されており、IoTのアプリケーションを開発したいユーザは、このサービスで提供されるSIMカードを購入し、クラウド上にアプリを開発することになります。2016年11月には、グローバルで利用できるSIMカードも発売したとのことです。

現状、以下の3タイプのサービスが提供されているようです。

(1)SORACOM Air for セルラー(国内およびグローバル):3G/LTE に対応したデータ通信 SIM "Air SIM" を提供 
(2)SORACOM Air for LoRaWAN:LPWA(Low Power Wide Aria)規格のひとつであるLoRaWAN を利用 
(3)SORACOM Air for Sigfox:LPWA(同上)規格のひとつであるSigfox を利用

2018年2月時点で顧客は9000を超えているようです。

SORACOM Airサービスのサイトは、https://soracom.jp/services/air/です。


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"VisIoT(OKI)"とは

2017-12-06 23:52:00 | IoT・デバイス・プラットフォーム・変革

OKI(沖電気工業)が2017年11月15日に発売開始したシステムです。”ビショット”と読むようです。このシステムは、スーパー、ホームセンター、アプレル店などの小売店におけるレジの混雑をAIが予測するものです。

店舗の入り口あるいはレジの付近にカメラを設置し来店者やレジで待つ人の数を計測します。カメラの映像をAIで解析することにより、人の性別や年代も推定するようです。

一方、OKIでは、年代や性別に対応づけて店舗内での買い回り時間のデータが「RFID(無線周波識別)」を利用した実験によって収集されています。

カメラ映像の解析結果と収集されているデータとを突き合わせ、入店して15分後や30分後にレジに何人並ぶかを予測するようです。これにより、稼働させるべきレジの台数をスマホ経由で店長へ知らせるようになっているとのことです。

現実の世界のあらゆるものをインターネットに接続し収集したデータをAI等で分析して結果を現実の世界へ戻すというIoTの考え方に従ったシステム、即ち「CPS(Cyber Physical System)」の一例とも言えます。

プレスリリース(2017.11.15)のサイトは、https://www.oki.com/jp/press/2017/11/z17061.htmlです。


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