2023年春から「川口市クルド人問題」がちょくちょくネットの話題に上っていました。
以前私が知っていたクルド人と言えば、
2015年、イスラム国(IS)がシリアのクルド人居住区に侵攻したけれど
勇猛なクルド民兵組織がそれを撃退した、という話題でした。
ISは西側諸国と対立していたので、クルド人の軍事的勝利は日本でも
(クルド人すごい!勇猛果敢ですばらしい民族だ)
みたいな論調で報じられていた気がします。
ところが、2023年春に唐突に勃発した「川口クルド人問題」では、
クルド人はいかに無法者で埼玉県川口市で市民に迷惑かけまくっているか、
はやく日本から出ていけ、みたいな論調で書かれているのです。
私は(あれ?どうなってるのかな?)と思いました。
その後イスラエルの冷酷無比なガザ侵攻-ジェノサイドが始まり、
私の頭からクルド人も他の事も全てぶっ飛んでしまったのですが、
先日、Xで「川口クルド問題」がいまも投稿されているのを発見しました。
自分の中で放置してきたその「問題」に目を向けないとなあ、と見てみると
まず、Xやインスタには
自称「川口市に住む中学生」や「平和な生活がしたい川口市民」などが、
読んだだけでは事実かどうか不確かな「クルド人こんなに酷い」内容を
訴えているのが目に付きます。
「何疑ってんねん」と思うかもしれませんが、
何しろこちらは斎藤元彦県知事問題で
意図的デマ・扇動のただ中にいる兵庫県民ですから、
誰が書いているのか、書いてあることが事実かどうかについて、
何でもすぐ信じてしまわず、と言うか取り合えず懐疑的目線で
一つ一つの記事の出どころや客観的証拠などに神経を使うクセがついているのです(;^ω^)。
まずマナーの悪さで「ゴミの出し方がめちゃくちゃだ」「公共の場で喧しい」
といった指摘がありますが、
これは決してクルド人だけではなく、
以前、日本に観光や留学で来た中国人に対しても非常によく言われていたことですよね。
私は中国で約10年間仕事に就いていましたが、初めの頃は、
朝6時に国歌を大音響で鳴らす大学放送局に怒りを禁じ得ませんでしたし、
家の中から道路に向かってごみを放り投げる現場に出くわして唖然としたものです。
朝7時に宿舎の台所の工事に来る無神経さ(私が修理に来てくれと頼みはしたけど7時とは)、
朝、学校に行く途中、カップ麺や饅頭を歩き食いし、汁もゴミ箱に捨てるマナーの悪さ、
バスが来るまで並んでいても、来た途端わらわらと我先に乗り込み、
満員で戸口に摑まったものの乗り込めないおばさんを
「後のバスに乗れ!」と発車して振り落とす運転手……、
書いたら切りがないほどです。
(宿舎工事は山東省、それ以外は江西省での体験です。
10年以上前のことなので今はずいぶん変わっているでしょう。)
しかし、一方、小さな声で静かに話す人や内気な中国人も大勢いたし、
道路の汚物をヤシの木箒で掃除する年配のお婆さんもいました。
バスで、小銭がないと誰かが言えば、
乗り合わせた見知らぬ人が代わりに出した場面も何度も見ました(つまりカンパね)。
バスの中が込み合って身動き取れない時は(南昌市ではほぼ常にそうです)、
後ろの人が前の人の肩をトントンと軽く叩いて
バス代(1元~2元)を渡します。前へ前へと料金は次々増えてパスされ、
運転手席横の料金入れにまとめてジャラ~と入れられます。
全てのスーパーには自分の持ち物を入れるコインロッカーがあるのですが、
一元コインを何回入れても転がり落ちるのを見かねたのか、
「来、来来来(ライ、ライライライ)」(=どれどれ、私がやったげるよ)と、
これまた見知らぬおじさんがやってくれた(バン、と叩いたら上手く収まった)こともあります。
・・・・・・
こういうふうにして、人々に慣れ、異文化を受け入れていくんだなと思います。
まず、「ここは日本だから日本の法律に従うのが当然だ」ということには賛同します。
しかし、それぞれの民族にはそれぞれの習慣・文化があり、
相手が日本に来るまでどのような生活をしていたのかを理解することで、
不可思議で受け入れがたいと固くなに思っていたことが融解することもあります。
相手にも丁寧に日本のやり方を示してあげる必要もあります。
互いに胸を開いて交流することがなかったのでしょうか。
「郷に入れば郷に従え。嫌なら出ていけ!」
今、クルド人を嫌がる人たちの口から発せられるのはこんな言葉ばかりです。
もし自分が相手の立場だったら?と置き換えて考えることもせず自分のことばかり…。
日本人って、昔からこんな狭量な人種だったんでしたっけ??
異文化理解は国際感覚の一丁目一番地なのに・・・。
実は国際感覚欠如だけでなく、川口クルド問題は政治絡みの匂いがプンプンします。
それについてはまた(その2)で書きますね。
↓ 散歩していて巨大な魚の骨のような枯れ枝を見ました。秋ニレでしょうか。