註:中国語で「高校」とは日本語の大学を指し、日本語の高校は中国語で「高中」と言います。
昨夜、煙台から夜行に乗り、今朝菏澤に戻りました。
(やれやれ、自分の宿舎が一番落ち着くわい)と、洗濯して一息つきながら、
昨日のスピーチコンテストの写真を整理しました。
コンテストの正式名称は「第三回“泰山杯”山東省大学日本語スピーチ大会」です。
今年は、出場校が29校に増えて出場者のレベルも過去二回に比べ、
全体的に高くなった気がします。
しかし、一生懸命発表する選手たちを見ていると、
どの子も健気で可愛いなあと思えて仕方がありませんでした。
下が菏澤学院代表の殷雪珂さんです。演台があるので小柄な彼女は
せっかくの身ぶり手ぶりが隠れてしまいました。
煙台大学が開催校としていろいろ準備してくれたことには感謝するものの、
演台なんか、近年のスピーチコンテストでは使われることのないものです。
また大会全体の司会は、過去二回は中日二ヶ国語でされたのですが、
今回は中国語のみ。
招待処の「外国人お断り」とともに、
ここはいったい何時代の教育機関なのかとムカムカしました。
さて、スピーチ大会は第一部の「課題スピーチ」(前もってテーマが与えられているスピーチ)と、
第二部の「即席スピーチ」(テーマを聞いて10分間で準備するもの)から成ります。
第一部は課題テーマの「瞬間」、殷雪珂さんのスピーチは非常に迫力があり、
大会後、審査委員長から「君のスピーチは上手でしたよ。印象に残っています」
と言っていただくほどでした。
(この分で行くと優勝も夢じゃないかも)と取らぬ狸の皮算用をしていたところ、
第二部の即席スピーチで彼女は、規定時間の2分~3分に満たない、
1分50秒で「以上です!」とやたら元気よく終わってしまったではないですか。
これでは失格、0点です。
ま、それでも第一部の成績が考慮されて、総合では第三位に入賞しました。
後で彼女に聞くと、彼女の直前の出場者のことで楽屋ですったもんだあり、
分刻みのスケジュールのしわ寄せが彼女に来て、
準備時間が5分ぐらいしかもらえず、従って、ろくに考えられなかったと言うのです。
日本では考えられませんが、中国的にはいかにもありそうなことです。
それでも、「5分もあれば2、3分程度の話ができなくてどーする。
そのために普段から授業でディベートをしたり、話の構成を考えてきたはずだ。
例えば具体例を挙げただけで1分は話せる」と私が言ったあと、
彼女がポツリと言うには、
「私は演技力はあるけど、知識と思考力はないということがよく分かりました」と。
そして、「明日から、それを身につける練習をします」と。
なんと健気な学生でしょう。
煙台市の私立高校の日本語教師として働き始めた
今年卒業した先輩趙寧さん(写真右)も駆けつけてくれました。
左は日本語学部の楚煥煥 主任です。
顔の形が似ていますね。
それでも3位入賞とは、凄いことですよね。
やっぱり教師の質が高いんだと改めて感じています。
殷雪珂さんにもいい経験だったことでしょうね。
お疲れ様でした。
そうは言っても、勉強といえば試験で高得点を得るために丸暗記することだった学生たちにとって、自分の頭で考え続けたり、言葉で主張したりすることは簡単ではなさそうです。
私に残された期間は長くありませんが、その指導に重点を置いていこうと思いました。