3月31日(水)読了。
2020年本屋大賞・第3位の作品。
水墨画の世界って、そうなんだぁ~ いうことが
よく分かって・・・。
(僕は線を描く ではなくて、「線は僕を描く」 という
意味が読んでいく中で分かった!!)
主人公の青山霜介は、高校生の時に交通事故で両親を
亡くします。
その後、引きこもりに近い状態で日々を過ごしていましたが、
偶然に水墨画の大家(篠田湖山)からその才能を認められ
その世界で成長していく姿が丁寧に綴られていて。
(著者の砥上裕將氏、思ったより若い方でした。
文才あり、画才あり すごい!!)
霜介は、湖山画伯から与えられた課題を部屋の床が失敗した
画仙紙で見えなくなるほど懸命に練習を積んでいきます。
また、霜介は湖山画伯の孫の千瑛と「湖山賞公募展」で
湖山賞を競い合う羽目にも・・・。
そして、水墨画についてかなり詳しく書かれていて、
素人が読んでもよく理解できてるなぁ~ と。
それもその筈、著者は水墨画家でもありました。
(砥上氏の水墨画)
水墨画は、「欄に始まり、欄に終わる」 と言われているようです
その教本の中には 「四君子」 というお手本があって、
そのお手本を極めることが最も大切なことであるよう。
因みに、「四君子」とは 「竹・梅・菊・欄」のことで
草花の君子であると称えられています。
(竹のお手本です。これを見て何枚も時には、1か月も1年間も
練習をするようです。)
湖山画伯の水墨画を見る視点は
「筆致の雰囲気や絵の性質もいうが、もっと端的に言うと
楽しんでいるかどうか。」
これを「気韻生動を尊ぶ」と語られていました。
~ 水墨画を鑑賞して、この画家が楽しんで描いているかどうか?~
なんて、とても奥が深いなぁ~。と思った。
小説の最後も 霜介と千瑛が闘う関係ではなく、理解しあえる
同志になることもできて。
心が穏やかに清々しい気持ちで本を
閉じることができて、何故かうれしかった!!!