犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

久しぶりのフィリピンバー

2022-05-14 00:33:05 | 飲む
 久しぶりに池袋のフィリピンバーに行きました。

 最後に行ったのは、1年以上前です。

「本当に久しぶりだね」

 客は私だけ。店もママさんだけで、女の子はいない。

「来るはずだったんだけど、急に熱が出たって」

「コロナじゃない?」

「ハハハ、そうかも」

「ママはかからなかった?」

「私は大丈夫。でも、お客さんはたくさんかかったよ」

「なんか、最近は普通の風邪みたいな感じだよね」

「これ、まだ残っている」

 なんと、1年以上前のスコッチのボトルをまだ取っておいてくれていました。

「今日は、昼間、マッサージやったよ」

「マッサージ、よくやってもらうの?」

「ちがう、ちがう。私がしてあげたの」

「ああ、そういえば勉強してるって言ってたね」

「やっとライセンスがとれて、今月から営業してる」

「いくら?」

「今は1時間5000円。始めたばかりだから。1か月したら8000円もらうつもり」

「コロナのおかげで、ライセンスとれたよ。店閉めててヒマだったから」

「お金もらったの? 協力金だっけ?」

「もらった。すごく助かった」

 このお店は、雑居ビルの5階で、カウンター6席と、テーブルが2つの狭い店です。なので、賃貸料も12万円ほど。ママさんとアルバイト2人ぐらいでやっています。

 休業とか時短営業の期間は、要請に従えば、協力金がもらえたのですね。

「最初は1日5万円だった。そのあと少し下がったりしたけど、いちばん最近は1日2万5000円」

「へえ、じゃあ、営業するより儲かったんじゃない?」

「そうそう。時間もあるし、お金ももらえたから、マッサージのライセンスがとれた」

「大きい店はそんな金額じゃやってられないよね」


 協力金は店の規模にかかわらず、一律だったはずです。

「大きい店はつぶれたところが多い」


 すると、若い女性がやってきました。

「さっき、電話で呼んだの。別の店の子だけど、そっちがヒマだからって」

 お店同士で女の子を融通しあっているようです。

「はじめまして」

「日本語、うまいね」

「もう10年住んでますから」

「何歳のときに来たの?」

「16歳。高校卒業してすぐ来ました」

 フィリピンは義務教育機関が日本より短いので、高卒年齢も若いのです。母親が日本人と再婚して日本に住んでいたので、家族呼び寄せビザで来たらしい。人生いろいろです。

「そういえば、大統領が変わったね」

「ボンボン・マルコスね。これからフィリピンはもっとよくなるよ」


 二人ともマルコス支持のようです。

「マルコスっていいの?」

「うん。お父さんが偉かったからね」


 私には独裁者のイメージしかないのですが…。

「マルコスはたくさん仕事したよ」

「アキノは?」

「あれはダメ。何もしなかった。あのあとフィリピンはどんどん悪くなった」

「マルコスは亡命したよね?」


「アメリカが勝手にハワイに連れてった。家族はみんな苦労したらしいよ」

「ドゥテルテもよく頑張った」
と女の子。

「昔のマニラは、夜、女の子は危なくて出歩けなかったけど、今は大丈夫。不良をドゥテルテがみんなつかまえたから」

「麻薬も取り締まったよね」

「酔っ払い運転もなくなったよ」

「前はつかまっても警官にわいろをやっておわりだったけど、ドゥテルテはブタ箱に入れたから」

 あれやこれや話していると、ママのスマホが鳴りました。お客さんが来るようです。残っていたスコッチもなくなったので、切り上げることに。

 5人の団体さんと入れ替わりに店を出ました。

 リモートワークが多いので、次にいつ行けるかはわかりません。

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2 コメント

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Unknown (スンドゥブ)
2022-05-16 13:06:23
私の行きつけも無くっちゃいました。
その後、隣の隣の駅のスナックにしばらく行ってましたが、時間制でコスパが良くないと思い、行かなくなりました。
返信する
大阪の店 (bosintang)
2022-05-16 22:20:45
大阪赴任中によく行っていた飲み屋のいくつかも、閉店したという消息を、風の便りで聞きました。
返信する

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