犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国とアイルランド⑤の補足

2009-09-05 23:58:36 | 近現代史
 ゲルマン民族大移動以後のヨーロッパにおいてアイルランドの果たした役割について,別の資料を紹介しておきます。

 アイルランドの修道士は大勢大陸各地に派遣されて布教活動に当たるようになるが,厳しい修道院生活によって鍛えられたアイルランド人は行動力に富んだ,すぐれた布教者であった。こうした海外での布教活動は多くの困難をともなうところから,修道士自身にとっても修行の一部と考えられていた。彼らはスコットランドのみならず,遠くイングランド,フランス,ドイツ,ベルギー,スイス,イタリアなどまで足を伸ばした。すなわち聖パトリックによってキリスト教の洗礼を受けたアイルランドは,その数世紀後に,その恩恵を大陸諸国へ及ぼすことによって「恩返し」をしたのである。(波多野裕造『物語アイルランドの歴史』1994中公新書)

辺境の役割
 ヨーロッパにおいて,古典ラテン語についての正しい知識はやはり修道院に保存されていた。それもローマではなく,かえってローマから遠い土地において,つまり完全に外国語としてラテン語を学ばなければならぬ地域において,文語としてのラテン語がもっとも規範に近い形で維持されていたのである。
 古典文化の正しい知識に対する関心が最初に高まったのは,なんとアイルランドである。6世紀以後,アイルランド出身の学識僧はイングランドや大陸に進出して宣教活動をし,異教古典文化についての知識をも伝播させた。そしてイングランドにおいても古典文化に習熟する学識僧が生まれた。(中略)
 中心地にではなく僻地にこそ古い文化が保存されることは,日本でもよく知られている。一例が古語の保存で,本居宣長が「すべて田舎には,いにしへの言の残れること多し」(玉勝間)と述べているように東北地方とか沖縄を含む南西諸島には平安朝時代の単語が残っていることが報告されている。(小林標『ラテン語の世界』2006中公新書)

 小中華を決め込んでいた当時の朝鮮は,儒教思想を固持していましたが,「行動力」はなかったようですね。日本と同じように鎖国政策をとり,わずかに朝鮮通信使が儒学の書物を日本に持ち込んだ程度。

 むしろ,海外への布教という意味では,急速にプロテスタント国化している現代韓国の旺盛な布教活動のほうが,古代アイルランドに近いかもしれません。日本(統一教会)のみならず,アフガニスタン(→リンク)やブラジルや南アフリカやモンゴル(→リンク)にも足を伸ばしています。

 その教義が「正しい」かどうかは別問題です。(→リンク

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