犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国で中国漁船衝突・沈没

2010-12-19 23:11:18 | 日々の暮らし(帰任以後、~2015.4)
 尖閣諸島近海での中国漁船衝突事件から3カ月が経ち,人々の記憶から薄れつつありますが,韓国で似たような事件が起こりました。

中国漁船が韓国艦に衝突・沈没、取締官に暴行読売新聞

 記事を要約すれば,韓国の排他的経済水域内で違法操業していた中国漁船を,韓国海洋警察の警備艦が取り締まろうとしたところ,中国の漁船員から鉄パイプで殴られるなど暴行を受けて負傷。漁船は警備艦に体当たりしたあと沈没。船員のうち一人が死亡,一人が行方不明。

 韓国政府は犠牲者が出たことに遺憾の意を表明し,一方中国は抗議などはしていないとのこと。

 尖閣漁船問題では,中国漁船が実は中国軍の意を受けたスパイ船だったのではないかという見方を紹介しました(→リンク)が,今回の韓国での衝突は偶発的なもののようです。

 韓国側にもけが人が出たのに,韓国もこの事件を騒ぎ立てようという気配は今のところありません。この種の取り締まりと拿捕は日常的なもので,たまたま中国漁船が沈没したのでニュースになったにすぎない。

 もしかして「体当たり」した船長は,尖閣事件にならって自分も「英雄」になろうとしたのかもしれませんが,尖閣のときは,体当たりしても大丈夫な頑丈な船だったのに比べ,今回の船はやわだった。「作戦行動」と「事故」の違いが現れています。

 違法操業自体は,さまざまな場所で各国の漁船により常習的に繰り返されており,韓国漁船による日本領海内の違法操業も相当にひどいらしい。中国の違法操業を咎め立てして,自分たちの違法操業が言挙げされるのをおそれているのかもしれません。

 また,日本の漁船も北方領土方面でときどき摘発されていますから,あまり他人のことはいえない。

 北方領土近海では,ロシア漁船による漁獲割り当てを無視した乱獲がひどく,タラバガニなどが激減していますが,密漁されたタラバガニは最終的には日本や韓国に輸出されているというから問題は複雑です。

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2 コメント

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日本の現状認識 (AmIAHO)
2010-12-25 18:57:23
善し悪しではなく気になる点として。
日本の論調を数々拝見していますが、個人的に気になるのは、日本国内に現状認識として「現在の日本がサンフランシスコ条約体制下にある」ことの是非を論じるものが、ほぼ皆無な点が上げられます。
韓国、中国、ロシアの何れもが署名していない、サンフランシスコ条約を当然のこととし、誰一人疑問を挟まない。この点では日本国民は一致団結しているようです。

現在の日本が抱える周辺国との領土問題も、その根源の一つはここにあるのですが、自己を客観視する作業にもう少し目を向けることを考えても良いのにと、思わないこともありません。

さて、本年中はお世話になりました。
良いお年をお迎えください。
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不起訴 (犬鍋)
2010-12-27 00:42:21
韓国は外交問題への発展を恐れ,不起訴にしたとのことです。

確かに東京裁判に異議を唱える人はあっても,サンフランシスコ条約体制に疑問を呈する人は少ないですね。

セヘボンマニパドゥセヨ
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