空の縁

　以前一度行ったことがある新大久保のチュニジア料理の店に、久しぶりに行きました。連れは日系ペルー人。バーに行くのが目的だったのですが、その前に腹ごしらえしなければということで、たまたま通り掛かったチュニジア料理に入ったのでした。

　入ってみると、店は閑散。

　フランス人ぽいアジョシが笑顔で迎えてくれます。客はわれわれ二人だけでした。冗談で、

「ラクダとかありますか？」

と聞いてみました。昨年末にいった渋谷の獣料理屋（リンク）で食べ損ねたのが残念だったこともあります。

「ああ、ラクダは、今年はまだ入荷していないんです」

（！！！）　あるんだ！

「そ、そうですか。いつもはあるんですか？」

「ええ。おいしいですよ」

　ラクダは次回のお楽しみとして、何か変わったものはないかなあとメニューを探す。

ホロホロ鳥

　食べたことのない食材を発見しました。チュニジアビールが切れていたのでモロッコのビールに前菜はチュニジア風キッシュと羊の煮込み。メインディッシュのホロホロ鳥のローストが出るころにはレバノン産ビールを追加。

　ホロホロ鳥は、ま、いってみれば鶏肉ですね。味が薄いので、辛味ペーストをつけて食べます。ちょっとした腹ごしらえのつもりが、がっつりしたディナーになってしまいました。

　コリアンバー・ＳＫＹはそこから目と鼻の先。われわれが行ったとき、こっちの店の客もわれわれだけでした。キープしてあったシングルモルト、グレンフィディック１２年を傾けながら、韓国語交じりのおしゃべり。

　時刻が１０時を回ったころ、二人連れのお客さんが入ってきました。

「あれ！　Ｋさん！」

「あっ、犬鍋さん」

　つい一週間前に、この同じ店で飲んだ韓国在住２０年目のＫさんが、友達と連れ立って入ってきたではありませんか。

「これは奇遇ですね。こちら、以前ソウルに駐在していたＴさんです」

　連れの方を紹介していただきました。すると…

「もしかして、以前漢南洞のダーツバーでお会いしませんでしたっけ」

「ダーツバーというと、ＳＯＲＡ？」

　私は記憶に残っていなかったのですが、やはりＫさんといっしょに駐在時代に通っていたダーツバーでご一緒したようです。

「私も結構飲むのが好きで、漢南洞をよくうろついていたんですよ」

「そういえば、順天郷病院の前に東京ってカラオケがありましたね」

「ああ、あのサザンが好きな主人がやってるやつ」

ひとしきりソウル時代の話が盛り上がりました。

「それにしても、ＳＯＲＡで初対面、ＳＫＹで再会とは…」

「犬鍋さん、それ、ブログに書こうと思ってるでしょ！」

「ばれた？」

　まだまだ話は尽きそうになかったのですが、翌日の仕事のことも考えてわれわれは１１時過ぎに店を出ました。

「じゃ、次はソウルで飲みましょうね」

「はい、連絡お待ちしてます」