犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

人類の発祥

2010-03-30 23:48:58 | 文化人類学
 現在有力な説では,現世人類(ホモ・サピエンス)は,15万年前から20万年前にアフリカで発祥し,それが全世界,津々浦々に広がったものだそうです。

 それ以前にも,アフリカ大陸を出てユーラシア大陸に進出した人類がいました。たとえばホモ・エレクトス(ジャワ原人,北京原人)や,ネアンデルタール人(ヨーロッパ)などです。しかし,それらの人類は気候変化や,現世人類との生存競争に敗れ,滅亡したと考えられています。

 かつてはネアンデルタール人が現生人類の祖先であると考えられたり,北京原人はモンゴロイドの,ジャワ原人はアボリジニーの祖先であるという考えもありましたが,現在は否定されています。

 その根拠となるのは遺伝子の研究です。古代人類の化石からミトコンドリアDNAの抽出が可能になり,分子時計から進化の分岐年代がわかるようになったからです。

 ところが,中国ではいまなお,北京原人が中国人の祖先だと教えられているようですね。先日,中国人の話していて,それがわかりました。北京原人が大型動物の狩猟を始め,火を使い,埋葬をし,いまのモンゴロイドにつながっていると,学校教育の中で教えているようなのです。

「でも,今は否定されているでしょう?」

「それはわからないですよ。証拠の骨を日本が持っていっちゃったから」

「えっ,そうだったっけ」

「そうですよ。戦争のときに。早く返してくださいよ」

「…」

 あとで調べたところによると,

「周口店の発掘は,20世紀初頭にカナダ人のデイヴィッドソン・ブラックがロックフェラー財団の資金支援を得て始めたもので,29年には北京原人の頭蓋冠が見つかるなど華々しい成果をあげた。(…)日本軍の侵攻で中国での戦争が激しくなると,発掘は中断し,北京原人化石の安全が懸念されることになる。ロックフェラー財団と中国の協定で,化石は中国国内から持ち出されないことになっていたが,ワイデンライヒが日米開戦の年の41年6月アメリカに戻ったため,化石も一時的にアメリカに避難させることになり,日米開戦前夜の11月下旬,協和医学院から北京のアメリカ軍兵営に移された。日本軍がロックフェラー財団に設立された協和医学院を接収したときは,化石のしまわれていた金庫はもはやもぬけの殻だった…」(河合信和『人類進化99の謎』)

とあり,別に日本人が盗んだわけじゃないと思うんですが…

 かつて北京原人は大型動物を狩猟し,火を使い,死者を埋葬したといわれていましたが,その後の調べで,その多くに疑問符がつき,今これを信じるのは中国人学者だけだそうです。

 韓国の場合,80年代に人類学の埴原教授が「韓国には人類学者が一人もいない」とどこかに書いていました。今はいるんでしょうか。

 1993年に古朝鮮を建国した檀君王倹の陵を発掘し,人骨を発見,それが今から5011±267年前という分析結果が出て,「檀君」の実在を科学的に証明した実績(→リンク)にある北朝鮮では,そのうち数百年前の「朝鮮原人」が発見され,朝鮮半島が人類発祥の地であることが科学的に証明されちゃいそうな気がします。

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