ブラジル便り～鶏唐定食

　一年振りのブラジル出張です。

　ＪＡＬ便はニューヨーク経由。乗り換えも含め，所要時間はほぼ２４時間。度重なる警告にもかかわらず，機内のトイレで我慢できずに煙草を吸ってしまう人が出るのも，この長距離便の特徴です。行きの飛行機では２人が禁を犯し，厳重注意を受けていました。

　退屈な機内の時間は，映画でも見てつぶすしかない。普段，あまり映画を見ないので，どれも見たことがない作品ばかり。今回は「ドラゴンボール」（洋画）や「ニセ札」（邦画）など，４本を見ました。

　到着は現地時間の朝でした。サンパウロと東京の時差はちょうど１２時間なので，日付さえ気にしなければ時計の針を変える必要がないのが便利です。サンパウロは今冬なので気温は１５度，ワイシャツ１枚では肌寒い。

　チェックインが１４時からということで，まずはスーパーに行って，２週間のホテル暮らしに必要な品々を買い込みます。コーヒー豆，スパゲティーの麺，スナック菓子，レトルト食品，水と，ワイン，セルベージャ（ビール），カシャーサ（ブラジル特産のサトウキビ酒）などの酒類。その他，洗濯用洗剤，食器用洗剤などは使い切れないので同行の出張者とシェアします。宿泊は，キッチンのついた長期滞在用のホテル。出張先の事務所から歩いて５分なので，昼御飯もホテルに戻って自炊することが可能です。

　ブラジルは，私がよく出張する国々の中では食べ物がまずいほうなので，毎日外食すると飽きてしまいます。初日の午後は，時差ぼけでふらふらするなか，出張日程の確認のみ。夜は，ホテル近くの日本料理屋に行きました。来ていきなり日本料理というのもどうかと思いましたが，料理を味わうような身体状態ではない。

　店の名は「栄」と書いて「シゲ」と読ませる。そんな読み方あったっけ？　今回同行した出張者は以前ブラジルに駐在したことがあり，この店の主人とも懇意です。開店当初は閑古鳥が鳴いていて，存続が危ぶまれていたそうですが，テレビで紹介されてから人気が出て，夜８時ごろには満員になります。

　私はから揚げ定食を，連れは天ぷらそばを頼みました。板前は日本人（日系人）で，店の作りも料理も日本式です。

　ただ，量がブラジル式。

　まずグリーンサラダが大皿に大盛りで運ばれます。それを食べ終わるとメインディッシュが出てくるのですが，これまた大盛り。やや小振りの鶏のから揚げがざっと３０ピースぐらい出てきて，これが一人前だというから驚きです。

　味のほうはというと，肉が小さいせいか，よく揚がりすぎていてややしっとり感がなかったものの，まあまあです。

　そのほかに味噌汁とごはんと漬け物が「定食」の内容。ビールを頼んでいたこともあり，とても食べきれるものではありません。定食の値段は，ブラジルの食事としては少し高めで１２００円ぐらい。

　これが長い出張の最初の食事でした。