コーヒーをおとす

　岩手では、孫を連れて、子どもを遊ばせることのできる施設に遊びに行きました。

　一つは、紫波町子育て応援センター『しわっせ』。長女が美容院に行く間、そこで遊ばせておいてほしいと言われたのです。お母さんがいなくて、泣くんじゃないかと心配でしたが、孫はそこに備えられていた遊具に興味を持ってくれて、約二時間、泣くこともなく楽しそうに過ごすことができました。

　翌日に行ったのが「県立児童館いわて子どもの森」。

　けっこうな山奥で、カーナビで示されていた道は積雪のため、冬季通行止め。電話して、別のルートを教えてもらい、やっとたどり着きました。

　屋外の施設も充実していて、夏季にはアスレチックもあるようで、小学生も楽しめそうです。

　私たちは、０～２歳児用の一画に行きましたが、さまざまな遊具、おもちゃ、絵本などが充実していて、孫もうれしそうでした。これで無料とは驚き。

　過疎化が進む岩手県では、子育てがしやすい環境をアピールし、若い夫婦を誘致しているんだとか。

　長女も気に入ったようで、今後繰り返し来ることになりそうです。

　『しわっせ』のほうで、食事をしたときのこと。

　食後にコーヒーが飲みたくなって、あとからコーヒーを追加注文しました。ランチにプラス１００円です。

「これからおとすんで、ちょっと時間がかかりますが」

「は？」

　横から長女が、「大丈夫です」とこたえてくれました。

　店員さんが行った後、

「今、おとすって言ったよね」

「うん。何かおかしい？」

「コーヒーをおとすって言うの？」

「言うよ、ふつうに」

「そうか。きっと、ドリップコーヒーなんだろうね」

　私の語彙にはなかったので、ネットで検索すると、確かに「コーヒーを落とす」という表現を使う人はいるようです。

　大阪に帰ってから、新しい表現の採録に熱心な三省堂国語辞典第７版を引いてみましたが、２６種類ある「落とす」の用法に、この使い方は見当たりませんでした。

　第８版に載るかどうか、注目したいと思います。