ソウル駐在時代の旧友からお誘いがありました。
「以前行った源希(店の名)のご主人が、先週、東北地方を回って食材と地酒を仕入れてきたそうです」
「それは楽しみですね」
源希というのは三陸の海の幸と東北3県(岩手、宮城、福島)の地酒を出す割烹。東北出身のご夫婦がやっているこぢんまりとした店です。
新鮮な刺盛と別にかつおのたたき、ほや、焼き物などをつまみに地酒が進み、気づけば5種類の日本酒をいただいていました。
〆は味噌汁です。
作り置きではなく、注文を受けてから出汁をとり始めるという本格的な味噌汁は絶品です。
「もう一軒、気になる店があるんですよ。一人じゃ入りにくくて」
「じゃ、行きましょう」
外観は若向きのカウンターバーですが、奥のほうにダーツが見えます。客は一人もいないようです。
カウンターに座りメニューを見ると、カクテルやスコッチの品揃えも豊富。一見、何の変哲もないカウンターバーです。
中年の男性のご主人が、一人でやっているようです。
「あれ?」
メニューの最終ページの最後の文字がひっかかりました。
ありがとうございましだ
「珍しい誤植ですね」
「日本人ならこんな間違い、しないよね」
酒が運ばれてきたとき、ご主人に声を掛けました。
「ご出身は?」
「あっ、中国の大連です」
(やっぱり!)
「日本に来て、22年になります」
どうりで日本語が流暢なわけです。
中国で高校を卒業したあと、17歳のときに日本に留学。日本で福建省出身の女性と結婚し、いろいろあった末、今のお店をやっているとのこと。
東北大震災のときも中国には帰らなかったそうです。
「大連にはもう帰るべき家がないし、妻も福建省に帰りたくないというので…」
「コロナで大変だったでしょう?」
「うちはメインが深夜営業でしたから、時短では仕事にならなくて。ずっと閉めてましたが、最近、また平常営業に戻りました。協力金のおかげで、なんとか持ちこたえています」
私たちの後に、小学生ぐらいの子ども2人を連れた家族がやってきて、奥の席で家族でダーツに興じています。夜10時なのに、不思議な家族です。
そのあと、いかにもヤンキーな感じの若者が5人ぐらい来ました。
「ちょっと、やりますか?」
「ダーツなんて、何年ぶりだろう」
実はわれわれは15年前、ソウル駐在時代に、一時期、韓国のダーツバーにはまったことがあったのです。
「クリケットってなんだっけ?」
「忘れた」
01、カウントアップ、クリケットと、ゲームの種類を選ぶのですが、よく思い出せなくて、もっとも単純なカウントアップを選びました。
結果は1勝1敗。
もっとしたかったのですが、終電の時間が迫ってきたのでお開きに。
会計をするとき、大連出身のご主人に小確幸という言葉を知っているかと聞いてみました。
「さあ、中国語なら〇△×と発音しますけど、知らないですね」
以前、大塚で出会った、やはり大連出身の若い女性も知らないといっていました。地域的な理由か、ずっと日本にいるからか…。たぶんその両方でしょう。
旧友と上質の割烹をいただいたあと、カウンターバーでダーツというのは、私にとって小確幸の一つです。
〈参考〉
韓国の小確幸についての小不確考
韓国の小確幸についての小不確考 その2
大塚の小確幸
「以前行った源希(店の名)のご主人が、先週、東北地方を回って食材と地酒を仕入れてきたそうです」
「それは楽しみですね」
源希というのは三陸の海の幸と東北3県(岩手、宮城、福島)の地酒を出す割烹。東北出身のご夫婦がやっているこぢんまりとした店です。
新鮮な刺盛と別にかつおのたたき、ほや、焼き物などをつまみに地酒が進み、気づけば5種類の日本酒をいただいていました。
〆は味噌汁です。
作り置きではなく、注文を受けてから出汁をとり始めるという本格的な味噌汁は絶品です。
「もう一軒、気になる店があるんですよ。一人じゃ入りにくくて」
「じゃ、行きましょう」
外観は若向きのカウンターバーですが、奥のほうにダーツが見えます。客は一人もいないようです。
カウンターに座りメニューを見ると、カクテルやスコッチの品揃えも豊富。一見、何の変哲もないカウンターバーです。
中年の男性のご主人が、一人でやっているようです。
「あれ?」
メニューの最終ページの最後の文字がひっかかりました。
ありがとうございましだ
「珍しい誤植ですね」
「日本人ならこんな間違い、しないよね」
酒が運ばれてきたとき、ご主人に声を掛けました。
「ご出身は?」
「あっ、中国の大連です」
(やっぱり!)
「日本に来て、22年になります」
どうりで日本語が流暢なわけです。
中国で高校を卒業したあと、17歳のときに日本に留学。日本で福建省出身の女性と結婚し、いろいろあった末、今のお店をやっているとのこと。
東北大震災のときも中国には帰らなかったそうです。
「大連にはもう帰るべき家がないし、妻も福建省に帰りたくないというので…」
「コロナで大変だったでしょう?」
「うちはメインが深夜営業でしたから、時短では仕事にならなくて。ずっと閉めてましたが、最近、また平常営業に戻りました。協力金のおかげで、なんとか持ちこたえています」
私たちの後に、小学生ぐらいの子ども2人を連れた家族がやってきて、奥の席で家族でダーツに興じています。夜10時なのに、不思議な家族です。
そのあと、いかにもヤンキーな感じの若者が5人ぐらい来ました。
「ちょっと、やりますか?」
「ダーツなんて、何年ぶりだろう」
実はわれわれは15年前、ソウル駐在時代に、一時期、韓国のダーツバーにはまったことがあったのです。
「クリケットってなんだっけ?」
「忘れた」
01、カウントアップ、クリケットと、ゲームの種類を選ぶのですが、よく思い出せなくて、もっとも単純なカウントアップを選びました。
結果は1勝1敗。
もっとしたかったのですが、終電の時間が迫ってきたのでお開きに。
会計をするとき、大連出身のご主人に小確幸という言葉を知っているかと聞いてみました。
「さあ、中国語なら〇△×と発音しますけど、知らないですね」
以前、大塚で出会った、やはり大連出身の若い女性も知らないといっていました。地域的な理由か、ずっと日本にいるからか…。たぶんその両方でしょう。
旧友と上質の割烹をいただいたあと、カウンターバーでダーツというのは、私にとって小確幸の一つです。
〈参考〉
韓国の小確幸についての小不確考
韓国の小確幸についての小不確考 その2
大塚の小確幸
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