韓国では豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)を壬辰倭乱(イムジンウェラン)といいます。壬辰というのは干支(十干十二支の組み合わせで60年周期を表わす暦)の一つで、1592年のこと。文禄の役の始まった年ですね。慶長のほうは1598年で、干支で言えば丁酉。だから慶長の役のほうは丁酉倭乱なのですが、こちらのほうはあまり聞かない。二つを合わせて壬辰倭乱と言っているようです。
ところが、この呼び方が来年から「壬辰戦争」に変わるそうです。来年から高校の科目として新設される「東アジア史」の一部の教科書がこの名称を採用するとのこと。詳しくはこちらの記事(→リンク①、②)
記事の中にいろいろな理由があげられています。
「朝鮮と日本、明が7年間戦争を行い、その結果明が衰亡して清が中国大陸を占めるなど東アジアの構造変化を起こした歴史的事実」に「倭乱」という用語は不適切。
「倭乱」という表現は「倭人」(日本人)が起こした乱という意味で、「東アジア3カ国が戦った国際戦争の性格を表現できない」
当時世界的に最も規模が大きかった戦争という点を強調して「7年戦争」という用語を使ってきた学者もいる。
「壬辰倭乱や丙子胡乱という用語は被害者の敵対感が込められた用語で、朝鮮王朝実録でそのように記述されたのが固定されていたもの」
「壬辰倭乱は韓国の立場が強く込められた用語で、韓国史ではなく東アジア史を編纂しながら自国中心的用語に固執することはできなかった。学術的見地から壬辰戦争と変えて呼ぶからと日本が韓半島を侵略した事実が変わるものではない」
「倭寇が開港場で動乱を起こした事件を意味する三浦(サンポ)倭乱には適切な表現かもしれないが、7年壬辰戦争にも倭乱という用語を使うのは学術的に適切な用語ではない」
要するに、あの戦争は規模が大きかったので、「乱」ではなくて「戦争」がふさわしいというところでしょうか。
日本は昔は「朝鮮征伐」と呼んでいたようですが、「征伐」は悪いやつをやっつけるというニュアンスで、別に朝鮮は悪いことをしていたわけじゃないので、「朝鮮出兵」という言葉が使われるようになりました。
一方、「文禄・慶長の役」の「役」というのは、辞書によれば「戦争」の意味の古語。だから、日本では以前より「戦争」と呼んでいたことになります。
朝鮮にとって秀吉軍の侵略は、ちょうど日本が蒙古に侵略されたのに似ている。日本では蒙古の侵略を「蒙古襲来」とか「元寇」と言う。「寇」は侵略の意味ですね。しかし「寇」を使った「倭寇」のほうは別の歴史的事件の名称。「蒙古襲来」にならえば「倭襲来」とか「日本襲来」と呼んでもよさそうです。
ところで、日本で「朝鮮戦争」と呼ばれている戦争は、韓国では「韓国戦争」、「6・25(ユギオ)戦争」と呼ばれます。
こちらのほうも、以前は「6・25動乱」だったのが、あるときから「戦争」に格上げされた。最近では「韓国戦争」と呼ぶと原因が韓国にあると思われるので、6・25戦争で統一すべきという意見があったと記憶します。
日本では大東亜戦争時の中国との戦いを、「支那事変」と呼んでいたものが、「日中戦争」に変わったのと似ています。こっちは、規模が理由で変えたのではなかったはず。日本が、戦前、中国との戦いを戦争と呼ばなかったのは、宣戦布告なき戦争だったから。でも、振り返って見れば、明らかに戦争だったので、「日中戦争」に呼びかえたのでしょう。(ちゃんと調べずに書いていますので、間違っていたらご指摘ください)
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