韓国語で「肉」を表す言葉は二つあります。一つは「コギ」,もう一つは「サル」。
「サル」については以前,このブログで書いたことがあります(→リンク)。
「カルビサル」のような言い方もありますが,概して食用の肉は「コギ」,「骨と肉」のような生物学的,解剖学的な肉は「サル」を使うようです。英語のミート(食用)とフレッシュ(組織)の使い分けに似ています。日本語ではどちらも「ニク」で,言い分けませんね。
牛,豚,鶏はソ,テジ,タク。
肉の名前はソコギ,テジコギ,タクコギ。
ソコギはときに「スェコギ」とも言われます。ただ,ウシ/ギュウのように,ソが固有語でスェが漢字語(音読み)かというとそうではない。この点は日本語と違います。たぶん「ソエコギ」(牛の肉)が縮まったものでしょう。
またタク(にわとり)のコギ(肉)を,セコギ(鳥+肉)と言うこともない。
では料理名になるとどうなるか。
鶏肉を使った料理は,タッカルビ,チムタク,プルタク,タットリタン,タッコムタン,タッカンマリ…。
「タッコギ」が料理名に入ることはなく,「タク」になるようです。サムゲタンは「ゲ」の部分が「鶏」の音読み。
次に豚肉料理。テジカルビ,サムギョプサル,ポッサム,チョッパル,カムジャタン,スンデ…。
やはり「テジコギ」が料理名に入ることはない。というか,ふつうは「テジ」も料理名に入りません。思いつくのは「テジカルビ」ぐらい。
では牛肉はどうか。
牛肉を使った料理は,カルビ,カルビチム,プルコギ,ユッケ,カルビタン,コムタン…。
「ソコギ」や「ソ」の入った料理は見当たりません。「コギ」が入った料理は,わずかに「プルコギ」のみ。
「牛肉(ソコギ)」は料理名の中では「肉(コギ)」になる,というより,「牛肉」は料理名の中では消滅するという法則が成り立ちそうです。
「カルビ」というのは「あばら骨」。通常,あばら骨の周囲の肉の部位を指します。豚や鶏は「テジカルビ」,「タッカルビ」というのに,牛の場合はたんに「カルビ」という。
「牛消滅の法則」が働いている例です。
韓国で「コギモグロカジャ」(肉を喰いにいこう)といわれた場合,私の語感では,それが牛肉なのか豚肉(たとえばサムギョプサル)なのか,微妙なところ。ただし,サムゲタン(やポシンタン)は思い浮かびません。
一方,韓国では魚のことも「コギ」と呼ぶこともあります。フグ鍋を食べにいって,ミナリ(せり)ではなくフグの身を追加するとき,
「コギチューカヘジュセヨ(肉の追加お願いします)」
と言ったりします。
そもそも魚は韓国語で「ムルコギ」。直訳すると「水の肉」です。ただし,ムルコギは生き物としての魚で,食べ物としての魚はセンソン/漢字で「生鮮」。この二つを言い分けるのは,韓国語独特のものです。
「サル」については以前,このブログで書いたことがあります(→リンク)。
「カルビサル」のような言い方もありますが,概して食用の肉は「コギ」,「骨と肉」のような生物学的,解剖学的な肉は「サル」を使うようです。英語のミート(食用)とフレッシュ(組織)の使い分けに似ています。日本語ではどちらも「ニク」で,言い分けませんね。
牛,豚,鶏はソ,テジ,タク。
肉の名前はソコギ,テジコギ,タクコギ。
ソコギはときに「スェコギ」とも言われます。ただ,ウシ/ギュウのように,ソが固有語でスェが漢字語(音読み)かというとそうではない。この点は日本語と違います。たぶん「ソエコギ」(牛の肉)が縮まったものでしょう。
またタク(にわとり)のコギ(肉)を,セコギ(鳥+肉)と言うこともない。
では料理名になるとどうなるか。
鶏肉を使った料理は,タッカルビ,チムタク,プルタク,タットリタン,タッコムタン,タッカンマリ…。
「タッコギ」が料理名に入ることはなく,「タク」になるようです。サムゲタンは「ゲ」の部分が「鶏」の音読み。
次に豚肉料理。テジカルビ,サムギョプサル,ポッサム,チョッパル,カムジャタン,スンデ…。
やはり「テジコギ」が料理名に入ることはない。というか,ふつうは「テジ」も料理名に入りません。思いつくのは「テジカルビ」ぐらい。
では牛肉はどうか。
牛肉を使った料理は,カルビ,カルビチム,プルコギ,ユッケ,カルビタン,コムタン…。
「ソコギ」や「ソ」の入った料理は見当たりません。「コギ」が入った料理は,わずかに「プルコギ」のみ。
「牛肉(ソコギ)」は料理名の中では「肉(コギ)」になる,というより,「牛肉」は料理名の中では消滅するという法則が成り立ちそうです。
「カルビ」というのは「あばら骨」。通常,あばら骨の周囲の肉の部位を指します。豚や鶏は「テジカルビ」,「タッカルビ」というのに,牛の場合はたんに「カルビ」という。
「牛消滅の法則」が働いている例です。
韓国で「コギモグロカジャ」(肉を喰いにいこう)といわれた場合,私の語感では,それが牛肉なのか豚肉(たとえばサムギョプサル)なのか,微妙なところ。ただし,サムゲタン(やポシンタン)は思い浮かびません。
一方,韓国では魚のことも「コギ」と呼ぶこともあります。フグ鍋を食べにいって,ミナリ(せり)ではなくフグの身を追加するとき,
「コギチューカヘジュセヨ(肉の追加お願いします)」
と言ったりします。
そもそも魚は韓国語で「ムルコギ」。直訳すると「水の肉」です。ただし,ムルコギは生き物としての魚で,食べ物としての魚はセンソン/漢字で「生鮮」。この二つを言い分けるのは,韓国語独特のものです。