犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

くう ねる あそぶ

2019-12-28 23:43:17 | 飲む
 年末、飲み屋のあいさつ回りをしているとき、ある飲み屋で隣同士になった方は、元コピーライターで、2年ほど前に会社を辞め、日本語教師の資格を取って、来年から日本語を教えるそう。関心が重なるところがあって、話が弾みました。

「コピーライターと言えば、糸井重里っていましたよね。『くう ねる あそぶ』の」

「あれは昭和最後だったから、30年前ですね」


 さすがに詳しい。

「CMで井上陽水がセフィーロに乗って出てきて、『お元気ですか?』って言うんですけど、昭和天皇のご容態が悪化して、不謹慎だということで、セリフが消されましたが、映像はそのまま。陽水は口パクになっちゃった」

「あのとき、下血(げけつ)って言葉を初めて知りました。「お下血」と言うべきか否かなんて議論もありましたね」


「崩御という言葉も、天皇陛下にしか使わないから、珍しかった」


「マスコミの中で、共産党の『赤旗』だけが、崩御と言わず、死去といったらしいですよ」


「当時はバブル時代でしたね」


「働くがなくて、『食う、寝る、遊ぶ』だけだったのは、土地や株式投機で大儲けして働く必要がない人向けだったのかなあ、セフィーロ」


 こんなことを話しながら、酩酊の中で『慰安所管理人の日記』を思い出しました。

 日記には、「ご飯を食べた」、「~氏の家で寝た」、「〇〇会館で遊んだ」というような、「食う、寝る、遊ぶ」の記述が繰り返されていたことが印象的でした。

 著者は、親戚や友人が経営する慰安所の管理人であり、きちんと働いていたわけですが、どんな仕事をしていたかの記述は少ない。ただ、その平凡な記述から、戦時下にありながら、慰安所、慰安婦、管理人の生活が平穏であり、「性奴隷」などという言葉はまるで似つかわしくないということがわかりました。

 時間も遅くなり、この店が三軒目だったこともあり、そろそろ帰宅することに。

「今度また、日本語教師についてくわしく教えてください」


 再会を期して別れました。
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