犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓流成功の理由は整形?

2016-06-13 23:10:31 | 韓国雑学

 中央日報にこんな記事がありました(→リンク)。

 「世界韓流学会」(!)と共同で、「韓流の本質」について分野別に集中分析した記事なんだそうです。著者は高麗大学教授。例によって、非論理的な文章なので、何が言いたいのかよくわからないのですが、私なりに要約すると…

 韓国は、整形手術数(特に両あご、鼻の手術)が世界でいちばん多い国だ。日米で敬遠されている危険な手術が、なぜ韓国では多いのか。


 外国のある人類学者は、次のように説明する。資本主義の国際化、社会制度の変化にともない、家父長的男性優越主義が崩れ、女性の社会進出が進んだ。その過程で、「美」を前面に出して出世しようとする女性(男性)が登場し、「体こそ資本」という「身体の資本主義」が現れる。美人が醜い人よりも出世して当然という風潮が、世界的に拡散している、と。

  
「身体の資本主義」のもとで、女性が就職するとき、自身の体が商品化され、他人から評価されるという現実に直面する。学歴や能力より、「体」が重視される。採用担当者は、身長、体重、鼻の高さ、二重まぶたかどうか、あごがほっそりしているかどうか、などを基準に選考する。

 韓流成功の理由を、「韓国女性の背が日本女性より10センチは高いから」とか、「韓国女性の肌が白いから」などと考えるのは「身体の民族主義」だ。大衆文化の成功は、概して身体の美学による。韓国で最も市場価値の高い女性の体がグローバル市場で高く評価されれば、あらためてそれが韓国的美の標準になる。そしてここに医療技術が結びつき、「美の大量生産」へとつながる。


  
女性の「美」は東西古今を問わず破壊力と影響力を持つ。美人は、既存の身分制度、位階秩序を破壊する。また、「美人は自分の美しさによって男性権力者を支配しうる」という社会的通念を生む。美の追求の陰には、自由獲得と地位上昇を図る女性の欲求、そのような女性を手に入れようとする男性の欲望がかくれている。

 
ある中国の地方出身女性は、江南(カンナム)の整形外科医院で、短期間に鼻、二重まぶた、両あご、豊胸、腹部脂肪の吸入の複合手術を受け、帰国した。彼女の恋人の在米同胞が、結婚を前提に、この手術を韓国で受けることを要求したのだ。彼は妻を韓流アイドルのように変身させようとした。しかし実は彼は米国で売春施設を経営しており、女性に整形手術を受けさせ、自分の店で働かせ、搾取しようとしたのだった。

  
女性の美は、両親によっても強要される。江南の整形外科には、大学入試を終えたばかりの娘に、二重まぶたの手術や、両あごと鼻の手術を半強制的に受けさせようとする母親がたくさん訪れる。大学を卒業した女性、就職した女性たちも、もっと美しくなろうと、貯金をはたいて整形外科に行く。社会に出て、自分の価値が美貌によって評価されることを知ったからだ。

  
外国の学者は「韓国の女性が世界で最も勇敢だ」と言うが、これは韓国の女性が世界で最も自分に自信がないということの裏返しだ。美に対する欲望は際限がない。そんな女性は、命がけで「5種複合セット手術」を受ける。だが、韓国人女性に自信がない理由は、社会に今も根強い性差別のためだ。

  
儒教的な家父長制度が崩れ、女性が学校や社会に進出し、最近は軍隊でも女性が活躍するが、女性の社会進出が進むほど、女性に対する暴力は増えている。軍隊内での性的暴行、職場の上司や教授によるセクハラが急増し、江南駅無差別殺人、シンアン小学校の女性教師への性的暴行、安山女子大生暴行殺人事件のような事件も増加している。女性たちは、社会における男性との競争で、さらに危険な労働環境に置かれている。こうした脅威と危険は、女性たちを萎縮させる。

  
危機の女性たちの前に、人生の成功のパートナーとして現れたのが韓国の整形外科医だ。今や韓国の整形外科医は韓国人女性たちの勇気づける成功のカウンセラーであり、キャリアパートナーだ。人工美によって、女性たちに自信と社会的権力を与えてくれる新しいパラダイムの生産者だ。


  
今まで若い女性たちは、教会や寺院で心の安定と自信を得てきた。また弁護士を通じて、精神的・肉体的迫害の補償を得てきたが、今や整形外科医を通じて未来のキャリアと成功をデザインしようとしている。整形外科医は、まず美の規格化と手術の技術開発を行った。新技術は学会で発表され、医師たちに広がった。

  
整形医は、手術のおかげで良い職を得たり、金持ちと結婚できた例を紹介し、整形を勧める。業界の激しい競争と利益追求のために、危険な手術を求める客に対し、難しい手術を敢行する。

  
今や韓国の女性たちにとって、整形外科医は牧師、僧侶、弁護士と並んで自分を支えてくれる重要な支柱となった。そのためには女性にとってお金がさらに重要になった。女性の美への追求は、「金持ちはますます富み、貧乏人はますます貧しくなる」構造を加速する。

 最後まで読んでも、冒頭の問いかけ、「韓国でなぜ整形手術が多いのか」への答がよくわかりません。

 就職のとき、「美しさ」を基準に女性を採用するのは、韓国独特の現象なのか。

 韓流が世界で人気が出たのは、登場する女優が美しいからなのか、そしてそれが整形手術が増えた理由なのか。

 騙されて整形手術をさせられ、売春婦にさせられた中国女性の悲劇は、なんのために紹介された例なのか。

 韓国社会での女性に対する性差別のひどさや、女性に対する性犯罪が多いことと、整形手術の多さは、何の関係があるのか。

 整形医は、まるで女性にとっての救世主のように書かれているけれど、結局、韓国における整形手術ブームは、望ましい現象なのか。

 疑問はふくらむばかりです。

 最後の部分を読むと、女性が美を追求し、高額な整形手術を受けるようになれば、「金持ちはますます富み、貧乏人はますます貧しくなる」、そんな社会はおかしい、と言っているようなのだけれども、前半では韓国の整形手術の技術の高さを自慢しているようでもあり、結局、何が言いたいのかさっぱりわかりませんでした。

 私は、女性が外見の美しさに異常にこだわり、整形手術に大金をつぎこむ、そしてそれにつけこんだ整形医が大儲けするような社会は、嘆かわしい社会だと思います。


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