韓国駐在時代に知り合ったスンドゥブさんは,このブログの常連コメンテイターですが,日本に帰ってきたあともときどき会食します。
「珍しいものがいいね」
「モンゴル料理の隣にあったパキスタン料理はどう?」
と,ウルドゥー語のできるスンドゥブさん。
「そうしよう」
ということで池袋西口で待ち合わせ。しかし,事前に得た情報で酒を置いていないことが判明しました。酒の出ないレストランは,煙草の吸えない喫茶店と同じぐらい無意味です。当然のように計画を変更することになりました。
そして第二候補のシリア料理へ。
人気のある店のようで,9時以降は予約でいっぱいとのこと。でも1時間半あれば充分でしょう。中東系のお店は,新宿でエジプト料理に一回,日暮里でトルコ・ペルシャ・ウズベキスタンという三種混合料理を食べたことがある(→リンク)。
椅子席は空きがなく,奥の「絨毯席」に通されます。隣には男性が一人。
まずはビールを一杯。アフリカ産など珍しいものがあり,私はモロッコのカサブランカを頼みました。
「前に日暮里で中東料理に行ったことがあってね…」
すると隣にいた男性が話しかけてきます。
「もしかして,○○というお店じゃありませんか。トルコとペルシャとウズベキスタンの…」
「あ,それです」
話を聞くと,エスニック料理が好きで,一人でいろいろなところを食べ歩いているようです。レパートリーは広大で,中東,東南アジアに限らず,南米料理にも詳しい。
男「今までいちばん腹立ったのは赤羽橋にあるアルゼンチン料理です。料理の写真をとろうとしたら「ふざけんじゃねえ」と怒られました。あんな店,初めてです」
食べ歩いた店の料理を写真に残しているそうで,この店でも料理が来るたびにパチリパチリやっています。
われわれが頼んだのは3000円ぐらいのコース。料理はみてもよくわからないし,選ぶのも面倒くさいのでコースにしました。煮込み料理にナン,そして羊肉料理。韓国駐在前に中東地域を担当したことがあるというスンドゥブさんは,かつてアラブの富豪に招待され,羊の丸焼きを食べたときのことを話してくれました。
「やっと食べ終わったと思ったら,山盛りのおかわりを勧められるんですよ。で,飲み物がコーラ!」
中東は私にとって,未知の世界。いつか行ってみたいとは思いますが,住みたくはない。
われわれの話がとぎれるたびに,隣の男性が話しかけてきます。
男「私はインターネットがないもんで,もっぱらこれが頼りなんです」
と言ってエスニックレストランガイドを指さす。
男「ペルー料理もおいしいですよ」
犬「五反田にペルー料理があるらしいんだけど,知ってますか」
男「ああ,○○ですね。行きましたよ」
犬「最近うちの会社に入ったペルー人の伯父さんがやってるらしくて,今度行こうと思っています」
男「なかなかいい店ですよ。○○(ペルー料理の名)がお勧めです」
(しかし詳しいなあ…)
そのうち,店内が暗くなり,音楽が流れだす。ベリーダンスが始まったようです。ベリーダンスは,一度新宿のエジプト料理でも見たことがあります。(→リンク)隣の男性は,店で借りた中東系の帽子をかぶり,席を立って,近くまで見に行きます。もしかしたら,いっしょに踊っていたのかもしれません(陰になって見えませんでした)。
われわれは中東の酒を注文します。原料はブドウでアシス(?)というもので香りをつけたとのこと。強い酒で,ロックや水割りで飲むのですが,水を加えると白濁するのが特徴。いくつかの種類を試しているうちに,酩酊状態に。
ダンスタイムが終わり,男性が席に戻ると,今度は身の上話が始まりました。
男「私,35歳なんですよ。そう見えますか」
犬(…)「いや,20代に見えますよ」
男「よくそういわれます」と嬉しそう。
(ま,いいけど)
男「実は私,パンを作る仕事をしてるんです。みなさん,アンパンやカレーパンは機械で作ってると思ってるかもしれませんが,あれ,人間が詰めるんですよ。カレーパンは35グラム。アンパンは50グラムです」 (もしかしてグラム数は違うかも。よく覚えてません)
犬「へえ」
男「自分はかれこれ7年やってますけど,最初のうちはよく先輩にしかられました。なんだこれ。はみ出ちゃ売り物になんねえよ,とか」
ス「一日でどのぐらい作るんですか」
男「3人で1500ですね」
犬ス「すごい!」
大手の製パンメーカーのようです。
男「これもある意味で職人の仕事でね」
犬「もちろんそうでしょう」
男「職人っていうのは,親方からきびしく言われても,じっとがまんしてやり続けるのが大切なんです。ぼくも無口なほうなんです」
(そのわりによくしゃべる)
だんだん9時が近づいてきます。先にパン職人が席を立ちます。
男「今日は,ぼくばかりしゃべり続けてしまって,すいませんでした。」
犬ス「いえいえ,楽しかったです。またどこかのレストランでお会いするかもしれませんね」
男「そうですね。じゃお先に」
独特な雰囲気をもっている方でしたが,別に知識をひけらかすようでもなく,楽しいひとときを過ごすことができました。
ただ,久々に再会したスンドゥブさんとあまり話ができなかったので,しばらく前に見つけたタイバーに向かいます。昔はきれいだったかもしれないタイ女性たちとおしゃべりをするうち,結局終電近くまで飲んだのでした。
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今度は何を食べましょうか?
フィリピン料理で美味しいところがあればよいのですが。
実は今,サンパウロにいます。
(で,バンコク便りを書いているというのも変な話ですが…)
昨日はカシャーサを飲みすぎて,二日酔いです。