今回のソウル出張でも焼き肉を食べました。
初日は夕方に着いて,韓国人の知り合いといっしょに入ったのがプデチゲ(部隊鍋)の店。明洞の路地裏の店で24時間営業。夜中に,飲み屋が閉店したあと,飲み屋の従業員が入るような通の店なので,かえって,ゴールデンタイムは空いています。サムギョプサル(豚の三枚肉の焼き肉)で焼酎を飲んでから,締めにプデチゲでした。
二日目は焼き肉のメッカ,馬場洞で,主に牛肉の焼き肉を食べました。いっしょに行った韓国人3人は,いずれも初めて。畜産市場に近づくと「ノリンネムセガナンダ」(獣臭い)と言って顔をしかめます。魚の生臭さははピリンネムセ,獣の生臭さ(血のにおい)はノリンネムセと言いわけるようです。
行きつけのデバクチプ(→リンク)というお店で,コッチマサル(背中のほうの霜降りの特殊部位。一頭からわずかしかとれないそうです)とコプチャン(小腸)を頼みました。基本のミッパンチャン(無料で出るおかず)として,センガン(レバ刺),チョニョプ(生センマイ)が出る。さらに,途中で牛肉のさしみを持ってきてくれました。ここで交渉して「ドゥンコル」(脊髄)も出してもらう。
ヒトが生活の場を樹上から草原に移したあと,頑丈型猿人(ロブストス)は,臼歯とあごを発達させて,堅果や木の根を食べるように適応していきました。一方,華奢型猿人(アフリカヌス)のほうは,肉食に転じたと考えられています。そこから分岐したのが原人(ホモ・エレクトス)。
しかし,最初は肉食獣の食べ残しをあさっていたらしい。そして,骨を石器でかちわって,中の髄を食べていたと想像されています。これがまさにドゥンコルですね。
牛の刺身,ドゥンコル,焼き肉と順番に食べ進み,人類のたどってきた悠久の時の流れに思いをはせます。
肉を食べる動物はあまたあれど,焼き肉を食う動物は人間以外にいない。ただ,人間はすべて焼き肉を食うかといえばそうでもない。イヌイットは主にナマで食べていた。昔の呼び名のエスキモーは生肉を食べる人という意味だったそうです。また,宗教上の理由から,肉そのものを食べない人もいます。
そもそも,「焼き肉を食う」という行為にはいくつかの要素がある。まず,①肉を食うこと。そして,②火を使うこと。さらに,③素材を調理すること。
チンパンジーがときどき小動物をとって食うことからみて,樹上生活が中心だった時代のヒトもたまには肉を食っていたと思われます。しかし,常習的に食うようになったのは,アウストラロピテクス・アフリカヌスから分岐したホモ・ハビリスのときです。
では火を使うようになったのはいつか。これは古人類学の論争点の一つで,北京原人が最初に火を使ったといわれていましたが,最近ではそれが疑問視されている。確実なのは,ヒトの従兄弟にあたる旧人(ネアンデルタール人)。旧人の遺跡からは,炉の跡と見られる痕跡が多いとのことです。
火の効用は何か。思いつくのは,
①暖をとる,
②夜,周囲を照らす,
③危険な動物を追い払う,
④調理する,など。
いち早くアフリカを脱してアジアに進出したホモ・エレクトスより,ずっと寒い地方に生活圏を拡大したネアンデルタール人が,寒さをしのぐために火を利用したことは,大いに考えられることです。
また,周囲には狼やトラなど夜行性の猛獣が徘徊していただろうから,それらの獣から身を守るためにも火を使ったでしょう。しかし,調理に使ったかどうかは…。
人類が最初に火を利用したきっかけは,落雷その他の原因で発生した野火でしょう。それによって,火が暖かいこと,動物たちが火を恐れること,焼け跡の焼け焦げた動物の肉を食ってみるとおいしかった(?)ことを知った。それで,くすぶっているおき火を持ち出し,洞窟内に保存して火種にしたのでしょう。
火が通った肉がナマで食べるより食べやすいとか,おいしいとか,保存がきくなどの利点を感じた場合,積極的に肉を焼くという「調理」に発展したかもしれません。しかし,いかんせん遺跡として残りにくいでしょうから,ネアンデルタール人が「焼き肉を食った」ことの証明は難しいかも。火を調理に使ったことが間違いないのは,現生人類(ホモ・サピエンス,クロマニョン人)ですね。
今まで,「ヒトの特徴」といって挙げたことについて,動物の側から反証があがり,撤回を余儀なくされましたが,「焼き肉を食う」はまちがいなく,ヒトだけがなしうる業でしょう。
もしかして,カラスがヒトのたき火の中にわざと栗や小動物を落として,焼き栗や焼き肉を食べてたりして? まさかね。
初日は夕方に着いて,韓国人の知り合いといっしょに入ったのがプデチゲ(部隊鍋)の店。明洞の路地裏の店で24時間営業。夜中に,飲み屋が閉店したあと,飲み屋の従業員が入るような通の店なので,かえって,ゴールデンタイムは空いています。サムギョプサル(豚の三枚肉の焼き肉)で焼酎を飲んでから,締めにプデチゲでした。
二日目は焼き肉のメッカ,馬場洞で,主に牛肉の焼き肉を食べました。いっしょに行った韓国人3人は,いずれも初めて。畜産市場に近づくと「ノリンネムセガナンダ」(獣臭い)と言って顔をしかめます。魚の生臭さははピリンネムセ,獣の生臭さ(血のにおい)はノリンネムセと言いわけるようです。
行きつけのデバクチプ(→リンク)というお店で,コッチマサル(背中のほうの霜降りの特殊部位。一頭からわずかしかとれないそうです)とコプチャン(小腸)を頼みました。基本のミッパンチャン(無料で出るおかず)として,センガン(レバ刺),チョニョプ(生センマイ)が出る。さらに,途中で牛肉のさしみを持ってきてくれました。ここで交渉して「ドゥンコル」(脊髄)も出してもらう。
ヒトが生活の場を樹上から草原に移したあと,頑丈型猿人(ロブストス)は,臼歯とあごを発達させて,堅果や木の根を食べるように適応していきました。一方,華奢型猿人(アフリカヌス)のほうは,肉食に転じたと考えられています。そこから分岐したのが原人(ホモ・エレクトス)。
しかし,最初は肉食獣の食べ残しをあさっていたらしい。そして,骨を石器でかちわって,中の髄を食べていたと想像されています。これがまさにドゥンコルですね。
牛の刺身,ドゥンコル,焼き肉と順番に食べ進み,人類のたどってきた悠久の時の流れに思いをはせます。
肉を食べる動物はあまたあれど,焼き肉を食う動物は人間以外にいない。ただ,人間はすべて焼き肉を食うかといえばそうでもない。イヌイットは主にナマで食べていた。昔の呼び名のエスキモーは生肉を食べる人という意味だったそうです。また,宗教上の理由から,肉そのものを食べない人もいます。
そもそも,「焼き肉を食う」という行為にはいくつかの要素がある。まず,①肉を食うこと。そして,②火を使うこと。さらに,③素材を調理すること。
チンパンジーがときどき小動物をとって食うことからみて,樹上生活が中心だった時代のヒトもたまには肉を食っていたと思われます。しかし,常習的に食うようになったのは,アウストラロピテクス・アフリカヌスから分岐したホモ・ハビリスのときです。
では火を使うようになったのはいつか。これは古人類学の論争点の一つで,北京原人が最初に火を使ったといわれていましたが,最近ではそれが疑問視されている。確実なのは,ヒトの従兄弟にあたる旧人(ネアンデルタール人)。旧人の遺跡からは,炉の跡と見られる痕跡が多いとのことです。
火の効用は何か。思いつくのは,
①暖をとる,
②夜,周囲を照らす,
③危険な動物を追い払う,
④調理する,など。
いち早くアフリカを脱してアジアに進出したホモ・エレクトスより,ずっと寒い地方に生活圏を拡大したネアンデルタール人が,寒さをしのぐために火を利用したことは,大いに考えられることです。
また,周囲には狼やトラなど夜行性の猛獣が徘徊していただろうから,それらの獣から身を守るためにも火を使ったでしょう。しかし,調理に使ったかどうかは…。
人類が最初に火を利用したきっかけは,落雷その他の原因で発生した野火でしょう。それによって,火が暖かいこと,動物たちが火を恐れること,焼け跡の焼け焦げた動物の肉を食ってみるとおいしかった(?)ことを知った。それで,くすぶっているおき火を持ち出し,洞窟内に保存して火種にしたのでしょう。
火が通った肉がナマで食べるより食べやすいとか,おいしいとか,保存がきくなどの利点を感じた場合,積極的に肉を焼くという「調理」に発展したかもしれません。しかし,いかんせん遺跡として残りにくいでしょうから,ネアンデルタール人が「焼き肉を食った」ことの証明は難しいかも。火を調理に使ったことが間違いないのは,現生人類(ホモ・サピエンス,クロマニョン人)ですね。
今まで,「ヒトの特徴」といって挙げたことについて,動物の側から反証があがり,撤回を余儀なくされましたが,「焼き肉を食う」はまちがいなく,ヒトだけがなしうる業でしょう。
もしかして,カラスがヒトのたき火の中にわざと栗や小動物を落として,焼き栗や焼き肉を食べてたりして? まさかね。
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