土曜日、京都でのミャンマー語のレッスンを終え、京阪電車で大阪に戻る途中、やはり大阪に単身赴任中の娘からラインが入りました。娘の休日は不定期なのですが、この日は休み。大阪でどこか観光に行きたいと言います。
「アベノハルカスは?」
「いや、都心じゃなくて、自然のあるところがいい」
「じゃ海は?」
「大阪に海なんてあるんだっけ?」
「そりゃあるさ」
調べてみると、りんかいパークという、東京ではお台場のような人工的な浜辺があるらしい。
「そこにしよう」
なんばで待ち合わせて、南海電車でりんかいパークに向かいます。関西空港の手前に、人工の海岸とアウトレットショップなどを組み合わせた公園です。
駅から15分ほど歩いたところに、海岸に丸い大理石を敷きつめた浜辺がありました。「マーブルビーチ」です。
相当広い海岸に真っ白な石の浜辺が広がっている。石は例外なく丸くて、粒が揃っていて、それはそれはきれいなのですが、いかにも作り物の感じがします。
海岸では元気のいい大学生が、「遊泳禁止」の看板を無視して、上半身裸、ジーパンのまま泳いでいたりしますが、まだ5月なので人影はまばら。
近くのコンビニで買ってきたビールを飲みながら、遠くに関空発着の飛行機が眺めます。雲一つない青空と真っ白なビーチ。コートダジュールにいるかのような錯覚に陥ります。
「こんなところがあったんだ」
「大阪とは思えないね」
夕日の景色も絶品だということですが、そこまでは待てない。お腹もすいてきたし、なんばに戻って食事をすることにしました。
「タイ料理なんてどう?」
「いいね」
なんばに着くと、駅近辺にタイ料理がないか、歩きながらスマホで検索します。
ふと振りかえると、娘の姿が見当たらない。
「…」
見ると、向こうのほうで、娘が男性としゃべっています。
(知り合いかな?)
元彼かもしれないし、あんまりじろじろ見るのもどうかと思ったので、遠巻きにしてスマホをいじっていました。
ところが、話が長引いているのか、なかなか来ない。
改めて二人のほうを見ていると、娘が財布を取り出しました。
(どういうこと?)
財布からお金を取り出して渡しているようです。男は足早に立ち去りました。
私は娘のほうに駆け寄ります。娘のほうも、私のほうに歩いてきます。顔は、見る見る泣き顔に。
「どうしたの?」
「スマホを見ながら歩いていたら、男の人にぶつかって…。急に大阪弁でまくしたててきて、恐くて…」
「で、お金とられたの?」
「そう。三千円」
「よし、取り返してくる」
「いいよ、恐いから」
娘は私の腕を放しません。
男の姿はもう見えず、追いかけてもたぶんつかまえることはできないでしょう。
こんなに人通りの多い地下街で、そんなことが起こるとは。
「知り合いかと思って、近くにいかなかったけど。わざとぶつかってきたんじゃない?」
「わからない」
娘は相当にショックを受けた様子。
「歩きスマホ」の女性を標的に、わざとぶつかって金を巻き上げる新手の恐喝か。自分が近くにいながら、娘を救ってやれなかった不甲斐なさに、情けない思いで一杯です。
「家に帰りたい」
「そうしよう」
外食の予定は取りやめて、いっしょに娘のアパートに行き、娘の気持ちが落ち着くまでそばにいてやりました。
そのあと、十三で最近見つけた韓国居酒屋に一人で行き、事件の顛末を店の人に話しました。
「そんなの聞いたことない。ひどいやつだなあ」
「ヤクザですかね?」
「ヤクザなら何万円って言ってくるんじゃないの? 三千円は中途半端だよ」
隣で話を聞いていたお客さんも、
「娘さん、かわいそうだなあ。大阪が嫌いになったんとちゃう? 大阪だからって、そんなこと滅多にないから、そう言っといて」
会社の若い社員が、「自分が中学生ぐらいまで、親から、ミナミは危ないから行っちゃいけないと言われていた」と言っていたのを思い出しました。
ミナミ、おそるべし。
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もしかしたらすれ違っていたかも。
ドクターストップでタバコをやめるまで、あと何年かかるかわかりませんが、そのときはソウルでご一緒しましょう!
それにしても、貴重なオフをパパとデートで費やしたいとは。
本当に幸せなご家庭ですね。
私の父親は単身タイ(CHANKASEM,CHATUJAKUというところ。わかりますか?)におり数年音信不通です。
テレビで「バンコクで日本人男性が死亡……」とかいうニュースを聞くと、すわ父親か?!と反応してしまいますw
なんか、犬鍋兄やんのブログには思うところが多くあり、早くソウル飲みを実現いたしたいところです。
ぶつかっても申し訳ないと思う習慣のない韓国では、成立しにくい犯罪かもしれません。
こんにちは。
ネットで調べると、こういう事例は結構出てきます。
http://40exchange.com/arukisumaho-2408#i-3
都内にも出現情報がありました。
昔のカツアゲみたいなもんですね。