犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

柳錫春裁判、公判傍聴記 (1)

2021-10-15 23:06:45 | 慰安婦問題
 延世大学での講義中に「日本軍慰安婦は売春の一種」と発言して告訴された柳錫春(リュ・ソクチュン)元教授の公判の様子を詳しく伝える記事を見つけたので、拙訳で紹介します。

ペン・アンド・マイク2021年3月14日付(リンク

[ルポ]「慰安婦は売春の一種」柳錫春元教授の公判傍聴記」…検察、公訴事実を立証できず

2019年、延世大学の授業中に「日本軍慰安婦」について発言して起訴された柳錫春元教授の二回目の公判が、12日午後、ソウル西部地裁で開かれ…、
キム・スンファン、キム・ドンヒ、ハン・ギョンヒら検察側の証人尋問が行われた。
検察側の証人たちは「柳元教授の行為は「学問の自由」と見られる」など、公訴事実を否認する証言を行った。
「強制連行の実例を示せるか?」という問いに、ハン・ギョンヒ韓国挺身隊問題対策協議会清算人は長口舌を振るうのみ。
イ・ドンファン弁護士「検察は公訴事実の立証に完全に失敗した…柳教授のほうが誣告罪で告訴すべき」


 授業中に受講生との討論の中で「日本軍慰安婦は売春の一種だ」という趣旨の発言をしたという理由で起訴された柳錫春元延世大学社会学部教授。3月12日午後4時、ソウル西部地裁刑事4部 308号法廷で、柳元前教授に対して2度目の公判が開かれた。

 今年2月の定期人事異動でソウル西部地裁に赴任し本件を新たに担当することになったパク・ボミ判事(司法試験51回・研修所41期)は、検察側証人3人に対する証人尋問を終え、本件の公判検事に次のように述べた。

 「本件公訴事実には被害者の実名が明示されました。「日本軍慰安婦」とするなら趣旨上、大韓民国から連れて行かれたハルモニたちを指すものと思われますが、広範囲に見れば過去に東南アジア地域などから連れて行かれた人々も含まれるといえるようです。被告側は、被害者が特定ていないと主張していますが、裁判所もその意見に共感します。そして、全体的に「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)に関し、被害者団体がどの部分に対して「虚偽」と主張したのかが明らかでありません。検察側は訴状の変更を検討してください。」

 検察は柳元教授を「虚偽事実摘示による名誉毀損」の疑いで起訴した。「虚偽事実摘示による名誉毀損」が犯罪事実として成立するには、▲公然性(表現が複数の人に伝播可能な形で行われる)、▲特定性(表現対象が誰であるかすぐにわかる)を満足させなければならず、▲表現内容が虚偽かどうか(摘示した事実が嘘である)、▲名誉棄損が発生したかどうか(摘示した虚偽事実で名誉が棄損された)をすべて満たす必要がある。その中で判事はまず「特定性」と「虚偽かどうか」に対する疑問を投げかけたのだ。そしてパク判事は、検察側に訴状に記された内容だけでは柳元教授の犯罪成立が難しいため、訴状変更を検討してほしいと命じた。

◇「柳教授の行為、「学問の自由」とも見られる」と言う検察側証人…検事と戦う茶番も

 この日の公判では、起訴事実立証のために検察側が申請した本件告訴・告発人たちに対する証人尋問が行われた。この日、証人としてキム・スンファン庶民民生対策委員会事務総長、キム・ドンヒ戦争と女性人権博物館館長、ハン・ギョンヒ韓国挺身隊問題対策協議会清算人(正義記憶連帯事務総長)の3人が出席した。証人尋問は、キム・スンファン事務総長、キム・ドンヒ館長、ハン・ギョンヒ清算人の順で行われた。

 公判検事はまず、キム・スンファン事務総長に、被告人柳錫春元教授が講義中に「日本軍慰安婦は売春の一種」と発言したことについて告発したといのが正しいか確認し、講義内容のどの部分が「虚偽」に当たるかを尋ねた。するとキム証人は「メディアを通じて講義内容を知った」と答え、「(柳元教授の発言内容は)明らかな虚偽事実というより(社会の一般的な)見解と異なるのではないかという趣旨の告発」だと答えた。

 公判検事は当惑の表情をありありと浮かべた。柳元教授の発言内容が「虚偽事実」だったという事実を立証するために検察側が呼んだ証人自らが、柳元教授の発言の内容を「意見」と見なせると述べたからだ。これはむしろ「意見表明だった」という柳元教授側の主張を裏付ける証言だった。ある人を「名誉毀損」で処罰するためには、処罰しようとする人が摘示した表現が「(真の)事実」または「虚偽事実」でなければならないが、単純な意見(見解)表明については処罰が不可能である。

 これに対し公判判事は「『経済的な理由で自発的に日本軍慰安婦になった』という発言が虚偽だという趣旨で告発したということで正しいか」と、キム証人にたたみかけた。しかしキム証人は「あいまいだ」と言い、「(柳元教授の授業中の発言内容が)明らかに虚偽だと断定するのは難しい」と答え、検事が「証人は柳元教授の発言内容が虚偽なのか事実なのかもわからずに告発したのか」と問い返すなど、一大茶番劇が繰り広げられる場面もあった。

 柳元教授側の弁護人はキム事務総長に「被告人の行為が『学問の自由』に含まれるとも見なせるか」と尋ね、キム事務総長は「一部、そのような部分があると思う」と答えた。

(つづく)

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2 コメント

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シェアさせていただきました。 (skanno)
2021-10-17 14:36:39
いつも興味深く拝読しております。今回もシェアさせていただきました。
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ありがとうございます (bosintang)
2021-10-18 22:46:40
シェアいただくと、アクセス数がてきめんにあがるので、その点もうれしいです。
今後ともよろしくお願いいたします。
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