犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

新大久保のカムジャタン

2008-10-01 00:29:14 | 日々の暮らし(帰任以後、~2015.4)
 最近,よく新大久保のコリアンタウンに行きます。

 行きつけは路地を入った小さな店で,客はほとんど韓国人。ユ(柳)さんというアジュンマが一人で切り盛りしています。日本に来て13年ということですが,日本語は片言。13年いて,これほど日本語が下手というのも珍しい。韓国人だけを相手に,韓国語の世界で生活しているからでしょうか。

 客のほとんどはカムジャタンを注文します。ほかにサムゲタン,ヘジャングク,テンジャンチゲ,プデチゲなど,焼き肉以外の韓国料理も揃っています。メニューはすべて1000円以上ですが,界隈の立派な建物の韓国料理屋に比べれば安い。チャミスルも,他では1200円とか,1500円ですが,ここは1000円。本国の3倍ほどです。

 以前,新大久保のほかの店でカムジャタンを頼んだとき,ケンニプ(エゴマの葉)が入っていなかったので文句を言うと,店にケンニプがなかった。ここもやはり入っていないのですが,言えばいれてもらえます。

「うちの肉は質がいいから,ケンニプ入れる必要ないんだけどね」

「えっ? 普通は入れないんですか?」

「ケンニプを必ず入れるのは補身湯。肉の臭いを消すためだよ」

(ホントかな。ソウルでケンニプを入れないカムジャタンなんて見たことなかったけど)

 ミッパンチャン(ただのおかず)が6種類ぐらい出てくるのも,韓国そのまま。狭くて,けっしてきれいな店ではありませんが,連れて行った日本人には好評です。

 この日は,日本人以外に香港人もいました。

「韓国の箸は使いにくいでしょう」

「そうですね」

 ここは箸も韓国風で金属製。同じ箸文化圏でも,中国は長くて太さが先まで一定。日本は先細り。韓国は金属で薄型。それぞれ違いがあります。

「中国は,家では自分の箸が決まっているの」

「いいえ,決まっていません。お茶碗もです」

 マイ箸,マイ茶碗がないのは,韓国と同じのようです。

「じゃ歯ブラシは?」

「それは自分のがあります」

「そりゃそうだよな。歯ブラシとかパンツとかはさすがに別だよな」

「あっ,でも私は姉と下着は共用してましたけど…」

 このへんの文化の違いは面白い。

 ところで,ソウルでカムジャタンを食べるときはヨンサン(龍山)が多かった。北のほうにカムジャタンの店が集まっているドンネ(名前は忘れた)もあるのですが,遠いので一回しか行ったことがない。その点,ヨンサンは二村洞から近くて便利。

 ヨンサンにも7~8軒のカムジャタンの店が集まっており,アジュンマたちが客の引き込みで忙しい。味が特別にいいとも思えませんが,量が多くて,お得です。

 目と鼻の先に,ソウル有数の「飾り窓」があります。一度,土曜日の昼間に家族でカムジャタンの店に行ったとき,まちがって飾り窓の路地に入ってしまった。昼間でしたが何軒かは店を開いていて,派手なドレス姿で立っている。まだ小さかった娘が「きれい。お人形さんみたい」と言っていました。

 最近また取り締まりがあって,閑散としているようです。(→記事

 売春宿が立ち並ぶ路地から出ると、客引きが近付いてきた。「おじさん、○○しに来たんでしょう? ここは今日はやってないよ。この近くに二村洞があるけど、そこだったら安くできるよ」と客引きは言った。

 なんと…。

 二村洞(日本人が多く住む高級住宅地)に売春街が移転しているのでしょうか? 

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2 コメント

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主客転倒 (犬鍋)
2008-10-03 01:06:52
ジャガイモ汁という名前ですが,ジャガイモを目的に食べる人は少ないでしょう。

ジャガイモの比率が半分を越えたらテーブルをひっくりかえす韓国人が多いと思われます。

ジャガイモが一つだけのお店は,むしろ「良心的」なお店なのではないでしょうか。
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カムジャタン (スンドゥプ)
2008-10-01 11:09:19
カムジャタンは好きですが、肝心のじゃがいもが一つだけなのが不満でした。
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