アメリカは移民で成立した国です。高校の地理の時間、アメリカを指して「人種の坩堝(るつぽ)」というような表現を習った記憶があります。
坩堝(溶鉱炉)はそれぞれの要素が溶けて一体になるイメージ。しかし実態は、あまり混じっていない。それぞれの人種、民族が異質なまま混在しているので、あるときから「人種のサラダボウル」という言い方がされるようになりました。その点、ブラジルはどちらかというと坩堝に近いかもしれません。
人種で言えば白人、黒人、黄色人種。白人の中ではイギリス系、イタリア系、アイルランド系、ユダヤ系などがいて、それぞれ独自の文化を守っている。最近ではメキシコを含む中南米のヒスパニックが増えている。そして黄色人種はいうまでもなく日系、韓国系、中国系。その中でも韓国系が存在感を増している。
ニュージャージーからニューヨークに至る街道沿いにも、ハングルの看板が多数見られました。レストランだけでなく、美容室、マッサージなどもハングルが目立つ。そこここに、ミニ・コリアンタウンが成立しているのでしょう。
それに比べて日本語を見る機会は少なかった。たまたま私が通過したわずかな地域に日系人が少なかっただけなのか、すでに日系人はアメリカ社会に(言語的に)溶け込んで、日本語を使わない生活をしているのか。
日系人が大挙して移民したのはかなり昔のこと。いわゆるニューカマーは少ないのかもしれません。
それに対して韓国の米国移民の歴史は浅い。韓国系は集住する傾向がありますから、そんな地域での生活は韓国語から抜け出せない。それでハングルの看板が多いのかもしれません。
ニューヨークの地下鉄の中で面白い広告を見ました。
同じ内容が、英語、スペイン語、ロシア語、中国語、韓国語で書いてあるらしい。韓国語を便りに翻訳すると…
「列車サーフィンをすると、満身創痍になって命を失うことがあります。必ず車内に乗りましょう」
列車サーフィン!?
イラストを見ると、地下鉄のドアに外側からしがみついている(ヒスパニックらしき)若者が描かれています。満員で乗り切れなかったからか、それともスリルを味わうためか、わざとそんな乗り方をするのか。ともかく無謀な乗客です。
「満身創痍」か…。
それにしても、この広告に選ばれた言語は英語以外に4言語。日本語は入っていません。日本人、日系人は英語が理解できることが前提になっているのか、わざわざ日本人に読ませなくてもこんなことはしないだろうとみなされているのか。
マンハッタンの地図を見ると、チャイナタウンとかコリアンタウンというような表示を見ます。中国人と韓国人はコロニーを形作っているらしい。
私たちは限られた日程で、限られた地域しか観察していませんが、公共秩序は比較的守られているようです。
歩きタバコは東京都内に比べれば多いけれども、マドリードやサンパウロに比べればきわめて少ない。
歩行者が信号を守る率はソウルや大阪より高い。車が来ないことが視認できる交差点でも、青信号になるまできちんと守る人が多い(もちろん例外はあります)。
車の無理な割り込みも、バンコクやソウルに比べて少ないようでした。
米国在住の長い日本人によれば、ニューヨークの生活は日本より気楽でいいとのこと。その理由は、人々が他人の生活や好みに干渉しないからだそうです。
日本だと、「他人と同じじゃないと変に思われる、話題に乗り遅れる」などと思って、人気の歌手やドラマに関心がなくても知っておく努力をする。しかしアメリカでは、「私、そういうの関心ないんだよね」と言っても、「へえ、変わってる」などとは思われず、自然に別の話題に映ってくれるんだそうです。
私の場合、あまりそういうことを気にしないので、日本が暮らしにくいと思ったことないんですけどね。
マンハッタンを闊歩して、すれ違いざまに韓国語が聞こえたことはありましたが、この短い滞在期間に韓国語をしゃべる機会はありませんでした。
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