犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

尹奉吉

2022-08-16 23:42:56 | 韓国雑学
写真:尹奉吉(右)と金九(左)


 光復節の尹大統領の演説は、日本に対する否定的な言及がなく、ほっとすると同時に少し拍子抜けでした。

 文大統領は、演説のたびに歴史上の抗日義士が発掘されたりしましたが、今回の演説で名前が出た独立運動家は尹奉吉(ユン・ボンギル)だけでした。それも具体的な内容はなく、とってつけたような言及のみ。

「日帝強占期の独立運動は、3.1独立宣言と上海臨時政府憲章、そして梅軒尹奉吉(ユン・ボンギル)先生の独立精神で見られるように、国民が主人である民主共和国、自由と人権、法治が尊重される国を立てるためのものでした。」

 尹奉吉(梅軒は号)は、1932年の天長節(4月29日、昭和天皇の誕生日)に中国の上海で爆弾テロを起こし、日本の軍人、政府要人ら7人を死傷させた事件の実行犯。テロを計画し、尹奉吉に指示したのは金九(キム・グ)でした。

 韓国では、伊藤博文を暗殺した安重根(アン・ジュングン)、3・1独立運動後に獄死した柳寛順(ユ・グァンスン)と並ぶ愛国志士、英雄です。

 今年は、「義挙」から90周年ということで、記念式典が行われたりしたので、演説の中に形式的にでも入れないわけにはいかなかったのかもしれません。

 演説では、文政権時代に最悪となった日韓関係改善への意志が感じられましたが、徴用工、慰安婦、輸出管理厳格化など、目下の懸案についての言及はなく、今後、何らかの進展があるかどうかはわかりません。

 日本に対する譲歩を明らかにすれば、ただでさえ低迷している支持率がさらに下がる可能性があるので、言及を控えたのだと思われます。

〈参考〉
光復節演説の史実~洪範図
光復節演説の史実~安在鴻

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