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Brugge Style
ついにつぃ...ツィマーマン
オランダに来たのには大きく2つの理由がある。
ひとつはアムステルダムの国立美術館でまもなく会期を終える、チケットの取れなさでも話題の大人気『フェルメール展』と、コンツエルトヘボウでこの方(上の写真の電光掲示板にお名前が)のリサイタルを見るため...!
Krystian Zimermanクリスティアン・ツィーマーマンが、一年前キャンセルし(しかも一週間ほど前に)、丸一年延期になったリサイタル。
今年もこれしかリサイタルは予定されていない模様。(後で夫が調べて分かったことは、数日前にドイツで、明日6月1日にパリでリサイタルがあるらしい。完売。チケットが残っていたらこのまま車を飛ばしてパリへ行くのに)
前回聞いたのはドイツのエッセンで、その後コロナ禍にロンドンでベートーヴェンのピアノ・コンチェルトを録音...くらいしか、わたしは彼の最近の活動を知らない。
もっと聞かせてほしい...
今回も、ご自分のバスでピアノと調律師を従え、自宅で完全に調律されたスタインウェイを持ち込んだ、とのこと。
今でもバスを自分で運転しているのだろうか...まさか、もうしていないよね。
バッハのパルティータは意外にも独特の演奏だった。
聞いたこともないようなベースラインが響き、メロディが突然強調されたりで、こんな曲だったっけ? と思うこともしばしば...ついていけなくて戸惑う。
それでも2番は情熱的で非常に美しいダンスの連続だった。彼の左手が胸の前でひらひらと舞うのと同じように。
演奏中に、切り忘れた電話があちこちで鳴り、フラッシュ撮影する人も出現(固く禁じられているにも関わらず)、これを嫌うツィマーマンが演奏をやめてしまうのではないかとハラハラさせられたが、彼はそのたびに力強い和音でもって雑音をかき消していった。
(最近、YouTube上にソコロフの演奏が上がっているのを発見、最高に美しく、エンドレスで繰り返し聞いてしまう!!)
シマノフスキーはポーランド出身の、どちらかというと一般には知られていない作曲家だと思う。
わたしはスクリャービンが好きなのでその伝で知った。が、聞いても聞いてもスクリャービンにすごく似ているなあ、くらいにしか思わなかったのだった。
ツィマーマンが去年出したシマノフスキーのレコードを聞いても、それでもあまりピンとこなかった...
が、が、しかし!
レコードの録音とは全く別物の演奏で、ぞっとするほど美しく、スクリャービン的に言うならば、まるでツィマーマンがシマノフスキーの降霊をして、新しい身体と命を、コンツェルトヘボウの舞台上で与えたかのようだった...
特に後半のマズルカ! なんという遊び心満載の素晴らしいダンスだったことか!
ツィマーマンに新しい命を吹き込まれたのは、フランケンシュタインではなく、ガラテイア(ピュグマリオーンの)。
バッハとシマノフスキーにドキドキさせられ、最後のショパンのソナタはツィマーマンのセーフ・ゾーンゆえに、観客も(って、わたしのことだが)リラックスして聴き惚れていったら...
特に第三楽章は、観客に安心して聞き入ることなど許さない、ゼウスの投げた稲妻が雷を伴って炸裂するような演奏だった。しかも、はったりは全くなし。ツィマーマンのスタイル、目くらましなしの本質的なショパン!
観客は目を見開き、まばたきもせず、口をあんぐり開けて、空が割れるような音を聞いて、完全に動けなくなっていた...
このソナタに録音がないなんて、人類の損失!!!
ショパンのケレン味のある演奏、技巧的な、エッジィさ、俺様流や、ロックな演奏...という演奏は数あれど、そういうが全て霞んでしまうようなツィマーマンのショパンだった。
Krystian Zimerman
J.S. Bach
Partita nr. 1, BWV 825
J.S. Bach
Partita nr. 2 in c, BWV 826
Szymanowski
Andante ma non troppo (uit 9 preludes, op. 1)
Szymanowski
Andante con moto (uit 9 preludes, op. 1)
Szymanowski
Moderato (uit 9 preludes, op. 1)
Szymanowski
Andante ma non troppo (uit 9 preludes, op. 1)
Szymanowski
Moderato (uit 20 mazurka's, op. 50)
Szymanowski
Animato z elegancją i grandezzą (uit 20 mazurka's, op. 50)
Szymanowski
Allegretto dolce. Naiwnie i sentymentalnie (uit 20 mazurka's, op. 50)
Szymanowski
Allegramente. Vigoroso (uit 20 mazurka's, op. 50)
Chopin
Sonate in b, op. 58
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20時のデン・ハーグ
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長崎ものがたり
一時帰国中、恒例になっている友達との旅行、今回は二泊で長崎へ。
フットワークが軽く、決断早く、おいしいものに詳しく、関西人には何よりも重要な要素・おもしろい。見た目は可愛い2人が毎回涙が出るほど笑わせてくれる。
しかし、軍艦島や、平和公園、南蛮貿易の人身売買など、笑ってはいられないものも多いのが長崎だ...いや、長崎だけでなく、どの街にもどの国にも光と影がある。
なんと美しい地勢。
当初、九十九島まで行けるのでは...と関西人3人は考えたのだが、九州、広い!! 長崎をはじめ、九州は決して初めてはないもの、やっぱり広い。
佐世保まで行くには、長崎二泊三日ではとても無理。また次回に、と長崎に集中した。
軍艦島(端島)は、長崎県の無人島であり、「軍艦」とはよく言ったものである。
そのあだ名の初出は新聞記事だとか。
かつては石炭鉱山で日本の富国強兵政策を支えた。以下、わたし個人のまとめ。
労働条件の悪化: 長時間労働や危険な作業環境は当然で、健康や安全に深刻な悪影響を及ぼした。
労働者の福利厚生の不足: 住宅の条件が劣悪で、狭い空間に多くの労働者が住んでいた。また、医療や教育などの社会的な基盤も不十分であり、生活水準は低かった。
環境破壊: 軍艦島の石炭採掘に伴い、島の自然環境は深刻な被害を受けた。土地の掘削、石炭の処理に伴う大量の廃棄物の排出が行われ、島の景観や生態系には甚大な影響を与た。
社会的孤立: 軍艦島は閉鎖的なコミュニティで、労働者や家族の社会的な孤立感や心理的な問題があった。
経済の衰退: 石炭需要の低下や他のエネルギー源の台頭により、石炭産業は衰退、地域経済に大きな打撃を与え、失業率の上昇や経済的な不安定化をもたらた。
わたしは大航海時代から東アジア植民地化にかけての歴史にとても興味があるので、出島や、外国人居留地を訪れるのを特別楽しみにしていた。
外国人居留地の豪邸の中で、友達がぽつりと言った「軍艦島とこの違い!」というのがとてもとても心に残った。
オランダ語・日本語の単語帳。小学校一年生レベル、わたしには分かるよ! と、得意に...
夫と娘に見せたら感動していた(彼らはベルギー出身のオランダ語を話すフラマン人である)
観光もだが、カステラに有名どころがたくさんあるなどつゆ知らず。
彼女たちのおかげで、カステラを何件も食べ比べ、朝開店前から並んだ。
カフェでは見たこともないタイプの「ミルクセーキ」を試し、おいしさに驚く。
しっぽくも、ちゃんぽんも、そして魚介が非常においしかったー!
核は抑止ではなく、廃絶しよう。
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九重の京都
4月から5月にかけての日本滞在記、やっとここまできた...
週末(<もう明日)からまた別のところへ行くので、それまでにできるだけ書いてしまいたい。
漏れてしまったあれやこれや、特に故郷神戸で過ごした、音楽用語の「フィル・イン」的な瑣末なあれやこれや(つまり行事と行事の間の即興的な行動)たくさんあるのだが。そういうものがたくさんある人生は豊かなのかも? などと考えてしまう。
がんばって上げているのは自分のためで、日本で世話してくれた友達にあらためて感謝表明する、記録する、などを兼ねている。
今日は京都に出かけた話を。
今回は一回しか行けなかった京都。
神戸からは1時間ほどで到着する。
夫はまだ来ていなかったので、観光はナシ。
お稽古の帰り、お庭を拝見する。
お蕎麦屋さんで京都名物にしんそばをいただく。
京セラ美術館へ。
京セラ美術館は建築そのものがすばらしい。スタッフの方もものすごく感じがいい。
わたしは美しい階段の造形に目がない。
丹羽阿樹子は、上村松園のお弟子...モダン・ガールズ・コレクションを見に行ったのだ。
昭和初期の作品『ゴルフ』と『遠矢』。
目の前の平安神宮に参拝。
そこからはタクシーを飛ばして香木店、山田松にうかがう。
小雨の京都御苑を横切って歩く。
村上開新堂まで歩き、友達が注文しておいてくれたクッキーを受け取る。
ロシアケーキの葡萄ジャムサンドが大好物なの...
寺町の鳩居堂の店内をサメのようにぐるぐると遊泳、買い物。
わたしはポチ袋、一筆箋、懐子の熱烈なコレクターなのだ。
四条河原町まで戻り、BALをひやかし、フランスの香りのOfficine Universelle Bulyの店構えに驚いた。
神戸にも出店しているが、神戸の店舗はパリにあってもおかしくないようなデザイン...京都店のほうが断然いい。メゾンなら、なおいいのに!
店構えのために思わず買い物しそうになったが、欧州に帰ってから買えるじゃないと思い直す。「ヤバい」とはこのことだ。
河原町通りで突然あべかわが食べたくなり...夕食前だが、もちろんいただくことにする。
ここから一枚も写真がない。
夜は友達と町家を改造した西洋料理店へ。
自分でビジネスを展開し、創造的で美的感覚の優れた彼女と話すのは楽しい...英国へ遊びに来るよう熱心に誘う。
共同でプロジェクトを発足する話が出、来年は面白いことが起きそう!
京都にはなんでもある...ほんとうになんでもある...九重に。
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あおによし奈良
今年4月から5月にかけての一時帰国では、奈良にご縁があった。
1ヶ月間の一時帰国中に3回、行ったから。
吉野、宇陀市と桜井市、奈良まち。
今日は楽しかった奈良まちについて書こう。
わたしは神戸の出身で、今も神戸が起点、神戸から奈良の観光玄関口までは遠くはない。
阪神電鉄が三宮駅始発で奈良まで直通するようになってからは、「京都に行くより便利になったのでは」とみなさんよくおっしゃる。
いきおい、わたしがお客さんを奈良にご案内するこ場合、訪れるところは毎回、東大寺と春日大社、興福寺、以上! という感じになる。
奈良は広く、北は京都、南は三重に接し、美しい神社仏閣も、美しい仏像も、飛鳥には古代ロマンもあるのに...
今回は、ある中華薬膳レストランに行きたかったのだが、あれよあれよと人気が出てしまい、4月分の予約は取れなかった。だが行きたい! おいしいものを食べに、奈良へ行きたい! で、奈良が「庭」の友達にお願いしておいしいものを食べに連れて行ってもらったのだ。
人に連れて行ってもらうと、自分が行きそうにないところや、見落として場所に行けたりでとても楽しい。
今回も例えば春日大社は原生林の方から入る...という楽しみ方ができた。
参道の方は、現在では開けているため、昔は春日大社のお参りはこういう雰囲気だったのかも。
雨上がりの滴に輝く春日大社、龍宮城さながらであった。
平城京の華々しい朱色(に、丹色)に、木々の緑(あお、蒼色)が映えている様子が、奈良の枕詞「あおによし」になっている、とウィクショナリーには書いてあり、なるほど、冴え冴えとした色のコントラスト、まさに「あおによし」だなあと思った。
かき氷も。
連れて行ってもらわなければ行かなかったであろうチョイス、かき氷! わたしの知っているかき氷とは別物。
かき氷は、奈良には氷室神社があるので、ふさわしいのだそうだ。なるほど!
和菓子も...なんと美しい。この陰影。礼賛。
炭で焼きたての甘辛いタレの上品なお団子も...香りが...たまりません。
柿の葉寿司も好きだが、焼き鯖寿司はもっと好き。持ち帰り用に。
中川政七本店、すっごく充実していて、ぐるぐる回遊して楽しんだ。あやうく一刀彫の置物を買ってしまうところだった...次回は清水の舞台(奈良じゃないけど)から飛び降りてみようかな!
この友達グループは毎回、目先の変わったおいしいお土産を用意してくれ、涙がでるほど笑わせてもらう。
次回も期待してるで! とメッセージを送った為り。
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