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Brugge Style
プリマベーラ
谷崎潤一郎がエッセイに、京都では今でも絵巻物にでてくるような顔に出会うことがある、と書いていた。
ブルージュでも中世の顔に出会うことがよくある。
例えば夫。娘のベレー帽をかぶってふざけている様子は、そりゃもうヴァン・エイクの肖像のひとつであると言われても納得な風情だし、先ほど雨の中をショールを頭からふんわり被って歩いていた青ざめた老女の顔は、メムリンクの絵のようであった。
娘の学校の2級位上のクラスには、わたしが密かに「プリマベーラ」と読んでいる少女がいる。
彼女の雰囲気たるや、顔立ちから肌の色、髪の質感に至るまで、まさにラファエロ、天上の人。ラファエロは美の理想を描いたのではなく、写実主義であったのか...特に彼女の横顔は超ルネサンスで、盗み撮りしたくなるほどだ。
これがアブナい人の衝動なのか...でも、フォン・アッシェンバハの気持がすごく分かる。
人間の顔には、皺もあれば分泌物もあり、並んでいる部品も配置もそれほど「美」にかなっているとは思えない。プリマベーラは文句なしに美しいけれど(そうは思わない人もいるであろう)、赤いベレー帽の夫は間抜け(ごめん)だし、ショールの老女は物悲しい。しかしそれらを「をかし」と感知するのはなぜだろう...
ま、割り切れないことがいろいろあり、美に翻弄され(笑)、それだから人間でいるのは愉快なのだが。
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2月逃げる
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気になる ”In Brugge”
英国映画、”In Brugge”。
もっと詳しく!というメールをいくつか頂戴しましたので追記しておく。
撮影は昨日終わった模様。
気になる出演者はCollin Farrell。アレクサンダー大王、マイアミ・バイスのあの方だ(H嬢、情報感謝です)。超がつく有名な俳優さんの出演と聞き、ワタクシは驚いた。内容はコメディだそう...うん、楽しみ。
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土曜日、ブラッセル
土曜日をブルージュで過ごす場合、友人を招いたり招かれたり、森や海岸に散歩に行ったり。
ブラッセルで過ごす土曜日は...
ブランチの後、サブロン広場のアンティーク・マーケットで銀器をひやかし、同じ広場にあるフラマンでインテリアを見て、画廊のウインドーに足を止めながら、そこから少々歩いて特別展のあるときは王立美術館、買い物気分のときはウォータールー通りのお店を見て回る。
それからかなり遅めのランチ。
ランチの時間帯に間に合わなければ、お茶で空腹を癒す。
夫はフラマン人の例外に漏れず、ブラッセルが気にくわない派だが、我慢強くつき合ってくれる。しかし未だに「嫌い」気分が顔に出て、「せっかく来てるんだから楽しみなさい」とわたしに説教されることがたまにある。
その気持も分からないこともない...
言語ひとつを取り上げても、例えばお店でフラマン語が伝わらず、フランス語を話すのもしゃくなので、英語で会話する、という状況はなんだか気の毒だ。そりゃ民族意識も高まろう。民族意識は自己意識と同じで他者を必ず必要とし、「あなたとわたしはちょっとだけ違う」という時に最も高まるのである。
仏蘭の両言語が首都ブラッセルの公用語であるにもかかわらず、実際話されている言語の94パーセントがフランス語だ。2位はフラマン語ではなく英語である、という結果が出たのはついこの間のことである。
ブラッセルとその周辺の住民は、移民も含めて「サラダボウル」状態で生活していると思われる。今後東欧諸国からの移民が増えるのは必須、いずれはフラマン語はブラッセルでは完全に通じなくなるかも...
やっぱりフラマン独立かな(笑)。
無責任な想像をもてあそぶならば、どの街が首都になるのだろうかとか、国際空港はやっぱり必要なのだろうか、などど...
ブラッセルは他の欧州の都市のようにすごく魅惑的な街というわけではないが、手放すのは惜しいな。
土曜日のブラッセルが好きなのだ。
今日の格言:言語とは民族の奥深い精髄の忠実な表象である(ミシュレ)
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新・カルメリット
フレンチの老舗、ブラッセルのComme Chez Soiの星がひとつ落ちたことで一瞬騒然としたベルギーの美食界だが、何のことはない、シェフが交代すると無条件でひとつ降格するシステムなのだそうだ。
去年だったか、開店前のレストランに星を与えてしまったことにより公平性が問われたミシュラン、まあ、関わりのない者には計り知れない権謀術数が渦巻いている世界なのであろう。
これでベルギーの3つ星は2件(両方ともフラマン圏)になってしまった。そのうちのひとつ、ブルージュのDe Karmelietは、意気軒昂。
先日レストランを訪れた時、年末に新聞記事になっていたことを思い出した。
De Karmeliet、現在ビストロ進出を計画中であることを。
キーワードを抽出すると、
2008年9月、本店のお隣に開店。
テーマは安く、早く、居心地よく、モダンな空間。
キャビアやフォアグラなどの高級食材ではなく、安価で新鮮で質のいい食材を供給。
40席のビストロ・スタイル。
De Karmelietと同じキッチンで調理される。
最低価格メニュで50ユーロ位から。
今の段階では名前は秘密。
時代の需要に応えた賢いビジネス展開...
オーナー・シェフのVan Hecke氏は、23年前のDe Karmeliet開店当時、ブルージュにはすでにレストランがたくさんあるのに...と評されたにもかかわらず、輝かしい業績をあげてきたことに対して自信たっぷりのジェスチャーを交えながら、De Karmelietの客がビストロ側に取られる心配もない、別の層の客を迎えることになるだけだ、とは語っていたが、
大きな声では言えないけれど、わたしはきっとビストロに流れる客の1人になりそう...
来年の秋が待ち遠しい。
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