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Brugge Style
英国と言えば...コーディアル
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英国生活を始める前は見たこともなかった。
エルダーフラワー(ニワトコ)の花を大量の砂糖と柑橘類などで煮込んでシロップ状にしたもの。これを適宜水や炭酸水で割って飲む。イギリス独特のものではなく、起源はローマ時代にまでさかのぼり、ドイツにも似たものがあるらしい(主にウィキペディアから)。
注意すると、近所の原っぱや測道にもニワトコが群生しているのに気づいた。
日本でもよく見かけたなあ...あれはどこでだったろう?
コーディアルはレストランのデザートに使われていたり(<これは美味)、すでに炭酸で割った状態のドリンクがボトル詰めでパブのメニューにあったり、キオスクに売られていたり、あるいは学校のお祭りでも見かけたりはしていたのだが、甘い飲み物がことごとく好きではないので「シロップを割ったもの」のコーディアルには感心を払ったことさえなかったのだ。
スーパーに行くと、写真の Belvoir 社のものを初めコーディアルは何種類も並んでおり、どれを選べばいいか分からないのも買ったことがない理由の一つだった。
もうかなり前のことになってしまったが、英国生活師匠宅を訪問した時、しょうがフレーバーのを身体が温まるとすすめてくれたのが始まりで...味としては生姜湯。おいしいの、これが。わたしは断然お湯割りが好み。さらに生しょうがを加えることも。
年末に何本かベルギーにも持って行き、彼の地でも絶賛を博したお墨付きの味だ。
英国の食品をほとんど誉めることがないあたくしも、これだけはおすすめしたい。
ボトルもかわいらしいし、お紅茶やレモンカード以外のお土産にもいいのでは。
しょうがレモン味のチキンのレシピも考案中。
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you must believe in spring
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スーパーマーケットの入り口やレジ横に、1束1ポンドのつぼみのラッパ水仙が置かれるようになったらもう春はすぐそこだ。
英国でだけでなく、毎年ブルージュに限っても大量に出回るので、このラッパ水仙の故郷の畑はいったいどんなところでどんなだろうと一所懸命想像してみる。
ラッパ水仙の畑を想像する邪魔をしてくるのがひまわり畑なのは、映画「ひまわり」の黄色い世界があまりにも強烈で、誰もが繰り返し取り上げるからだ。
札には産地「スペイン」と記されている。「ひまわり」の黄色い畑もスペインで撮影されたらしい...スペインの畑とはなんと情が深いのであろう。
しかし考えてみたら、つぼみのうちに出荷されるため、この雄大な水仙宇宙が真っ黄色に染まることはないだろうし、今頃は刈り取られた跡が生々しくのこって寒々としているのでは...とか。ひょっとして球根がごろごろしているのでは...とか。
スペインの早い春の花畑、一度見てみたい。
You must believe in "Spanish" spring.
もちろんこの曲。
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何かいいことないかな
「あーあ。何かいいことないかなあ...」
そう思うことはありませんか?
土曜日のわたしがそうだった。
とても気に入って予約していた春ものの洋服が生産されないという報告を受け、手に入らないとなると無性に欲しくなり、「最近、ええことないなあ」「何かええことないかなあ」と、どしゃぶりの庭を眺めていたのである。
たぶん昨日も何かちいさな「いいこと」はあったはずだが、その時のわたしは空っぽで何一つ覚えていなかった。
日常に小さな喜びを発見してそのつど幸せになるという自発的な技もある。
英国の水で入れる紅茶のおいしさや、卓上のシチリアのレモンのような薔薇の色や、暖房の効いた温かい部屋、忘れていた人の夢を見たこと、さらにもっと期待値を低く設定すれば、娘の日常も夫の言動も、飼い犬が小康状態を保っているのも、もっとありがたく受け止められるはずだ。
が、何か思いがけない幸運があちらの方から舞い込んではこないか、棚からぼたもちが落ちてこないか、そういう気分だったのである。
そういう気持ちになること、ありますよね?ね?ね?
そういう時は出かけるに限る。
翌日の日曜日の朝、電車でロンドンへ出て行こうと駅前駐車場に車を止め車外に出たら、黄色いミニに乗ったお兄さんが「(24時まで有効の)チケット、(もう必要じゃないから)使わない?」とにこにこ差し出してくれた。丁寧にお礼を言ったら、別れ際のお決まりのセリフ「よい一日を!」を言ってくれた。
「よい一日を」。
この一般的で誰もが惰性で使う別れ際のセリフをこんなにも素敵だと思ったことが今までにあっただろうか。
ええ、よい一日にしますとも、あなたのおかげです...
この5ポンド(700円)のチケットはわたしの一日の色を塗り替えた。
あの人は「何かいいこと」を運んで来る天使だったに違いない。
車で去ってゆく天使に手を振る*わたし、満面の笑顔で(笑)。お兄さんが車中で手を挙げるのが見えた。
そして午後、コベント・ガーデンで道を尋ねて来た人物が、すごく素敵なコートを来た背の高いハンサムな男性で、道を聞かれただけなのに(わたしは芳紀まさに16歳のころからナンパなどされたこともないが、道だけはよく聞かれるのである)笑顔になってしまった。容姿がいいというのはずばり「眼福」なのである。彼は丁寧にお礼を述べ、軽く手をあげてウインクして去って行った。
「何かいいこと」ありました。
わたしを何が幸せにしたかと言うと、ずばり、
「よい一日を」と、袖をすり合った人に声をかける、小さく手を振り、あるいは手を挙げて、片目をつぶってサインを送る...
「彼女は考えた。いつの日か、醜さの襲撃がまったく耐えがたいものになったら、勿忘草を一茎、勿忘草をただ一茎だけ、ちっぽけな花を頭にのせた細長い茎を一本だけ花屋で買うとしよう、その花を顔の前にかざして、彼女にはもう愛せなくなってしまった世界から保っておきたい究極のイメージである、その美しい青い点より他のものはなにも見ないようにするため、花にじっと視線を定めて街へ出てゆこう」(ミラン・クンデラ「不滅」)
今日は、自分以外の誰かが「いいことがあった」と思えるように、わたしは「お決まりのセリフ、仕草」を運ぶ天使役を果たしたいと思う。
街で親切をしたがるおしつけがましいおばちゃんに出会ったら、きっとそれはあたくしです(笑)。
...
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そこでクンデラの「不滅」を思い出した。
「われわれは誰しもすべて、われわれ自身のなかのある部分によって、時間を越えている。たぶんわれわれはある例外的な瞬間にしか自分の年齢を意識してはいないし、たいていの時間は無年齢でいるのだ。いずれにしろ、水泳の先生のほうをふりかえり、微笑し、手で仕草をした瞬間、自分の年齢のことなど彼女はなにも知らなかった。その仕草のおかげで、ほんの一瞬あいだ、時間に左右されたりするものではない彼女の魅力の本質がはっきり現れて、私を眩惑した。わたしは異様なほど感動した。そしてアニエスという単語が私の心にうかんだ。アニエス。かつて私はその名前の女性と知り合ったことはない。」(ミラン・クンデラ「不滅」)
「その仕草は婦人の本質をいささかもあらわにしたわけではなく、むしろ婦人はある仕草の魅力を私に啓示してくれたのだと言うべきだろう。なぜならば、ある仕草はある個人の所有物だとみなすこともできなければ、その創造物とみなすこともできないし(なにしろそのひと特有の、完全に独創的な、そして自分だけのものである仕草を創造することなど誰にもできはしないのだから)、その道具とみなすこともできないのである。が、反対は真実である。つまり、仕草のほうこそわれわれを利用しているのだ。われわれは仕草の道具であり、操り人形であり、化身である」(同上)
よい一日を!
よい夜を!
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阪急電車
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わたしの人生の半分以上はほぼ毎日阪急電車とともに。
芦屋川の祖父母宅、六甲の大叔母、西宮北口のバレエ教室、小学生のとき大好きだった宝塚、親友の住む御影(駅に近づくと漂ってくるおうどんやさんのお出汁の香り!)、最初の結婚生活で住んだ甲陽園、買い物と遊びは三宮(あの今はなきアーチ型の駅舎はご縁ある方の設計だった)、最終電車に飛び乗った梅田...
春日野道辺りではJRと並走したりして。
ドアにもたれかかり、右に山、左手に海を見ながら。
電車に乗ってどこにでも行ける、という生活がなつかしい。
いつかまた阪急沿線に住みたい。
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。。八つ橋かわいらしすぎる(笑)。
。。濃いミルクティと一緒に。
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the woman
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。。娘のiPad。
。。わたし自身、大人にさえなればアイリーン・アドラーのような
。。女になれると信じていた頃がありました。
。。あのひとが自分より大分年下と知った時は、取り返しのつかな
。。さでいっぱいになりました。
。。苦い、とはこういうことを言うのだなあと思いました。
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