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Brugge Style
エメラルド、ルビー、ダイヤモンド
ロイヤル・バレエ、バランシンのJewelsをリハーサルで鑑賞。
リハーサルは興行側がごたごたしていてあまり好きではないのだが、観客側はファンばかりとあってびっくりするようなことは起こらない。楽しい。
昨日は隣のマダム2人に、プログラムにクレジットしてある"Benesh Notator"って何? と質問され、もちろんわたしも知らなかったからその場でググって3人で「知らないことがまだまだあるねえ!」と感嘆したのだった。
ちなみにベネシュ・ノテーションとは40年代にベネシュ氏が考案して以来、ロイヤル・バレエで使われている、ダンスの身体運動を記録する方法(ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスのサイトに飛びます)。
一方で、昨日は近い客席で、若い女性が他の3人の観客に、よりいい位置にある空席へずれてくれるように言い、その作法が失礼であると3人が激昂したシーンはあったけど(最近、客席でもめたりするのによく出くわす。人は「自分以外の楽しんでいる人、楽しもうとしてる人」が許せなくなっているようだ)...
それはさておき、もっと自分が若いころは、「ジュエル」はあまり好みの作品ではなかったのに、最近は20世紀初頭のモダンさを「雅である」と楽しめるようになった...ような気がする。
左写真は当時のデザインを正確に復刻した髪飾り。roh.org.ukより。
「ルビー」のサラ・ラム(Sarah Lamb)とスティーヴン・マクレ(Steven Mcare)の痛快さはもちろん、「ダイヤモンド」のマリアネラ・ヌネツ(Marianela Nunez)とティアゴ・ソアレス(Thiago Soares)もまさに宝石の王者ダイヤモンドだった。
また、「エメラルド」も最初から最後までよかった。代役だったのでちょっと自信がないのだが、おそらくヨーフイ・チョウ(Yuhui Choe)は衆に優れて素晴らしく、ジェイムズ・ヘイ(James Hay)も素晴らしかった。
Yuhui Choeはこの2年ぐらいで舌をまくほど変化があり(もちろん優れた方に)、見るたびに驚かされる。
オーケストラは言わずもがな(チェイコフスキーの交響曲1番!)、ストラビンスキーのピアノソロのロバート・クラークも最高!
復活祭休暇だし、本番を娘と観に行くつもり。
こんなに素晴らしい娯楽はわたしにとって他にない。
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星屑
引っ越してから間もなく一ヶ月。
ついにお客様をお迎えできるような状態に!
残るはわたしの書斎(まだダンボールの山)のみ。
ところで、引っ越してからよくものをぶつけて壊すようになってしまった。
ものを壊すだけでなく、自分の身体もよくぶつける。
前の家には5年半住んでいたから、身体が前の家の内装の距離や位置を覚えてしまっているのだろう。
例えば食洗機は前の家ではシンクに向かって左にあったが、
今度は右になり、同じ機種でも位置が左右違うだけでものすごく使いにくい。
と、身体は判断している。
前の家でゴミ箱が内蔵されてあったと同じ場所にはもうゴミ箱はないのに
そこを開けてものを捨てようとするのは身体、はたと気がつくのは脳。
また、前のシンクにはなかった位置に今は熱湯蛇口が付いており、
この細い小ぶりの蛇口にものを勢いよくぶつけてしまう。
買い足したばかりのリーデルのグラスをこれにぶつけて壊してしまったときのショックといったら!
パイレックスのボールはもう何度もぶつけているので、割れるのは時間の問題だろう。
空き瓶利用だったからよかったが、砂糖壺も割った。
日本に送る小包のダンボールを半開きのドアに勢いよくぶつけて破れたり。
わたし、失言は多いし空気は読めないけれど、普段は特に粗忽者ではないつもりなんですけどね。
身体がこの家の感覚を覚えて上書きするまでは、大切な割れものは使わない方がいいのかも...
そしてついにAstier de Villatteのエトワール(写真の星の形の大皿版)をも割ってしまった。
不精して片手で取り出したのがいけなかった。
いや、これで「自分は粗忽者ではない」などと言ってるのは間違ってますよね(笑)。
しかも石の床で粉々。金継ぎなんてまあ無理。
星が星屑になってしまいました。
気を取り直してやっとの思いで同じものを買いに行ったら「売り切れました」と。
がっくり...
astier祭り@リバティ
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彷徨える人面有翼神
ウェストミンスターの事件直後に胸を打たれたもの。
Michael Rakowitz, The Invisible Enemy Should Not Exist
”アッシリア王にして世界の王であるセンナケリブは、ニネベの内壁と外壁を山の高さに改築させた”
「(アッシリアの古代都市ニネベの城壁の)第四の柱礎は約14フィート(約4.3メートル)で、ネルゲル門を守護する神、有翼の雄牛ラマッスも同じ高さである。紀元前700年に建築され、2015年2月にモスル美術館の文化遺産とともにISISに破壊されるまでニネベを守り続けた。
トラファルガー広場でラマッスを再現する意味は、たとえ難民や亡霊の姿をとろうとも、いつかイラクに帰還するという希望を捨てず、過去、現在、未来を通して永遠にニネベの守護神であるその役割を果たし続けると提示することにある。
「ラマッス」は2006年にマイケル・ラコウィッツによって始められた「見えない敵は存在せず」プロジェクトの一部であり、その意図は戦争余波で破壊されたイラク美術館の7000点を超える考古学的文化遺産を再現することにある。作品は中東のリサイクル食品パッケージで製作され、(トラファルガー広場の)ネルソン提督像の柱礎が、ロイヤル・ジョージ号(軍艦)の大砲くずから作られていることに似ている。
(上の写真の)ラマッスはイラクのデーツ・シロップ缶で作られており、イラク戦争によって斜陽になった産業を象徴している。」
ナショナル・ギャラリーのOne Space, Five Ideasで展示中。
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australia's impressionists
ナショナル・ギャラリーで終了間近のAustralia's Impressionists展へ。
「オーストラリアの印象派? 空き時間があったら行こう...」などと思っていたら、なかなか行く機会がなく、
「今週末で終わり? べつに行けなくてもいいかなあ」と思った瞬間に空き時間ができた。
わたしが知るオーストラリアのアートといえば、恥ずかしい話、アボリジニのアートか、うちにある細工のすばらしい儀式用ブーメランか、最近注目しているオーストラリア出身のデザイナーとか(Ellery, Alex Perry, Zimmermann, Alexis, Michael Lo Sordo, MLM Lebelなど)に限られている。
そういえばBBCラジオで「シドニー・フィルはいいよね」という会話をしているのを聞き、苦笑したことがある(誰もウィーン・フィルを「いいよね」などと評しない、というオチ)...
すべてわたしの世間の狭さ、無知のせいなのだが、今までオーストラリアに「印象派」があるなどとは考えたこともなかった。
19世紀、ヨーロッパで印象派が活躍していたころは、ちょうどオーストラリアが経済的に豊かになり始めたころに重なり(メルボルンは一時期大英帝国内で2位の豊かさを誇ったそうだ)、経済的豊かさの次には文化的豊かさを求めるのは人間の性、印象派はなんとオーストラリアの「ナショナリズムの高揚」のための重要な媒体とされたそうだ。
オーストラリアの美しき自然を強調し、人々に誇りと自覚を促し、彼らを「オーストラリア人」にするには印象派絵画が非常に有用だったらしい。まさにベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」。
芸術的には本家印象派の二番煎じかと感じたが、そういう事情はわたしはすごくおもしろいと感じた。
しかしなんですな、西洋の画家というのは、どこもかしこもよく知った「西洋の風景」にしてしまうのですね...フランスの田舎と変わりない「オーストラリアの夕暮れ」を描いて何になるのか? とちょっと考えてしまった。
ホームシック?
西洋人に限らず、どんな人間もついつい「自分の知っているものに引き寄せて理解してしまう」ものなのかもしれないが。
今まで考えたこともなかったオーストラリアの印象派、年齢を重ねるにつれ、さらなるオープンマインドを心がけ、毎日新しいことを知っては驚くような人生が送りたい。
(写真はArthur StreetonのAriadne)
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london calling
今日、午後3時半のトラファルガー広場をナショナル・ギャラリーから眺める。
追悼集会が始まる数時間前。
トラファルガー広場から一直線にホワイト・ホール(通り)が伸び、
写真の中心、少し左よりに見えているビッグベンがウェストミンスターの方。
徒歩で10分ほどの距離だ。
「優雅な生活が最高の復習である」ではないが
政治家が言うには普通の生活を続けるのが一番効果的だとかで
今日は予定どおりアラン・デュカスで昼食
(満席だった。キャンセルなどはなかったらしいが、
普段よりも多くのスタッフがホテルのあちこちに立っていて、
入館者に声をかけていた。これは効果的)
その後、ナショナル・ギャラリーで終了間近のAustralia's Impressionists展を見学
(美術館は心なしかすいていた)
百貨店リバティに雑貨を見に行き
(百貨店もすいていた。でもまあ平日の夕方なので...)
ジャパン・センター(和食材店)で娘に頼まれたメロンパンなどを購入
(ここはいつも混雑している)
夫と待ち合わせて、娘を学校でピックアップして帰宅
わたしのごく普段の平日を過ごした。
地下鉄はさすがにウェストミンスター駅は閉鎖されていて
ただ警察官は普段よりも出動数が多く、
「お仕事お疲れ様です」と全員に声をかけて回りたかった。
(そうか、こういうときこそツイッターでツイートすべきなのか)
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