goo

les rendezvous


写真はROHより拝借



https://www.youtube.com/watch?v=S3jaSD2VHY8

こちら、Vodka Gorillaさんのチャンネル、ぜひっぜひっご覧ください!


わたしが崇拝する女神、Marianela Nunez...

今シーズンもコヴェント・ガーデンに通いに通い、鑑賞後は恍惚として、彼女の神々しさを讃えるため、あれこれ拙い言葉を駆使したものの、まった追いつけず...
が、素晴らしき解説番組を見つけた。
Vodka Gorillaさん、ご自身もダンサーとして活躍なさっている。さすがプロ。

わたしが抽象的な言葉で(ぎゃーと叫んだり、「我執を去る」とはすなわちこれか! とか、場の摂理にかなった動きとはこういうことか! とか)しか言い表せなかった神髄を見事に表現しておられる。
わたしは英国高級紙のダンス・レヴューなどもチェックするが、Marianelaの芸術をここまでシロウトにもわかるように解説した媒体は他にない。

これをご覧になったら、わたしがなぜ常に恍惚(ほとんど法悦)としているのかお分かりいただけるはず...

11:10あたりからどうぞ。

......


ロイヤル・バレエの今シーズンは『ドン・キホーテ』で始まり『白鳥の湖』で終わる贅沢なシーズンだった。

昨夜はわたしの今シーズン最後の鑑賞で、ザ・イングランド! と言ってよい Frederick Ashton 祭、Les Rendezvous, The Dream, Rhapsody の三本立て。

なかでも1933年の作品を改訂したLes Rendezvousは、ボウ・ブランメルのようにスマートでシックな服装をした男性ダンサーと、優美な色彩のドレスをまとった女性ダンサーが眼福。
イングランドやフランスで流行った「プロムナード」を絵巻にしたかのよう。
「プロムナード」というのは、18世紀から19世紀にかけて、富裕な男女がファッションや馬車を顕示し(まさにヴェブレンの言うところの「顕示的消費」)、社交を楽しむために公園や大通りをただただ練り歩くことを指す。

Marianelaが、非常に複雑な動きをしながらも、お目目キラキラ、瞳をぐるぐる回したり、花のように笑ったり、とってもお茶目な表情をしていて、こちらも風船のように舞い上がってしまいそう、客席から舞台に飛んでいってプロムナードに加わってしまいそうになった。

Vodka Gorillaさんがおっしゃる「テクニックを見せるためのバレエではなく、バレエを見せるためのテクニック」「現代バレエにおけるひとつの到達点」、それ、それですよ!




昨夜は19:00開演だったため、終演後の22:00はまだ空はが明るかった。

昨日は国王の「誕生日」を祝うパレードが行われ、悪天候にもかかわらず、ロンドンは激混み。

誕生日パレードもいいが、路上で眠るホームレスの方々を見て、非常に複雑な気持ちになった。
東京都庁が2年間で48億円だかのプロジェクション・マッピングをしている足元で、食料無料配布に行列ができている現状を知った時と同じような。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

the dream 真夏の夜の夢




真夏というには寒いイングランドですけど...毎日20度くらいで。


今シーズンのロイヤル・バレエも終わりに近づいてきた。


昨夜はフレデリック・アシュトン

The Dream(シェイクスピア『真夏の夜の夢』)

Five Brahms Waltzes in the manner of Isadora Duncan 

The Walk to the Paradise Gardenby Sarasota Ballet

Hamlet and Ophelia

Rhapsody

Rhapsodyのメインは前田紗江さんと五十嵐大地さん。
新鮮で実力があって、めちゃくちゃ盛り上がった!
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

the winter's tale




前回のMarianelaNunezとMatthewBall (このメイン・キャストでの今シーズンの2回目の公演)よりも練りに練られた公演で、素晴らしかった。




愛らしいマリアネラ...
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

バレエ『冬物語』 春の来ない冬はない




The Winter’s Tale『冬物語』はシェイクスピア原作のバレエだ。

初演は2014年、あれはもう10年前...
Christopher Wheeldon が制作振付した 3幕作品は、1965年のケネス・マクミランの『ロミオとジュリエット』以来のシェイクスピア作品であり、英国ではやはり期待が大きかった。

10年前の初演時にこの作品を見た、当時14歳だった娘は、Christopher Wheeldon作品といえばのAlice's Adventures in Wonderland『不思議な国のアリス』に感銘を受けた後だったため、この作品を絶賛した。

14年しか生きていない人間に、この作品のどこがそれほど感動的だったのだろうか、と考えた。
最近、娘に質問してみたものの「覚えていない」と言う...

わたしは子供にはまだ早いとか、子供にはわからないだろうなどとかは、あまり思わないし、子供向きか難解かを基準にして娘に紹介したことはない。
小説でも映画でも芸術でも人生のその時点でしか受けられない衝撃はある。「全くわからない」というのは貴重な体験だ。
例えば、小学生だった娘にある小説を紹介したとき、夫は「この本はフランス革命が何か知らないと面白くないでしょう」と言ったが、わたしは「この本を読んでフランス革命が何かを知るのです」と言った。今もそう思っている。


今シーズン再び The Winter’s Tale『冬物語』を見て、わたしはこの作品の激しいコントラストに衝撃を受けた。
嫉妬と猜疑心で何もかも失うシチリア王の世界は「冬」、暗く、冷たく、まるで地下のようだ。王の狂気を表現する蜘蛛のように這う動き。
彼の子の世代が生きるボヘミアは、光と彩り、音楽、喜びと希望に満ちた「春」。地上の世界。螺旋のように複雑で、蝶のように飛んでいってしまうようなジャンプ。

このふたつの世界を取り持つのは、王妃の侍女頭であり、彼女は二つの世界を行き来する。さしずめギリシャ神話の「ヘカテー」。

ならば王妃は娘ペルセポネを奪われるデメテルと...つじつま合うなあ。


人間の営みには冬がある。しかし、必ず春は来る。
人間は成長して、次の次元に繰り上がらなければならない。
こういったストーリーの原型は世界中どこの神話、民話やおとぎばなしにも見られる。
とすれば、14歳の娘が惹かれたのも当然かもしれない。

下敷きにギリシャ世界があるのがわたしがこの作品を好きな点でもある。
気のせいではなく、衣装や舞台装置や登場人物の名前もそうなのです...


最後になったが、昨夜もわが女神Marianela Nunezは素晴らしかったです(王妃役)。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

swan lake 2024 marianela nunez




最愛のひと、Marianela Nunez の2024年シーズン『白鳥の湖』は昨夜で三夜目を終了、次に『白鳥の湖」がかかるのはいつかなあ...2年後くらいかなあ。


白鳥のオデット・オディールのように容姿が美しいダンサーはそれこそいくらでもいると思う。

しかし、白鳥のオデット・オディールの美しさをこの世に現すのは、彼女が当代一だと思う。


次はWinter's Tale!!


...


後日談

今シーズンのMarianela Nunez の『白鳥の湖』は、わたしは3回とも見、どれも卒倒しそうなくらいすばらしかったが、特に2回目が突出していたと思う。

後から娘に聞いたところによると、3回目が終了した後、インスタグラムか何かで「次回はもっと上達してみせます」と書き込んでおられたそうだ。

修行者ではないか...

修行者、求道者に「これで完璧」というのはない。

わたしたちは最高の芸術家がみなそのように言ったのを知っている。
レオナルドはこう言っている。
“Art is never finished, only abandoned.”
「芸術は決して完成しない。ただ途上、未完成(で放置された)なだけだ」

芸術家とは、その茨の道を矜持とともに行く覚悟のできている人のことなのだ。

凡人は頭を垂れるしかないですね。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ