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Brugge Style
垣根の上の女
先日ヘンゼルとグレーテルのイベントのことを書いているうちに、魔女のことが気になり始めた。
魔女...絶滅寸前種。うちの近所にも「どう見ても魔女」が住んではいるが、悪さをしているようには見えない。
ところで、オランダ語ではおとぎ話等に出てくる魔女のことをHeks(ヘクス)と言う。これは「垣根」という意味である。
「魔女」が同時に「垣根」という意味を持つのはヨーロッパ言語に共通しているらしい。
ウィキペディアによると、
「この「垣根」とはただの垣根ではなく、生と死の間の垣根のことである。出産の介助、病気の看病、薬草、傷薬の処方、熱さまし、避妊、堕胎など、彼女たちの多くの活動が「生と死の垣根」の仕事であり、それが不首尾に終わったりすると、逆恨みから「魔女」と名指しされることも多かった。」(魔女)
なるほど。例えば「女の一生」にも、臨終にも出産にも立ち会うそういう生業の女性が登場する。
また「眠れる森の美女」において、カラボスがオーロラ姫の誕生に際して現れ、15歳の誕生日に死ぬ、と予言を残したのは、まさにカラボスが生と死の垣根を司る者だったからであろう。
わたしはこういう「だから何なん?」という類いのことを考えている時が一番幸せで、また多くの時間を使う(つまりぼんやりしていることが多い)。
そしてメモ魔ゆえにメモをするが、メモ自体をすぐになくしてしまう。そしてすぐに忘れてしまう...こともブログを書き出してから減ったような気がする。でもまあ、ほとんんどのことが何の役にも立たないわけですがね。
人間がなぜ象徴を用いるのかと言えば、おそらくそれはわれわれが言語(=象徴)を使用するからだ。
しかし、人間がその発達段階で象徴を用いるようになったのではない。
象徴を用いるから人間になったのである。
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夏の終わりに聴きたい曲
このごろを夏の終わりと呼ぶには無理があるが。オマージュで。
夏の終わりに「シーズンインザサン」という曲を思い出した旨を書いたら、多くのみなさまから「夏の終わりに聴きたい曲」に関するお話を聞くことができた。
わたしが後ろ向きの人生を送っていることに対して寛容になって下さるばかりか、「あのころはよかったね」と数分の間、肩を並べて歩いて下さるようなジェスチャーがうれしい。
先週のこと、タイミングよく(皆考えることは同じなのね...)ある損保の会社がこんなアンケート集計をしたというニュースを見た。
「全回答者の1,000名に対し、夏の終わりに、ドライブをしながら聞きたい曲を単一回答にて聞いたところ、1位「TSUNAMI(サザンオールスターズ)」、2位「真夏の果実(サザンオールスターズ)」、3位「少年時代(井上陽水)」となり、サザンオールスターズのバラードが上位を占めました。」(ソニー損保の調査)
うむ、実はこの3曲ともわたくしは全く知らない曲だ。もしかしたら聞いてみたら、「ああ、あれ」とか思うのかもしれないけれど。
わたしが夏の終わりに海辺をドライブしながら聞きたいのは...
Don Henley "boys on the summer"
Chris Rea "on the beach"
Black "wonderful life"
Flip Nunez "see you later"
それからラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌ。
もちろんシーズンインサンもそして僕は途方に暮れるも入れてもよい。
秋ですね
ブルージュは冬のようです
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裏の運河
ヴェネチアに習って、ブルージュの運河にもバスやタクシーを運行させればいいのになどという近視眼的な主張のもと、よくよく観察してみれば、例えばうちの裏の水深はたった30センチくらいのものであった。
カヌーはともかく、乗り合いバスなどはとうてい浮かべられないだろう。
ちなみにブルージュの運河の水が濁っているのは汚染のためではなく、底の土砂が非常に細かいため水中を踊るから濁っているように見えるだけで、実際は綺麗なのだそうだ。
うむ、ここの水は非常に澄んでいて底が見える。底が土気色なのがいけないんですな、たぶん。とは言え、これを綺麗な水色にしたらラスベガスやんか。
貿易船舶で欧州一と栄えた中世のブルージュが、栄華を過去のものとあきらめなければならなかったのは、運河に土砂の堆積するのを食い止められなかったからだが、これは現代の技術をもってもどうにもできないものなのだろうか。
アントワープの渋滞悪名高き環状線拡大大工事に伴って、またもや議論が拡散していっている今日このごろだから、ブルージュの運河の土砂を取り除いて公共ボートバスを運行させよなどという牧歌的な工事については「ねぼけてるんですか」と言われそうだ。
ねぼけているのがブルージュのよいところ。
と、主語をすり替えたりして。
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ドーバー海峡を渡って
ロンドンから40分ほどの郊外に用事があり、車で。
ブルージュからはロンドンへ行くのもパリへ行くのも時間的には変わらない。2時間半から3時間はかからないくらい。
ロンドン行きは途中、20分のユーロトンネル(ドーバー海峡渡り)があるためか、気分転換になるのだろう、ずいぶん近く感じる。
ユーロトンネルでドーバー海峡は20分!昔から20分だったらロンディニウムの歴史はもっと早く始まっていたでしょうな。
10年以上前、一度カレーから船で海峡を渡ったことがある。
船で渡るのはロマンティックじゃないですか。
しかしその日、海上は大嵐に見舞われ、船上は阿鼻叫喚地獄と化した。平気な顔をしていたのはクルーとうちの旦那くらいのものだった。
ロンドン到着後、ミュージカル「rent」を観ている最中もわたしの世界は高速回転を止めず、途中退席し、二度と船を使うまじ、と寝床に倒れ込んだ記憶がある。今でもこのことを思い出しただけで頭がクラクラする。
ロンドンとパリ。
この二大都市にはさまれて幸せ。
強がりです
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daniel ost 月桂樹広場
人は秋になると今まで忘れていた芸術のことが気になり出すらしい。
今年、ブルージュは芸術の秋に特別力を入れている。
気のせいではない。先週末始まったstadsfestival (city festival) が来年初頭まで続くからだ。
ダンス、シアター、音楽、文学、映像、エキスポ。上記HPやタウン誌を広げれば興味深いイベントがたくさん載っている。
今週末からは「ダニエル・オストの月桂樹広場」Laurier op de Markt (Laurel on the Markt) が公開される。
マルクト広場に現れた、まるで赤の女王の庭園のようなアート。
トランプの兵隊はいないが、かわりにオレンジのジャケットの作業員の方々。
ダニエル・オストはベルギーが誇るフラワーアーティストであり、東寺などでも展覧会をしたくらいだから、ひょっとしたらアクション俳優やEU初代大統領よりも日本では有名かもしれない。
....
この後、わたしが一番楽しみにしているイベントは、10月に予定されている「ヘンゼルとグレーテル、ブルージュで迷う」というやつだ。
この子ども向けイベントは、2人のアーティストによってストーリーが演出されていて、参加者はそれに従って街をさまよう。小石やパン屑を撒きながら歩くのかな...ワクワクしますね~。
特に「お菓子の家」はメタファーなどではなく、本当に作ってくれますように、と心から祈っているのである。
わたしはお話を含めた風俗や文化の起源を考えるのがとても好き(われわれは何者であるか、世界にどのように説明を付けるか、というのがわたしの人生最大の関心だからして)だ。
でもこのイベントで「お菓子の家とは何のたとえなのでしょう?みなさんで考えてみましょう」などと賢しらなことを言われたら、絶対暴れるね。
あっ、ここに性悪魔女が!
これから暗く冷たい季節が始まる。アートで暖まろう。
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