「女子大教授がエジプト旅行で感染 卒業式中止で学長憤り」との記事が。
内容は以下の通り。
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郡山女子大(福島県郡山市)は14日、大学側に無断でエジプト旅行をした70代の女性教授=郡山市在住=が新型コロナウイルスに感染したと発表した。大学は31日までキャンパスを閉鎖し、18日の卒業式を中止することになった。関口修学長は記者会見し、「卒業する学生には本当に申し訳なく、かわいそうだ」と述べた。
郡山女子大では出張や旅行で2日以上、地元を離れる際は事前の届け出が必要だが、教授は連絡せず、14日に保健所から連絡があって大学は今回の旅行を把握したという。関口学長は取材に「卒業生は晴れ着を準備して卒業式を心待ちにしていたのに」と怒りをあらわにした。
大学や県などによると、女性教授は2月21日~3月1日、エジプトをツアー旅行で訪れ、ナイル川でクルーズ船を利用。帰宅後の2日以降、下痢やせき、発熱などの症状が出て、13日に帰国者・接触者相談センターに相談した。14日に陽性が判明し、現在は病院に入院中で軽症という。
女性教授は一人暮らしで、症状が出た後の4~6日と9日の計4日間出勤。教授会に出席したが、授業はなく、学生との接触はなかったという。卒業式には大学院生も含め、約370人が参加する予定だった。(見崎浩一、深津弘)
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記事を読めば、概ね100%の方々が「卒業式中止で学生かわいそう・・・」という気持ちだろう。私も、「自分の卒業式」が2つも中止になっていなければ、「残念だよね・・・」って思っていたはず。でも、3月21日の放送大学学卒業式、3月22日の自由が丘産能短期大学卒業式の両方が中止になった立場からすれば、「この大学は、世間の常識に逆境して、卒業式やるつもりだったんだ?」と、学生の無念さより、大学サイドの非常識=危機管理の乏しさに疑問を感じてしまう。
「そんなこと言っても、みんな楽しみにしていたんだよ!」って言われそうだが、同じことを、卒業式中止になった小学生、中学生、高校生、その他大学生にも面と向かって言えますか?高校野球等、各種、中止になったスポーツ競技の選手に面と向かって言えますか?ディズニーランドに天皇誕生日の一般参賀、ほかにも、イベントや記念行事等々、行きたかったorやりたかった人々はたくさんいる。でも、コロナの蔓延を少しでも回避しようと、みんなが我慢し、耐え忍んでいる。
逆に、この時期旅行に行った残念な教授が見つかったからこそ、約370人は蔓延リスクから強制的に解放されたといえる。「この教授以外が、同じような感染にかかっていない」という保証はないからだ。もし卒業式で罹患してしまったら、発症するのはちょうど入社式のあたり。入社式も中止にする企業は多いものの、入社早々、「新型コロナで欠勤しかも大学卒業式のクラスター感染」だったら、来年度以降の当該大学学生の就職活動にも影響するかもしれない。「常識のない大学」というレッテル、あるいは「卒業式を欠席する大人の判断ができなかった学生多数」というレッテルを貼られてしまうと、来年度の学生個人の力量以外のところで風評被害が発生するかもしれないから。
それでなくても、来年度以降の就職活動は新型コロナの影響が気になるところ。政府が「内定取り消ししないで」と企業に呼び掛けている光景をみても簡単に想像がつく。
それはそうと、早稲田大学卒業式中止、慶應義塾大学卒業式中止、上智大学卒業式中止、東京理科大学卒業式中止、明治大学卒業式中止、立教大学卒業式中止、法政大学卒業式中止、青山学院大学卒業式中止、同志社大学卒業式中止、立命館大学卒業式中止、関西学院大学卒業式中止、関西大学卒業式中止・・・と、多くの大学が卒業式を中止にする中で、郡山女子大学の学長は「卒業式開催」を決断したわけで、この学長は開催のリスクをすべて負っているはずだ。にもかかわらず、教授の新型コロナ感染を食い止められず、その結果を自分自身の「怒りをあらわ」で他者責任にしている。
これでは、まるで、会社の存続を決める一大プロジェクトの推進をOKした経営者が、プロジェクトの構成員の失敗で、プロジェクトが破綻したのを「あいつさえ失敗しなければ・・・」と怒りをあらわにしている状況と同じ。そうじゃないだろう!って思うのは私だけだろうか??
「政府の要請や世間一般の対応に反して、あんたが卒業式やるって言ったんだから、新型コロナリスクを極限まで低下させる措置を取った上で、なおかつ、やる以上は、卒業式開催までに発生したリスクをすべて負えよ、学長だろう!!」っていうのは学長先生に対して失礼でしょうか。でも、それくらいの責任を取る覚悟で学長をやってほしいと願っているのですが。おかざりじゃないんだから、学内で発生したことぐらいは、憤る前に、責任取ってよ。
大相撲じゃないけれど、「関係者に一人でも感染者が出たらイベント中止」っていうのは世間の共通認識。そのリスクを認識できる学長なら、卒業式は早々に中止にせざるを得ない。
安倍首相は2月26日、「この1~2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントについて、主催者に対し、今後2週間は中止や延期、規模縮小などの対応をとるように要請した」のだが、要請の趣旨からすれば「流行中は、多くの方が集まるところでは、感染が拡大するから中止して」ということだ。「要請後2週間以上経っているから」とか「全国的じゃないから」とか「規模縮小も認められているから」と、言葉尻をとらえてごまかしてはいけない。その要請にもかかわらず、イベント=卒業式をやるのなら、そのリスクは主催者が負うべきで、だからこそ、ゴーサインを出した学長が憤っていることが信じられないのだ。
朝から、ムダに、1時間5分もこの内容について記事を書いている自分も信じられないのだか・・・