「おでん」をつまみながら記事をしたためる。
思えば、「おでん」を好意的にとらえることができるようになったのは、そんなに古い話ではない。少なくとも、社会人になる前は、「おでん」といえば、ご飯のおかずにならない「ハズレ」のような食べ物だった。
その「おでん」を好んで食べれるようになった大きなきっかけは「チクワブ」の存在にある。「チクワブ」がご飯の代わりを演じてくれる。だから、ご飯を食べないでおでんが食べれるようになったのが、おでんを認知するきっかけとなった。
そう、ご飯と合わないのがネックだったのだ。ご飯を食べないと決断した結果、おでんの存在価値が高まった。高校時代、クラブ活動してなかったが、もし当時「チクワ部」というのがあれば、何の迷いもなく、入部を決断していただろう。でも、「チクワブ」ではなく、「チクワ」を研究する部活だったら、即刻、退部届を提出したはずだ。でも・・・高校は大阪だったので、チクワブの風習がないから、きっと、そんな部活はありえないだろう。(無論、東京でもないのだが)
そして、目下、わたし的に人気ランキング急上昇中なのが「はんぺん」である。
「マシュマロを おでんに入れる うつけもの」というのは、私が小学生のときに詠んだ川柳である。
・・・無論、ジョークである。
ただ、そのジョークが冗句では無くなるほど、「はんぺん」は悪魔の食べ物であった。何だこれは!歯ごたえも無く、ご飯にも合わない。そもそも原料は何?泡か?と思っていた。
しかし、ご飯のお供ではなく、「はんぺん」を単体で賞味するのだと悟った瞬間、「はんぺん」が、その個性と本領を発揮したのだ!「はんぺん」恐るべし!
そして私のおでんは「白物」の占める割合が高い。「ちくわぶ」「はんぺん」「タマゴ」。そう、「白物家電」ならぬ「白物おでん」である。やはり、朝方のひんやりした時間帯には、おでんを食べると生き返る!
コロッケやハンバーグ、オムライスやカレーライスと比較すると、どうしても、好物とはいえなかったおでん。でも、幼い頃の記憶に、おでんのたねで好きだったものがあった。
「コロ」である。
間違いなく関西人の心を揺さぶる食材の一つである。そもそも、関西人はたこ焼きやお好み焼きのごとく、何でも濃いソースとマヨネーズの味で語れる民族ではない。コロの、繊細かつ微妙な味が分かるのが関西人である。例えば、明石焼きのごとく、お出汁でいただくものもある。京料理の文化圏でもあり、意外と、味に細かいのである。むしろ、東人のほうが、塩分濃ければOKって面があるのではないだろうか??(ちょっと、偏見が入っているかも。でも、お蕎麦とか、塩辛くて、こちらに来てからほとんど食べていないのです・・・)
もう、どんな味だったかも忘れてしまったが、「コロ」を奪い合って食べたような気がする。間違ってはいけないと思い、ネットで確認したが、逆に、関東では、「コロ」って食べないのですね・・・というか、捕鯨禁止の流れに乗って、目に付かなくなったのかもしれない。
もう一度、食べてみたい気がするが、きっと、自分の想像には勝てないだろう。美しい記憶は美しいままの方がいいのかもしれない。
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関西特有のたね。鯨の皮の下の脂肪層から脂肪分を抜いて乾燥させたもの。現在は希少品なのでかなり高価。(紀文HPより)