突如、地下に落下してきた巨大な顔ロボット。
逃げ惑う村人。
カミナ一人で敵の前に立つ。
そして敵意を示すこの巨大ロボットに対して、
口上を切り始める。
「ジーハ村に悪名轟くグレン団!
漢の魂、背中に背負い
不撓不屈の!あ、鬼リーダァ~!
カミナ様たぁ、俺のコトだっ!!」
しかし威勢の良さで勝てる相手ではない。
刀でダメージを与えられる相手でもない。
成す術なしである。
その時、穴の開いた天井から、また何かが降りてくる。
超伝導ライフルをぶっ放しながら、
カミナとシモンの前に降り立つ。
驚くべきことに、その姿は女性であった。
彼女の名はヨーコ。
彼女の超伝導ライフルのおかげで、
一時的に敵の足を止める事に成功する。
その隙をついて、シモンはカミナとヨーコを連れて、
穴の中を急ぐ。
シモンが発掘した巨大な顔のもとへと。
シモンはカミナに乗るように勧める。
カミナに乗って欲しかった。
カミナに敵を倒して欲しかった。
だがカミナはそれを良しとしない。
「オマエがやれ、シモン」
シモンはまさか自分が乗るなんて考えもしなかったので、
いきなり弱気になってしまう。
「オレ、無理だって!」
そんなシモンにカミナが檄を飛ばす。
「いいかシモン!!自分を信じるな!
オレを信じろ!
オマエを信じるオレを信じろ! 」
その言葉を聞いたシモンの表情が変わる。
「…やってみる!」
そしてシモンは自分の拾った小型のドリルを、
全面のパネルにある穴に挿す。
すると顔型のロボットは激しい発光と共に動き出す。
宙に浮き、手と足が飛び出す。
ものすごいスピードで一気に穴ぐら進み、
敵の顔型ロボットの元へ。
またもカミナが口上を切る。
「どうだ!ちったぁ驚いたかガンメン野郎!!
キサマの横暴は、天が許しても、このラガン様が許さねぇ!!」
それを聞いていたヨーコがカミナに問う。
「ラガンて?」
カミナは顔型ロボットの胴体を叩きながら答える。
「コイツの名前だ!今オレが決めた」
だがそんなカミナの威勢とは正反対に、
不慣れなシモンは防戦一方であった。
必死の反撃も虚しく、ラガンはついに敵の牙にかかる。
牙の圧力によって次第に押し潰されてゆく操縦席。
正に手も足も出ない、絶体絶命のピンチ。
「くそっ!もっと!もっとパワーを!!」
あがくシモンは挿入されている小型ドリルを掴み、左へ回す。
その瞬間、パワーゲージがスパイラルを描き上昇してゆく。
激しい発光と共にラガンの額にドリルが生える。
そのドリルで敵の口を粉砕し、ラガンは脱出に成功した。
ドリルを見たカミナが嬉しそうにシモンに言う。
「似合いの武器だぜ!オマエらしい!」
シモンも手応えを感じていた。
「アニキ!これならイケそうだ!」
「ようし!あのデカヅラに叩き込んでやろうぜ!!
オレたちグレン団のドリルの力を」
「うん!」そしてシモンは握っているレバーに力を込める。
「うあああ!」
シモンの気合いと共にラガンが激しく発光する。
「行け!シモン!オマエのドリルで天を衝け!!!」カミナが叫ぶ。
敵に向かって突撃するラガン。
敵の応戦するパンチごと粉砕し、
その胴体を衝く。
「うううあああああ!!」
カミナとシモンの気合いの叫び。
それに相乗するかのようにラガンは激しく回転し、
敵ガンメンを地上へと押し上げてゆく。
「あばよ!ジーハ村!オレたちは地上へ行く!
ガキのとき見た地上へなぁぁぁ!」
ついに全ての岩盤を突き破り、地上へ出る。
シモンの前に拡がる光景は、天井も壁もない、
どこまでも続く空と地平だった。
「きれいだなぁ…」そんな景色を見たシモンの目が輝く。
だが、地上は螺旋王率いる人間掃討軍に支配されていて、
地上に出た人間は彼らによって抹殺される運命であった。
つづく