日々茫然

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王の男

2007-01-25 | 映画の話
王の男』を観てきました。



マニアック系映画を扱うこじんまりした映画館での、一般より少々遅めの公開でした。
案外興行成績が伸びなかったみたいです。CMなどを見ていると、同性愛の部分が強調されているように感じましたが、観てみるとそんな描写はほとんどなかったです。
もっと人間ドラマの部分をPRした方が良かったんじゃないかな。

時は、16世紀初頭。固い友情で結ばれた幼なじみの旅芸人、チャンセンとコンギルは、国一番の芸人になるという決意を胸に、漢陽の都にやって来た。そこで時の王・燕山君(ヨンサングン)が身分の低い妓生だったノクスに入れあげ、宮中に招き入れて遊び呆けているという噂を聞きつけた2人は、宮廷を皮肉った芝居を演じ、たちまち大人気を博す。
しかし、彼らは王の側近の重臣に捕らえられ、王が芝居を見て笑わなければ死刑だと言い渡される。王は幼い頃に母親を毒殺されてから心を閉ざし、人前で笑ったことがなかった。そんな王が、一目でコンギルの美しさに魅入られ、達者な演技に爆笑し、臣下の猛反対を押し切って彼らを宮廷に住まわせる。力強く巧みなチャンセンの芸と繊細で艶やかなコンギルの掛け合いは、ますます王を魅了していく。しかし、母親の死の真相を知った王は日に日に狂気に満ちた行動に走り、ノクスは王の心を奪ったコンギルへの恐るべき復讐を計画する。今や2人の芸人は、激烈で悲劇的な運命に巻き込まれようとしていた……。


韓国映画はたぶん初めてなのですが、衣装の赤い色彩がとても印象的でキレイでした。

内容は、部分的にスッキリしない所がありましたが、なかなか面白かったです
登場人物の心情や行動が理解できないのが、文化的・歴史的な背景を理解できないからなのか、描かれてないから(あえて?)なのか?初めての韓国映画とあって、若干戸惑いが
特に気になったのが、二人の芸人の仲は愛情なのか、友情なのか、とか。
同情のため、王に好意的な態度をとるコンギルへのチャンセンの感情が、嫉妬なのか、権力に寄り添っていくように見えるための怒りなのか?(コンギルも何も語らないし)
これ結構重要な気がするのですが、分からなかったです。
個人的には、嫉妬じゃなきゃいいな。でも冒頭のシーンで見せたような態度は嫉妬っぽかった。
チャンセン、恋する男でなく、反骨の男であって欲しいです。

また、二人の芸人も良いのですが、王も良かったです
子供みたいな最低な暴君なんだけど、だんだん可哀想になってくる。
王の物語と言っても良かった。
役者さんが上手いのか、表情が見事でした。何にも見ていないような虚しい茫洋とした目をしてるかと思えば、バカみたいに無邪気に笑ってみたり。
なんともいえないいい表情ばかりで、結構好きかも

愛妾のノクスも、悪者扱いだったけど、自分を侮辱するような芸を見てる時にもシャレが分かるのか余裕があったし、周りの者がどんどん王を見放すのに最後まで王の側から離れなかったし、結構ちゃんと王を理解し、愛していたのかも、と思いました。

それから、二人が王の前で芸を披露する事になったのは、チョソンという側近が関わってるんですが、この人、ただ一人王の事を心から心配している、という人物です。
王のためを思って画策したことらしいのですが、結局意図が良く分からなかった
王がダメすぎたから伝わらなかった?

王は、コンギルばかりに夢中でしたが、チャンセンと向き合うことができたら変われたのかもしれない、とか、それが出来ないからこそのあの王なのか、とか、史実が元になってる話なのでどうしようもないのですが、後から色々考える事の多い映画でした。
それも決して不満というのではなく(アラっぽい所もあったけど)、キャラクターに魅力を感じたからこそ、描かれなかった部分にまで突っ込んで色々考えたくなった、みたいな良い意味で(便利な言葉…)後々まで楽しめたというか、まあとにかく、結構面白かったです
コメント (4)
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