日々茫然

猫・本・アート・日常生活などを、つれづれと思いつくままに記録

2019年10月に読んだ本

2019-11-14 | 本と漫画の話

もう11月、1年が終わろうとしている…!
えっ!?イノシシ年の年賀状、つい最近作った気がするんですけど、 もうネズミ年の年賀状を準備しないといけないんですか!?


10月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:3090
ナイス数:209

営繕かるかや怪異譚 その弐営繕かるかや怪異譚 その弐
★4 住居にまつわる怪異の原因を読み解き、手を入れることで解決する営繕屋・尾端。本人は怪異を見るわけでもなさそうなのに、普通なら信じ難いような話にも親身に耳を傾け、原因を探り当てる尾端。彼のキャラクターが良いので、最後の方に登場するだけなのが物足りないほど。相談に乗るだけで解決してしまい、営繕屋としての仕事に繋がってない話まで。どの話もスリリングな展開で、尾端が登場するまでの間も十分盛り上がるし面白いんだけど、もっと彼の出番が見たい…。
【以下あらすじ】猫の小春が死んでしまった事を息子に伝えられずにいた俊弘。ある時息子が夜中に小春が帰ってきて一緒に寝た、と言う。その布団からは異臭がして…「まつとし聞かば」/古い長屋を借り自分でリフォームするのを楽しむ育は、度々悪夢を見る。暗がりに座り、責めるような口調で呟き続ける女。その声は日常でも聞こえるようになり…「魂やどりて」/弘也は子供の頃友達を水の事故で亡くしてから、家で時折腐った水の臭いを嗅ぐようになる。たまに姿も見る。そのため実家に寄り付かずにいたが、父が倒れたのを機に戻ってみると、益々臭いは濃く姿も近づいて「水の声」/祖母の家に同居することになった樹は、天井裏が部屋のようになっているのを見つける。隠れ家にしようと手入れし寝転がっていると、薄暗い中に人の影が浮かんでいるのを見て…「まさくに」

読了日:10月01日 著者:小野 不由美
 
重版出来! (13) (ビッグコミックス)
重版出来! (13) (ビッグコミックス)
★4 虐待父をモデルにした悪役キャラの造形に行き詰まっていた中田伯が何かを掴む。これでまた前に進み出すかと思ったら、またしても不穏な状況。キャラに入りこみすぎたか?東江さんはトラベル漫画が軌道に乗り、単行本化の話が進むが、会社に副業禁止と言われ二択を迫られる。他にもアユちゃんは友人関係に悩んだり、新人作家は食べ物が美味しそうに見えない事に悩んだり。東江さんの成長には感動した。母親が応援していると思ったら古い価値観を押し付けてきて今の自分を否定されるのキツい。
読了日:10月07日 著者:松田 奈緒子
 
まめねこ2 ごはんだよ~
まめねこ2 ごはんだよ~
★3.5 猫嫌いなお母さんもさすがに慣れてきて、ちょっとしたイジワルはするけど捨てる気はなくなったようで一安心。ほのぼの猫漫画として気楽に読めるようになってきたけど、まだたまに引っかかる事も。これだけ家族がいるのに、お姉さんが忙しくて猫トイレの掃除サボってたら誰も代わりにやってくれないし頼みもしない。この家族、家の作りや環境は昔ながらの家庭風なのに、わりと家族の繋がりがドライ。猫も基本放ったらかし。トイレあまり我慢させてると、膀胱炎になっちゃうよ…。
読了日:10月07日 著者:ねこまき(ミューズワーク)
 
てんげんつう
てんげんつう
★3.5 今回も色々な事に巻き込まれた若だんな。いつも以上に理不尽な巻き込まれ方をしていたような。どいつもこいつも身勝手で無茶苦茶な言い分で迷惑千万なのに、若だんなは困りこそすれ怒らない。若だんなが許すから妖達も矛を収める。器が大きいにも程がある。もう少し“因果応報”がある方が、スッキリするんだけどなぁ。
【以下あらすじ】天狗姫が仁吉の嫁の座を賭けておぎんに神の落とした薬を探す勝負を挑み、その矛先は長崎屋へ「てんぐさらい」/薬の事で大喧嘩をし荼枳尼天から岩屋へ放り込まれたおぎんと仙狐。仙狐の息子が逆恨みをしおぎんに縁のある者を祟ったというが、それは若だんなも知らない東山という僧で…「たたりづき」/於りんの父に怪しい縁談が来たと聞き心配した若だんな達が事情を聞きに行くと、話はなぜか栄吉の縁談に、そしてその相手の札差屋の娘の家と仲の悪い札差屋との争いに発展し「恋の闇」/千里眼を持つという“てんげんつう”が若だんなを訪ねてきて、この力は良い事ばかりではない、人から厭われる。自分を救えるのは若だんなだと分かったので救ってくれ、と言うが「てんげんつう」/馬久に頼み人の悪夢に入り調べ事をすることが増えた若だんな。夢の中で屏風のぞきと金次に会う。金次は最近同じ事が繰り返される変事が増えている事を指摘し「悪夢に入るのは止めた方がいい」と忠告する。そんな時於りんが桜を見に行き毛虫に襲われたと知った若だんなが桜を調べに行くと「くりかえし」 

読了日:10月07日 著者:畠中 恵
 
ドン・ウッサ そらをとぶ (MOEのえほん)
ドン・ウッサ そらをとぶ (MOEのえほん)
★4 《ウサギの大親分ドン・ウッサが散歩中に口にした「カモメさんのように空を飛んでみたい」。3羽(←数え方の単位がちゃんと“羽”になってる)の子分は親分の願いを叶えようとするが…》
面白い!手段を選ばない子分達笑。親分の「これ、大丈夫?」を無視する子分達笑。無茶苦茶な展開はまさにコント。しかも最後はちょっといい話に。愛すべき親分子分に思わず頬が緩みます。

読了日:10月07日 著者:キューライス
 
じゃない!
じゃない!
★4 騙し絵のようなボディペイントでテレビなどでも取り上げられているアーティスト、チョーヒカルさんの作品が絵本に。果物などに他の食べ物のペイントを施して、次のページで種明かし、を繰り返す。カットして本当の中身が見えても、まだ脳の理解が追いつかないくらい立体感までリアル。「ペイントされた食べ物を割って見せている写真」なんだけど、それも含めてCGか何かの作り物じみて見えてくる。(中には質感の違いなどですぐ正体が分かっちゃうのもあるけど)
読了日:10月07日 著者:チョーヒカル
 
毒親サバイバル
毒親サバイバル
★4 著者が自身も含めた11人の事例を漫画化。どんな家庭だったか、そこからどうやって抜け出したかが描かれている。子供にとっては人生のスタート地点が家庭であり、世界の全て。それが基準になるので、自分の家は普通じゃない、と気付かないまま育てられてしまう。暴力、性的虐待、ネグレクト等、おぞましく異常な行為も、それが当たり前の日常で、洗脳されているようなもの。「うちは穏やかな家庭ですみません」と言っていた編集さん自身も、著者と一緒に取材する中で、程度の違いはあれ、毒親だったと判明する。うち編集さんちとちょっと似てる…。親の影響は、色んな所に意外な形で潜んでいるのだ。気になるのは、本書に出てきた人達の多くが、家を出て連絡を絶ってからも、居場所を突き止められたり電話があったりで、結局親が死ぬまで影響が止む事はなかったこと。親自身が毒親である事を自覚し、関係を修復するのは難しいのか。親と離れるしか方法がない。でも子供はなかなか親から逃げられないのだ。彼らの延長上に虐待死もあるのに。親を矯正する仕組みがないと、負の連鎖もなくなりそうにない。
読了日:10月10日 著者:菊池 真理子
 
夜明けの図書館(6) (ジュールコミックス)
夜明けの図書館(6) (ジュールコミックス)
★4 図書館の、主にレファレンス業務にスポットを当てた漫画。資料などを探し当てるまでの過程は探偵が謎解きをしているみたいで面白い。ぬいぐるみのお泊り会、いいなぁ。写真撮ったり絵本選んだり、やる事が多くて図書館員さん大変そうだけど、素敵な取り組み。大人でも預けたい…。
《ひなこの幼馴染で研修医の奏太が、子供の頃聞いたラジオドラマの原作を探して訪ねてきた『二度目のレファレンス』/祖母から引き継いだパン屋を営む原田さんは、大手のパン屋からロゴマークが類似していると訴えられる。祖母の考えた愛着のあるロゴマークを残せるのか『ニッコリの印』/三島先生が郷土史に興味を持つきっかけになったのは、戦死した友人から出征前に預かった、暁月の風景をスケッチしたノートだった。最後のページに描かれていた風景がどこなのか、皆で探すことに『暁月で一番美しい場所』/ぬいぐるみのお泊り会に妹の付き添いで来た小5の悠君は、しっかりしていて冷めているように見えたが、亡父から貰ったぬいぐるみを密かに大事にしていた。『僕とチュウタ』》 
なかなか新刊が出なくて、いつも忘れた頃出ると思ったら、年2回ペースの雑誌連載だったのか。4話収録で、2年に1冊。次も気長に待たなきゃだなぁ。

読了日:10月10日 著者:埜納 タオ
 
ここでしか味わえない 非日常の世界! (NATIONAL GEOGRAPHIC)
ここでしか味わえない 非日常の世界! (NATIONAL GEOGRAPHIC)
★4 「混沌」「驚嘆」「美麗」「畏怖」4つのテーマ別に、自然現象、風景、動物、人の営みに至るまで、世界中の目を見張るような光景を紹介。何でもアリなのでページを捲るごとに驚きがある。たまに全く別の光景なんだけど似てる写真を並べてあったりするのも面白かった。 
インターグルームという米国のトリミングコンテストの犬の写真は、ちょっと嫌だなぁ。個人的には虐待だと思う。毛をキャラクターとか立体的な造形物に見立ててカットしたり、派手な色に塗ったり、犬の体を玩具にして遊んでるようにしか見えない。

読了日:10月10日 著者:
 
ネコもよう図鑑: 色や柄がちがうのはニャンで?
ネコもよう図鑑: 色や柄がちがうのはニャンで?
★3.5 猫の毛色にはこんな種類があるよ、と紹介するような写真集的な感じかと思ったら、遺伝子の組み合わせでどんな模様が出るかなど、科学的に研究されたわりと真面目な内容だった。細かい説明は理科(生物)の授業みたいなので理解するのを放棄したけど(汗)、写真もたくさん載っているので、所々分かりそうな解説だけを拾いながら読んだ。グラデーションのように途中で色が変わる毛があって、以前から不思議だったんだけど、「アグチ毛」と言ってそれがあるかないかで似たように見えても毛色のパターンが違うことなどは興味深かった。
読了日:10月10日 著者:浅羽 宏
 
猫と藤田嗣治
猫と藤田嗣治
★4.5 藤田の猫作品を集めた画集。作品解説とともに、猫研究者による猫の解説もあり、ダブルで楽しめる。藤田の猫って、写実っぽいけど少しアンバランスで不自然なポーズに見える作品が多くて、正直そこまで好きじゃなかったんだけど、こうして集めてみると、凄い描写力の作品もあり、いいなと思う作品がたくさんあった。版画、挿絵、水墨画、陶芸、ガラス絵まで網羅しているのも良い。解説も、描かれた時期の私生活や藤田を取り巻く状況などにも触れ、描いた時の藤田の心情にまで思いを馳せることができて良かった。
読了日:10月20日 著者:浦島 茂世
 
アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート
アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート
★4.5 めちゃくちゃ読み応えがある。日本唯一のアウトサイダー・キュレーターで専門ギャラリーも運営する櫛野さんが実際に全国を訪ね歩いて取材し、撮影したアウトサイダー・アーティスト総勢135人分!
「過剰装飾」「老人芸術」「セルフビルド」などテーマ別に分類され、人によっては数ページ割いてあるけど、一人半ページほどしかないのが大部分、でも、濃い。何らかの障害を抱える人も多いけど、元は平凡な人が長年コツコツと続けることで積み重なった作品の圧倒的物量が迫力を帯びてアート的な何か、になっているものも多い。これだけたくさんいると、正直アートなのかどうかさえあやふや。櫛野さんは、どこまでがアートかの線引きをしてその他を切り捨てるような事はせず、ただ「こういう人がいる」と聞けば訪ねて行って、記録し紹介する事に意義があると思われているのではないか。芸術家として活動していない埋もれた人達を、玉石混交のまま、櫛野さんは“発掘”しているのだ。その中の何に価値を見出すかどうかは、見る人に委ねられる。それは一般的なアートと同じといえば同じ。この本の中の何がアートかは、見る方が決めればいいのだろう。
途中に挟まれるコラム「遠藤文裕 観察日記」も面白かった。本書にも登場する紙物スクラップブックの作者にして櫛野さんの追っかけ、遠藤さんの観察日記。福岡でサラリーマンをしつつ、櫛野さんが企画した展覧会やイベントがあれば全国どこにでも顔を出す。そのバイタリティが凄いし、これだけ暑苦しい(笑)ファンと最早友達のように接する櫛野さんも凄い。著書全体に言えることだけど、櫛野さんの文章は上手い。簡潔であっさりしているのに、人への敬意があって全く嫌味がなく、これだけのボリュームがある本でも読みやすかった。

読了日:10月21日 著者:櫛野展正
 
#どれだけのミスをしたかを競うミス日本コンテスト
#どれだけのミスをしたかを競うミス日本コンテスト
★3 ツイッターで見かけたタグで、その時は面白いと思ったのに、考えてみたら、よく見かけるネタはそれだけリツイートが多いということで、秀逸なものばかり目に入ってたんだろうな。思ったより笑える話がなかった。一言コメントも、ただの感想っぽくて、主役のネタより文章が長かったりして興醒めするので余計だったかな。ツイッターらしくイラストや4コマネタも収録されてるのは良かった。有名人も降臨してるし。あと、ツイッターから発生した本なのだから、縦書より横書で掲載されてる方が、視覚的にしっくりきたかも。全体的に惜しい感。
読了日:10月21日 著者:
 
くさいくさいチーズぼうや&たくさんのおとぼけ話【新版】
くさいくさいチーズぼうや&たくさんのおとぼけ話【新版】
★3 グリム童話などをパロディにした「おとぼけ話」が10話。語り手はジャック(と豆の木の)で、各話がジャックによって繋がれるメタ的構成。扉やら前書やら目次やらもふざけ倒している。本全体で遊んでいるのはユニークで、こういうの大好きなんだけど、肝心のお話が大して面白くない…。ブラックな話は全く抵抗なくむしろ好きなはずなんだけど、なんかツボに嵌らなかった。この悪ノリ感について行けないというか、冷めちゃう。絵が好きじゃないから(上手いなぁ、とは思うけど趣味じゃない)その印象に引きずられたせいもあるかな。
読了日:10月23日 著者:ジョン シェスカ
 
まめねこ3 こらっ! こらっ!
まめねこ3 こらっ! こらっ!
★3.5 スズメの雛を保護したり、猫ちぐらに鳩が住み着いたり、これまでより派手な展開が色々あって、お兄さんやお父さんも登場頻度が増えて、家族らしく賑やかな感じがした。スズメを巣に戻そうと頑張ったり、蜂に襲われても猫を守ろうとするおじいちゃんが優しくて癒し。蜂を撃退したお母さん最強すぎる。無関心そうだったお兄さんもスズメの件で世話好きなのが判明したし、ちゃんと猫の遊び相手にもなってて、この一家で一番猫の世話が適当なのは、引き取った張本人の娘なんじゃないか疑惑。
読了日:10月26日 著者:ねこまき(ミューズワーク)
 
法月綸太郎の消息
法月綸太郎の消息
★4.5 久々の法月綸太郎シリーズ。ドイルの名探偵ホームズと、クリスティの名探偵ポアロについて新たな解釈が示される2編が読み応えがあった。特にポアロ最後の事件『カーテン』についての解釈は、『カーテン』を読んだ時のモヤモヤを解消してくれる視点で、そうだったらいいなというか、個人的にはもう「採用!」と思っている。残る2編は、父・法月警視が抱える難事件について綸太郎が助言を求められるお馴染みの作品。やっぱりこの父子の対話形式は落ち着く。綸太郎達が健在で安心しました。あと、表紙絵も秀逸。
【収録作品】ホームズの一人称で語られる、シリーズ異色の2作に隠された作者ドイルの意図について、チェスタトンのブラウン神父を絡めながら探っていく『白面のたてがみ』/二人の人間が相次いで不審な死を遂げた。憎み合っていた二人がなぜかお互いの自宅で死んでおり、遺書も入れ違っていた『あべこべの遺書』/「妻の仇を殺した」と男が自首するが、確認すると被害者は健在だった。単なる虚言と思われたが、その10日ほど後、実際に男の供述に似た殺人事件が起きる『殺さぬ先の自首』/ クリスティの『象は忘れない』の舞台化に関わることになった綸太郎は、ポアロの双子の弟アシルが実在するかどうかについて検証することに『カーテンコール』←登場人物のモデルが明らかにあの方で笑ってしまった。そういえばあの方はクリスティファンで、ドラマ化なども手掛けているので、うってつけでした。

読了日:10月28日 著者:法月 綸太郎
 
ニードルフェルトで作る不思議などうぶつ
ニードルフェルトで作る不思議などうぶつ
★3.5 作る気はなく、作品が見たくて。ハシビロコウやナマケモノ、アリクイなどちょっとマニアックな動物ばかりなのが面白かった。作り方も一応目を通した感じでは、(ちょっとだけニードルフェルトの経験あり)初心者には難易度高そう。説明も懇切丁寧とは言えず、中級者以上向けかも。細かい所だけど、尻尾のシマシマの作り方は目から鱗だった。
読了日:10月28日 著者:須佐 沙知子
 
もっと知りたい熊谷守一 ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
もっと知りたい熊谷守一 ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
★3.5 岡山県立美術館『熊谷守一展』が良かったので。一目見たら覚えてしまうほど特徴的な「モリカズ様式」(くっきりした輪郭線に単純化した描写と色彩)と、猫をよく描いた画家、というくらいしか知識がなかったけど、実物を見たら凄かった。何がどう凄いかうまく言い表せないけど「・・・天才か」とひたすら語彙を失っていた。それでこのタイトル通り「もっと知りたい!」となり、図書館で借りてみた。展覧会も初期の絵から墨彩画や書まで網羅していたので、おさらい的な内容だったけど、画学生の頃の話は展覧会より詳しく、興味深かった。
あの輪郭線は、絵の具で引いてるんじゃなく、そこだけ塗り残して作っているのだと実物を見て初めて知る。色を塗ってある場所より、ほんの少しだけ凹んだ輪郭線。そのエッジの効き方が、なんか凄く良かった。これが試行錯誤の末(その過程では輪郭線を“描いて”ある作品や、もっと太い輪郭線の作品もある)辿り着いた「モリカズ様式」か!やはり絵画は、画集見て分かった気になってちゃダメだ、実物を見るのは大事だ、と痛感した。

読了日:10月29日 著者:池田 良平,蔵屋 美香
 
熊谷守一 画家と小さな生きものたち
熊谷守一 画家と小さな生きものたち
★4 岡山県立美術館『熊谷守一展』が良かったので。図録と迷ったけど、図録は収録点数は多いものの単行本サイズで小さいのとそれなりのお値段なのがネックで、動植物の作品が主に収録されているこちらの書籍を購入。図版は全ページの半分くらいなのがちょっと物足りないけど、収録作品がどれも好きなので満足。二女の榧(かや)さん、長男の妻はるさんのインタビューも良かったし、守一の好物のレシピが載ってるのも面白かった。

読了日:10月29日 著者:林 綾野

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