今回は、少し趣の変わった米山の書です。
全体:59.2㎝x210.5㎝、本紙(紙本):45.0㎝x135.1㎝。明治。
かなり大きな掛軸です。
仮名、漢字まじりで、自作短歌が書かれています。
『な尓そは登 我は思へと 以可耳染年
安免と可染と耳 可頭も乃ハなし 米山』
なにそはと 我は思へど いかにせね
雨と風とに 勝つものはなし 米山
これはいったいどうしたものかと思うのだが、どうしようもない、雨風に勝てるものはないのだから。
急な嵐でも来たのでしょうか。一人で山の上の神社を守る米山の心の様子が伝わってきます。
米山は日記代わりに歌を詠んだといわれています。その数は数千首に及ぶでしょう。
今回のように、和歌としてはイマイチのものが多いのですが、豪放磊落であった彼の心の内がわかって興味深いです。
米山の書には、落款が必ずあります。
しかし、印章の押してない物も多いです。
おそらく、出先で酒を振舞われた後、請われて書をしたためることが多かったからだと思われます。後日、書いてもらった人が、印章を押してもらいに来たのが今回の品でしょう。いいかげんに押されています(^^;