遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

米山の書4.自作和歌『なにそはと』

2024年05月13日 | 文人書画

今回は、少し趣の変わった米山の書です。

全体:59.2㎝x210.5㎝、本紙(紙本):45.0㎝x135.1㎝。明治。

かなり大きな掛軸です。

仮名、漢字まじりで、自作短歌が書かれています。

『な尓そは登 我は思へと 以可耳染年
安免と可染と耳 可頭も乃ハなし 米山』

なにそはと 我は思へど いかにせね
雨と風とに 勝つものはなし  米山

これはいったいどうしたものかと思うのだが、どうしようもない、雨風に勝てるものはないのだから。

急な嵐でも来たのでしょうか。一人で山の上の神社を守る米山の心の様子が伝わってきます。

米山は日記代わりに歌を詠んだといわれています。その数は数千首に及ぶでしょう。

今回のように、和歌としてはイマイチのものが多いのですが、豪放磊落であった彼の心の内がわかって興味深いです。

米山の書には、落款が必ずあります。

しかし、印章の押してない物も多いです。

おそらく、出先で酒を振舞われた後、請われて書をしたためることが多かったからだと思われます。後日、書いてもらった人が、印章を押してもらいに来たのが今回の品でしょう。いいかげんに押されています(^^;

コメント (8)
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