とてつもなく大きな重箱です。これも使われずに、ずっと家にあった品です。
32.6㎝ x 32.6㎝、高 51.2㎝。本体;24.2㎝x22.7㎝x40.6㎝。明治時代。
重箱の台部です。木枠を置いて、重箱がずれないようになっています。
家紋部分を除けば、すべて梨地です。
梨地は蒔絵の一種で、金粉を撒いた物です。梨の肌に似ているのでこのように呼ばれます。
大きめの金粉を叩いて平たくしたものを撒いた後、透き漆をかけ、乾いた後、研ぎ出します。
ざらざらした金が、独特の質感を生み出しています。
台部には家紋があしらわれていますが、
何といっても、重箱の蓋の家紋は圧巻。
替え蓋にも、違い鷹の羽紋がこれでもかというほどに描かれています。
ウチの家紋とはいえ、クドイです(^^;
上手の重箱には、時々、替え蓋がついています。骨董屋によると、蓋をなくした時の予備だとのことですが、そうそう失う物でもないし・・・
実際は、こんな使い方なのでしょう(^.^)
重掛けという飾り布が付いています。
重掛けは嫁風呂敷ともよばれ、婚礼後、近所に挨拶回りに行く時、配りものの赤飯、五色饅頭などをいれた重箱に掛ける布です。
袱紗に似ていますが、袱紗より大きいです。袱紗から派生した物でしょう。袱紗は、元々、武家が進物を贈る時、白木の台にのせた物に掛ける布です。現在では、もっぱら、熨斗袋を包むのに用いられます。茶道でも、小さな布を袱紗として用います。
72.2㎝x65.0㎝。明治時代。
松葉、熊手、箒、姥の髪結びなどが刺繍です。それほどクドクはないですが、それでもちょっと通俗すぎますから・・・
反対側を、こんな具合に掛けるのが無難でしょう。
まあ、今時婚礼もないし、もしあっても、こんな大それた品を使うシチュエーションは絶対に来ません(^^;
そこで、一度だけ、この五段重に、海の幸、山の幸を詰めてみました。
恐ろしいほどの量、そして出費でした(^.^)
せっかくなので、他の漆器にも入れて写真をとったのですが・・・今となっては、あれは幻だったのでしょうか(^.^)
ここまで庶民生活と程遠いお品だと、中身の入ったお姿を拝む機会もないので。
確かにお正月どころではなさそうな大きさと豪華さですね。
でも、量がハンパでないので、ハンパでない金額になってしまいました(^^;
冬でないとダメですね、食物がもちません。
いずれにしろ、一生に一度の贅沢(^.^)
それにしてもこのお重を使って食べたという記録がすごいですね。
由緒正しき遅生さんのちょんまげ姿が目に浮かびます。
ハレの日、それも一生にせいぜい数度しか使いません。大々的な婚礼用ですから、今なら一生出番無し😅
無用の長物でしかありません😅😅
梨地は表面をわざわざ凸凹にして、テカリをおさえているのですね。急須にも、梨皮泥といって、表面をざらざらにして焼いた物があります。
こういう美意識には感心します☺️
家紋のデザインを見ていると過去の日本人のセンスの良さに感動してしまいます。
鷹の羽紋はドラマのなかでもよく目にするので、高貴な家紋と思いました。
家紋が沢山描かれていても気にならないのは、デサインの素晴らしさと狂いのない技法のせいでしょうね。
今、資産家だったらあぶないです。
知り合いの旧家、御主人が亡くなった後、悪徳骨董屋が出入りし、事件になりました。家焼かれ、奥さん死亡。この業界にはトンデモナイ人間が本当にいるのです。
畳は、故玩館改修時に全部新調しました。使えるものは使って、と設計士に頼んだのですが、結局、柱と天井の一部だけでした(^^;
しかも、上手で、フルセットで!
これを揃えるのにも相当な出費でしたでしょうね。
それをまかなえたのですから、遅生さんのところは、相当な資産家でしたね(^-^*)
話題は変わりますが、畳が綺麗ですね(^_^)
最近、畳替えをされたのでしょうか、、、。