軍人、仙波太郎の書です。
全体:46.4㎝ X 196.5㎝、本紙(紙本):34.7㎝ X 131.8㎝。戦前。
【仙波太郎】(せんばたろう、安政二(1855)年ー昭和四(1929)年)伊予(現、松山市)生れ。没落した庄屋の出身で、苦学して陸軍士官学校、大学校を卒業し、職業軍人となる。同郷の秋山好古と同期。陸軍中将。桂太郎・宇都宮太郎とともに陸軍の三太郎と称された。衆議院議員。
中国の南宋時代の政治家、詩人、范成大(1126-1193)の「臘月村田楽府十首」の一節です。
『天行己過来萬福』
天行已(すで)に過ぎ、万福来る。
天の運行が順調に進んでいて、あらゆる福がやってくる。
太陽、月、星など天体は、太古から現在に至るまで,絶え間なく,整然と正しくめぐりつづけている。人間も、このように、絶えることなく、自ら努め、励んで、健やかで確実な歩みを続けることが肝要だ。
仙波太郎の名を知っている人は多くないと思います。同郷の秋山好古とは友人で司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』にも登場します。質実剛健の軍人ながら、幅広い見識をそなえた人物であったようです。退役後は、岐阜市に住み、社会活動に貢献しました。書は、子供の頃から郷土の鬼才、三輪田米山に学んだだけあって、玄人はだしです。今回の「天行己過来萬福」は、自分に言い聞かせていたフレーズかも知れませんね。
ちなみに、私の妻の実家と彼の出身家は、すぐ近くです。地元の家々では仙波太郎の書が大切にされ、人々からは、今も、仙波太郎さんとよばれ尊敬されています。
仙波さんについて少しググったら軍人なのに軍国主義的な考えではなく当時では珍しく今の時代にいそうな人格者のようですね!
ご近所さんの偉人の書は単なる骨董ではなくまた違った価値を見出せますね!
ご当地骨董いいですね(^^)
今の時代にもあてはまる歴史の教訓ですね。
奥様の実家の近くの出身なのですね。
また、退役後は、遅生さんの近くに住んで社会活動に貢献したのですね。
そのような繋がりがあるのですか。
遅生さんご夫妻にとっては身近な存在の方でもあるわけなのですね(^_^)
こういう人が身近にいたのも、偶然とはいえ、不思議です。
それから最近知ったのですが、誰でも知っている正岡子規、やはり伊予の出身ですが、その養子の正岡忠三郎と言う人は実に興味深い人物です。普通の人であることに徹して、子規全集をまとめあげました。生きること自体が詩人であった無名の明治人です。