脳性麻痺の定義(厚生省脳性麻痺研究班、1968):
「受胎から生後4週以内の新生児までの間に生じた、脳の非進行性病変に基づく、永続的な、しかし変化しうる運動および姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現する。進行性疾患や一過性運動障害、または将来正常化するであろうと思われる運動発達遅延は除外する。」
脳性麻痺の発生率は、新生児1000人あたり2~4人と言われています。
以前は、脳性麻痺は分娩時仮死に関係していることが多いと考えられていましたので、産科的管理が向上すれば脳性麻痺の発生頻度は減らせるはずと多くの人が信じていました。
しかし、近年の著しい産科的技術の向上にもかかわらず、脳性麻痺の発生率は減っていません。最近では、分娩時仮死は脳性麻痺の原因としてはむしろまれであることが明らかになってきました。
脳性麻痺の原因は未だ十分には明らかにされていませんが、胎児の発達中に低酸素症に対し弱くなる何らかの要因があると考えられています。未熟児では脳性麻痺の発生率がやや高くなっています。胎児期・幼児期早期における脳炎、髄膜炎、単純ヘルペス感染症、硬膜下血腫を来たす頭部外傷、血管の障害、その他多くの原因による脳損傷の結果として起こります。
脳性麻痺は、どの産科施設の分娩であっても、一定の頻度で発生しています。ハイリスク妊娠や未熟児の分娩を多く扱っている2次・3次病院であれば、1次病院と比べて、脳性麻痺の発生率は高くなります。
脳性麻痺の発生頻度は将来も減らないでしょう。脳性麻痺に対する障害補償制度は早急に整備される必要があると多くの人が考えています。