日本婦人科腫瘍学会、金原出版、127頁 価格:¥ 2,520(税込)、発売日:2006年10月10日 |
第 1 章 ガイドライン総説
第 2 章 初回治療
CQ01 臨床進行期1期に対して推奨される子宮摘出術式は?/CQ02 臨床進行期2期に対して推奨される子宮摘出術式は?/CQ03 骨盤リンパ節郭清の意義は?/CQ04 骨盤リンパ節郭清に加えて傍大動脈リンパ節郭清をすることの意義は?/CQ05 腟壁部分切除は腟断端再発率を低下させ得るか?/CQ06 若年者の卵巣温存は可能か?/CQ07 手術進行期分類には鼠径リンパ節転移の記載があるが,その生検は必要か?/CQ08 大網切除は必要か?/CQ09 組織型・分化度の判定に関して,術中迅速病理診断は有用か?/CQ10 筋層浸潤の程度は術中にどのように判断すれば良いか?/CQ11 リンパ節転移の判定に関して,術中迅速病理診断は有用か?/CQ12 腹腔細胞診陽性は独立した予後不良因子か?/CQ13 術中迅速腹腔細胞診は術式の決定に必要か?/CQ14 内視鏡下手術は標準術式に替わり得るか?/CQ15 センチネルリンパ節生検によりリンパ節郭清を省略できるか?/CQ16 高齢や内科的合併症などを有する手術不能例に対して,放射線治療は有用か?
第 3 章 術後療法
1.放射線療法
CQ17 術後の全骨盤外部照射は有用か?/CQ18 術後の腟断端腔内照射は有用か?/CQ19 術後の傍大動脈リンパ節領域への照射,全腹部照射は有用か?/CQ20 術後の放射線療法に禁忌はあるか?
2.化学療法・ホルモン療法
CQ21 術後補助化学療法は有効性が確立されているのか?/CQ22 術後補助化学療法を行う場合にはどのような薬剤が推奨されるか?/CQ23 術後の補助療法として,ホルモン療法は有効か?
第 4 章 治療後の経過観察
CQ24 治療後の経過観察として推奨される間隔は?/CQ25 治療後の経過観察において,血清CA125 とCA19─9の測定は有用か?/CQ26 治療後の経過観察において,内診と腟断端細胞診は有用か?/CQ27 治療後の経過観察において,胸部X線検査およびその他の画像診断は有用か?
第 5 章 進行・再発癌の治療
CQ28 臨床進行期3期や4a期に対して,どのような場合に手術適応となるか?/CQ29 肉眼的な骨盤外腹腔内進展例に対し,腫瘍減量手術の治療的意義は?/CQ30 術前化学療法や術前放射線療法は有用か?/CQ31 再発癌に対して,どのような場合に手術適応となるか?/CQ32 進行・再発癌に対して化学療法は有用か?/CQ33 進行・再発癌に対して化学療法を施行する場合,どのような薬剤が推奨されるか?/CQ34 再発癌・切除不能進行癌に対し,放射線療法は有用か?/CQ35 進行・再発癌に対して黄体ホルモン療法は有用か?
第 6 章 妊孕性温存療法
CQ36 高分化型の類内膜腺癌で妊孕性温存を希望する場合,黄体ホルモン療法は有用か?/CQ37 妊孕性温存後の高分化型類内膜腺癌の再発例にはどのような治療法が推奨されるか?/CQ38 黄体ホルモン療法の有害事象とそのリスク因子にはどのようなものがあるか?/CQ39 妊孕性温存例に対する排卵誘発は安全か?/CQ40 妊孕性温存療法後の経過観察の間隔と検査はどうすべきか?
第 7 章 子宮内膜異型増殖症
CQ41 子宮内膜異型増殖症に妊孕性温存治療を行う場合,(1)黄体ホルモン療法の有用性は? (2)経過観察の間隔・検査はどうすべきか?
第 8 章 資料集
****** 正誤表
60頁 13行目 術後に全腹部照射 → 術後に腟腔内照射
14行目 しかし、全腹部照射 → しかし、腟腔内照射
19行目 が、全腹部照射施行 → が、腟腔内照射施行
30行目 さらに全腹部照射を → さらに腟腔内照射を
31行目 後の全腹部照射 → 後の腟腔内照射
****** 読売新聞、2006年10月13日
子宮体がん治療、初の指針
日本婦人科腫瘍(しゅよう)学会(安田允(まこと)理事長)は、子宮体がん治療に関する初の指針「子宮体癌(がん)治療ガイドライン」を作成した。子宮体がんは、医療機関によって治療方針にばらつきがあるのが現状で、指針は、患者が治療を選択する際の重要な参考資料になりそうだ。
指針では、初回の手術でどの範囲まで切るか、リンパ節を取ることの意義、手術後の放射線治療や抗がん剤治療が有効かどうか、再発・進行がんの治療、妊娠・出産を希望する患者の子宮を温存する治療――などについて、進行の程度ごとに分類。推奨する治療法の解説に加え、判断の根拠になった過去の臨床研究の一覧などが参考文献として添えられている。
同学会は、2004年に「卵巣がん治療ガイドライン」を発表、子宮頸(けい)がんの指針も作成中だ。国内では、年に推計約4000人が新たに子宮体がんと診断されている。30年以上前は、子宮がん全体の約5%だったが、食生活の欧風化などで急増、現在では40~50%程度を占める。指針は、金原出版(電03・3811・7184)から刊行された。
(2006年10月13日 読売新聞)
****** 毎日新聞、2006年10月
子宮体がん:治療に初のガイドライン----婦人科腫瘍学会
日本婦人科腫瘍(しゅよう)学会(安田允理事長)は4日、子宮体がんの初の治療ガイドラインを発表した。原則として手術による子宮全摘出が望ましいとし、がんの進行度に応じて摘出範囲を拡大する。高齢の患者や、他に合併症がある場合は、放射線による治療を選ぶとした。
子宮体がんは、日本では年間約4000人の患者が新たに発生している。これまでは50歳代以上が大半だったが、食生活の欧米化などが影響し、80年代から30歳代以下の患者が増えているとされる。
同学会は、国内外の文献を参考に標準的な治療方法をまとめた。「子宮体癌治療ガイドライン」(2520円)は書店で購入できる。【永山悦子】
(毎日新聞、2006年10月)
****** 金原出版ホームページより
http://www.kanehara-shuppan.co.jp/
本ガイドラインは,体癌の日常診療に携わる医師に対して,現時点でコンセンサスが得られ,適正と考えられる体癌の標準的な治療法を示すことを目的に作成された。これにより体癌の治療レベルの均霑(きんてん)化と治療の安全性や成績の向上を図ることが期待できる。
本ガイドラインの作成に当たっては,「卵巣がん」の時と同様にガイドライン検討委員会の中に作成委員会と評価委員会を設置し,作成委員には体癌の診療を専門的に行っている医師を広く全国から召集し,さらに放射線治療専門医と腫瘍内科医にも入っていただいた。作成形式は「卵巣がん」では総説的な体裁をとったが,本ガイドラインでは体癌の治療に関するエビデンスが少なくレベルも低いこと,欧米との治療上のギャップが少なくないことなどから,体癌の治療上の問題点を明らかにしそれに回答する「Q & A 形式」を採用することにした。取り扱う対象は,子宮体部に原発した癌,子宮内膜異型増殖症およびそれらの再発腫瘍とし,対象疾患の治療を主体とした5つのアルゴリズムを載せ,各項を「Q & A 形式」で記述した。すなわち,体癌治療における現在の問題点を臨床的疑問点(クリニカルクエスチョン:CQ)として取り上げ,各CQに対して国内外の文献を網羅的に収集し,各文献の構造化抄録を作成しエビデンスとして評価した。これを十分に吟味したうえで,総合的な判断からCQに対する答えを推奨として簡潔に記載し,さらにそのCQに対する背景・目的と推奨に至るまでの経緯を解説として記述し,最後にエビデンスのレベルを付記した参考文献を載せた。
本ガイドラインを「卵巣がん」同様に実地医療の場で十二分に御活用していただきたい。
(金原出版ホームページより)